一刀両断ミニコラム
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《2008.01.30》
孤島沈没騒動
 カートレット諸島が壊滅の危機にあり、それはぜ〜んぶ先進国の出す二酸化炭素のせいだ、という騒ぎが起きている。28日深夜にテレ朝系が放送したドキュメンタリー「沈みゆく国からの報告」なんてのはその典型であった。満潮になると海水が侵入して島が分割され、飲料水は潮が混じり、島民数百人は移住を余儀なくされ、それは温暖化による海水面の上昇が原因で、CO2が悪いのだと言う内容であった。
 さて、ではそう断言していいのかを考えてみたい。まず数字から一見して分かる矛盾がある。島は最高地点で1.5メートルくらいの海抜らしい。それが海水面が上昇したので壊滅の危機にあるというのだ。では本当に上昇しているのかといえば、その根拠は示されない。番組中で引き合いに出されたのは、イタリアのベネチアでこの100年間に10cmの海面上昇がある、という話だけだ。100年で、である。で、このカートレット諸島でも同じように海面が上昇しているとして、10センチの上昇で何故1.5メートルの島が無くなるというのであろうか。残りの140センチが無くなる理由は何か。オーストラリアでの海水面測定値は殆ど上昇してなどいないというデータもある。
 また、海面上昇がなくては島が沈む筈がない、ということもない。海流の変化によっても10センチ程度の変動は充分に起こる事で、例えば日本で言うなら黒潮が蛇行を変えただけで沿岸の海水面など数センチ程度は変わるのである。河川の出口に堤防を作ったら何キロも先の砂浜が消えたという話を聞いた事があるかもしれない。海流の僅かな変化で土地などあっという間に削られるのである。
 だが、このカートレット諸島に関して言うならもっと明確に判断できる材料がある。それはこの諸島が単なる環状珊瑚礁(環礁)だという事だ。Wikiなどで調べればすぐに分かるが、そもそもここには大きな火山があったのである。例えて言うなら富士山が頭の部分だけを海面に出しているようなものを想像すると良い。その周囲に沿って珊瑚礁が発達、本体の島は風雨で浸食され珊瑚礁の部分だけが環状に残ったのが環礁だ。当然ながらこの環状に残った部分も最終的には浸食されてしまい、最後は海中に沈んでそこだけが浅い海山(ギュヨーと言う)という形に残る。つまり、このカートレット諸島にしたところで、いずれは沈む運命にあるのだ。問題はそれが早まっているかどうかである。
 環礁はこのカートレット諸島だけではない。ミクロネシア連邦などは600以上の環礁から成る島嶼国である。そこで軒並み島が沈没するという騒ぎが起きているというなら話は分かるが、そういう騒動は起きていない。騒がれているのはこのカートレット諸島だけである。かような状況証拠から総合的に判断するに、このカートレット諸島は既に島としての寿命を迎えているのだと考えるのが最も合理的であろう。無論、島民にとっては深刻な問題であろうし、彼らの救済は図られなくてはならないが、それとCO2に一方的に責任転嫁する話とは別である。
 環境バカ騒ぎについては、昨年暮れに本欄でも紹介しているが、これもその一環であると考えた方が自然に見える。例えば仮にこの騒ぎを影で演出した張本人がどこかにいて、こうして各国から援助を募り、その一部を島民救済に回して残りを着服しようとしているのだと考えたなら、その方が話の筋は綺麗に通るではないか。つまり、一種の環境詐欺と見る事が出来る訳で、「早くしないと手遅れになる」と結論を急がせる所も詐欺に良くあるパターンである。
 それにしても問題なのは、こうしたメディアの取上げ方である。ある話を持ち出して、それの原因はこれだと決めつけ、その間の論理演繹は皆無なのだ。かつて種痘に対して「そんなのを打ったら人間が牛になる」と騒いだ奴らと全く同じレベルであって、そこには科学的、論理的な検証という発想は全くない。敢えて言うなら小学校低学年にも笑われる知能程度とでも言うしかないのである。こんな茶番にだまされてはいけない。

