MacBook AirでポータブルなUST環境を作る

ハードウェア編

ソフトウェア編

実戦編

AppleのMacBook Air(2010年モデル)は安価、軽量かつ高性能で、特に電池での稼働時間の長い優れたノートマシンである。これを使い、ポータブルなUstream放送環境を構築出来ないかトライしてみた。MacBook Airには内蔵カメラもあるが、これはchat用であってUstreamには殆ど使えない。またIEEE1394端子が無いので、iLink(IEEE1394と同じと思って良い)経由で外部カメラを繋ぐ事も出来ない。ヘッドホンは繋げられるが、マイク入力端子は無い。そこでUSB端子のみでカメラやマイクを繋ぐにはどうしたら良いか。以下、実験してみた結果をレポートする。(ここで述べている内容は何もMacBook Airに限定された話ではない。一般的なノートPCで普遍的に応用出来る話なのは断るまでもないだろう)

言うまでもなく高価な機材を揃えれば何でも出来る。当然ながらここでは安く上げることを考えた。MacBook AirにはUSB端子しか無いのでビデオ信号モオーディオ信号もUSBから入力する事になる。HDMIをUSBに変換する高価な仕掛けはあるが、装置が高額なばかりでなくデータレートの関係でUSB3でないと対応出来ないし、そうなるとマシンスペックもハイエンド・クラスが必要となるから芋づる式に金がかかってしまう。Ustreamを高解像度で配信する事は可能だが、受信者の環境も考えなくてはならず、いたずらにハイエンドを狙うのは早計である。

かくして映像について考えられる方法は2つになる。一つはいわゆるWeb Cameraを使う方法。もう一つはカメラからのコンポジット信号をビデオキャプチャ装置を使ってUSB経由で取り込む方法だ。色々調べてみてまずWeb CamとしてはMac OSへの対応を明確にうたっている Logicool の C910 を選んでみた。これはカメラ性能としてフルハイビジョンまで対応しているという、本目的にはいささかオーバースペックのカメラだが、各社製品を比較してもあまり他の選択肢が無いのが現実だ。本目的を考えると、手動で構わないから3倍程度のズーム、解像度はSDで良く、三脚用のネジ穴が欲しいところだが市販のWeb Cameraはビデオチャットの事しか考えていないらしく、そうした製品は国内外を含め皆無であった。どこか出してくれ。

さて、このC910。UVCビデオクラスに準拠している。UVCとはUSB2規格の拡張であって、ビデオ装置をUSBで接続する為の規格である。一応、MacOSもSnow Leopardからはドライバを含んでいるそうなので、UVC準拠のWebCamであれば繋げる事になるのだが、規格を含んでいる事とカメラのフルスペックを使える事とは違う。C910の場合、Mac用の専用アプリを使う事でフルHDの録画などが可能となるが、それはあくまで専用アプリの範囲内であって本目的のUstream配信では通常のSD解像度でのカメラとしてしか動作しない。実はだからもっと安価なWebCamでも同じ事だったのではないか、と買ってから気づいた次第であるが時既に遅し、なのであった。なお、ネットではオートフォーカスが機能しないような記述もあるが、試してみた限りでは動作した。書類をアップにしてもちゃんとピントが合う。

次にスチルカメラを調べた。要するにAV出力がある普通のコンパクト・デジカメで良いので銘柄は何でも良い。ただし、注意しなくてはならないのは「画面に出る文字情報を消す事が出来る」かと、「スリープ機能をオフに出来る」かどうかである。スリープがオフに出来ないと中継途中で画面ごと切れてしまう。こうしたカメラのAV出力は要するに液晶モニタの代わりをテレビにさせるようなコンセプトなので、監視カメラのような使い方を考えていない事があるからだ。このあたり、カタログだけでは分からない所である程度めぼしを付けてからマニュアルをダウンロードする事になるが、その説明書にもそういう所は詳しく書かれていなかったりする。だから殆ど賭けであったりするのだが、結局アマゾンで値段を調べてズームレンズ2本付きの上に半額以下となっていた、OlympusのE-PL1を選んで見た。まあもっと安価なコンパクトもあるかと思う。ちなみにE-PL1はスリープオフ、画面情報表示オフ、いずれも可能である。ズームは手動、フォーカスはオートの他、マニュアル操作も可能。

外部マイクはそれこそ千円程度の安価なものから数万円を越える高級品まである。基本的に音声のみの中継をするのならそんなに高価な物を使う必要はない。下手に高級品を買うと余計なノイズを拾う恐れもあるからだ。今回、手元に揃えたのはロアスのchat用マイク、オーディオテクニカの中級品、そして指向性が鋭いガンマイクである。後者2つは三脚やホットシュー(カメラのストロボを付ける所)に取りつける事が出来る。Olympus E-PL1本体も動画用にマイクを内蔵しているが、ビデオ出力時にはそのマイク信号はラインに出て来ないようである。これは通常使用でハウリングが起きるのを嫌った為ではないかと思う。いずれにしろ、カメラ本体に内蔵のマイクだとズーム操作などの音を拾うので、マイクは別系統にした方が良い。種類は色々あるが、一般に高音質なものは感度が低めである。使用する周囲の状況によって判断するしかない。このあたり、経験も必要である。実感としてはAT9940でもやや感度としては物足りなさを感じた。ここに上げた製品以外で安価な物を物色してみると良いかもしれない。

あとはUSBインターフェースである。映像信号を取り込むにはMatheyがアダプタを出している。コンポジットの他、S端子からも入力出来る。マイク信号をUSBで取り込むには、SANWAが出しているアダプタがある。これにはヘッドホン出力に加えてライン出力もあり、モバイル運用では殆ど関係ないがMacBook Airからの音を別途外部でミックスするのに使える。

これで基本的なパーツは揃ったが、ほかにあると便利な小物をあげておこう。ELECOMが出しているUSBハブはスイッチで4つある分岐のそれぞれを自在にオン・オフ出来る優れものである。パッシブなハブでは電力の制限があるし、モバイル環境では不要な電力はカットするに越したことはないので、持っておくと便利ではないだろうか。また放送現場では音声モニタ用に簡単なヘッドホンがあると良い。MacBook Airのスピーカから音を出すと、エコーやハウリングが起きる事もある。iPhoneを使っているなら、それのイヤホンを流用する事が出来る。あと何かと便利なのが、携帯を三脚に付けるアダプタである(上写真の右端)。

あと、iPhone4によるUstream配信についても触れておきたい。手軽さという点でこうしたスマートフォンに勝る手段は無いと思うからだ。やり方は簡単で、Ustream Live Broadcaster という無料アプリを入れてやるだけだ(最初はUstream側の設定も必要だが、それはソフトウェア編を見てもらいたい)。実際に試して見ると映像は綺麗なのだが、音の収録に今ひとつ難儀する。近くの音は充分に拾ってくれるがやや遠くとなると苦しい。実はiPhoneには内蔵マイクが2つある。一つはHomeボタンを下にして縦に持った時の下部、電話をする時の口のあたりだ。もう一つはイヤホンジャックの近く。しかしこのイヤホンジャックの仕様が変わった為に、外部マイクに使える物が殆ど無くなってしまった。iPhone用と銘打っているものでも、iPhone3までのものが殆どだ。そうした中、唯一の例外が TouchMe.com の販売しているMityMic 。国内では売られていないようだが、オンラインで注文出来る。筆者は試していないが、レポートしているブログなどによると充分に使えるようだ。そういえば、Turtlebackというズームレンズ装着可能なiPhone4ケースも出るらしい。となるとかなり見逃せない選択肢となり得る。

屋外で放送する場合、当然ながら無線装置が必要だ。MacBook AirはWiFi内蔵なので、WiFi経由で接続出来るモバイルルータの類が良い。筆者はWiMaxのURoad-7000SSを使って本レポートを書いたが、無論それにこだわらなくてはならない訳ではない。書き忘れたが、本ドキュメントで試しているiPhone4によるUstream発信は、WiMax経由で行った。また、固定環境でMacBook Airを使う時には、USB-LANのアダプタとしてPLANEXのGU-1000Tがお勧めである。純正品のアダプタは100Base-Tだが、これは1000Base-Tだからだ。マシン間でのファイル転送時には威力絶大である。

最後に本頁で紹介している各社製品イメージは、多くを実際に購入したアマゾン社のオンラインサイトからキャプチャしたものである事をお断りしておく。言うまでもなく、大きさを多少変更している以外無加工である。


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