《2008.01.28》
暫定と恒久
 ガソリン税の「暫定」税率の期限切れを回避するかどうかで、与党と野党が全面対決の様相を呈しているが、どうも庶民感覚とはかけ離れた所での攻防という印象を拭えない。そもそもがガソリン価格の高騰は原油価格の上昇によるもので、その殆どは投機によるものであり、アメリカがサブプライム問題を起こしたから投機マネーが殺到しているのであって、ガソリン税を下げる事とは問題の本質が全く違う。ウルトラ級に低次元な議論のすり替えである。
 大体、この「暫定」とか言いながら実態は30年以上続いている茶番を説明するのが先決ってものではなかろうか。この暫定的に始めた税金が、結局肥大し続けて今の200兆円を越えるという特別会計に直結しているのである。問題の根源はガソリン税ではない。特別会計という怪物を倒せるかもしれない絶好の機会だというのに、まったく民主党の幼稚な戦略には呆れる他はない。これでは大阪府知事選挙での大敗もうなずけるというもの。
 スジから言うなら全ての会計は一般会計へと一本化し、本当に道路が必要だというなら正々堂々と請求すればいいのである。それが出来ないと言うのだから、よほどうまい汁を吸っているということだ。今、この税金が切れたら地方財政にとって致命的だと叫ぶ輩もいるらしいが、そもそもが「暫定」的な金ではないか。この構図、例のインド洋給油問題と非常に良く似ている。給油が一日でも滞ったら大変な事になる、と散々放送したテレビの連中は、それから二ヶ月経っても何も起きないし非難声明すらどの国からも出ていない事など知らん顔で、今度はイージス艦によるミサイル迎撃成功を絶賛している。あらかじめ発射時刻を正確に予告してミサイルを撃ってくる敵など、どこにいるというのかなどと考えられるだけの頭が無いらしい。
 更に輪を掛けた茶番と言えるのは、所得税の「恒久」減税の方は僅か6年間であっさりと反故にしたことである。手元の辞書によると暫定とは「確定するまでの間、とりあえず一時的に定めておくこと」とあり、恒久とは「永久、永くいつまでも変わらない事」と書かれている。国会議員の国語辞典というのは、どうやら特別製らしい。なるほど、急病人を助ける為に介護人がかけつける場合でも駐車違反は断固摘発すると言う訳である。彼らのヘソ曲がり辞書には「人命は地球より重い」とちゃんと書かれているのであろう。

《2008.01.26》
見えないから恐い
 某大学院生が作ったコンピュータウィルス、何やら「続報」が延々と新聞に掲載されているようだ。何十種類もの亜種を作っていたとか、感染力が強いとか何とかいう記事が連日出てくるのだが、この辺の事情を多少なりとも知っているなら何となく噴飯モノの内容ばかりであろう。
 大体、コンピュータウィルスを1から作る例は稀である。ネットには昔から作成キットなどというものは普通に流れているし、少しプログラミングの知識があればひな形から新しいモノを作るなど造作もないはずだ。元々、Windowsのセキュリティなど穴だらけであって、最も安直な例を挙げるなら拡張子を書き換えるだけでウィルスになりうる。
 26日の新聞には、この学生が作ったウィルスはCD-ROMやUSBメモリからでも感染するなどと書かれており、如何にも大変な事のような文面なのだが、そもそもどんなウィルスであろうとプログラムに他ならないのだから、CD-ROMやUSBメモリからも起動できるのが当り前であって、そうではなくネット以外からは絶対に感染しないウィルスがあるというなら教えてもらいたいくらいだ。こんな事をさも凄い事のように発表する警察も警察だが、それを鵜呑みにしてインフルエンザ騒ぎのような書き方をするマスコミの無知蒙昧も一向に直らないらしい。
 思い起こすにかつてコンピュータウィルスという言葉が初めて世に出た頃、アスキー出版に「人間に移る心配はないのでしょうか」という問い合せが来たというエピソードがあったが、それから10年以上たってもこのテイタラクである。素人が勘違いするならともかく、仮にもサイバー警察というのだから一応は専門家並みの頭を持っていて欲しいと願うのは無理というものなのだろうか。これでIT国家を目指すと言われても、ねえ。そういえば、この学生の逮捕理由は著作権侵害であってウィルス作成ではなかった筈だが。

《2008.01.21》
超温室栽培
 東京のホテルにとって、受験シーズンは稼ぎ時であろう。なにせ一泊14万とかいう受験生向けパックが飛ぶように売れるのだそうだ。共通一次試験では、あちこちで「トラブル」というニュースが報じられた。省エネ設定で電気が突然消えてしまったから再試験、試験中に受験者の一人から携帯電話の着メロが鳴ったからと再試験。まったく至れり尽くせりである。
 火事で煙がたちこめたとか、地震で天井にヒビが入ったとかいうなら分かるが、たかが室内照明が消えたとか、どこかで携帯メロディーが鳴ったくらいで再試験が当り前だとは知らなかった。関係者の弁としては「一生に一度のことだから」というフレーズが見られたが、たかがこんな事くらいで精神が乱され集中出来ないというのでは、その事自体が受験資格を疑われていいのではないかと思うが如何であろうか。関係者は受験生の為のような口上を並べているが、実のところはトラブル回避と保身に他なるまい。こんな学生が入学してきて、授業中に電気が消えたら再授業でもやるとなったら、教授の方こそいい面の皮だろう。
 ただし、こうやって手厚い保護をしてもらえるのも卒業までである。社会に出ると彼らには途端に厳しい風が吹き付けるからだ。自己責任という言葉を突然覚えさせられ、就職しても何時クビか分からないと怯えながらうつ病の危機と戦い、就職を逃すとネットカフェ難民となって派遣で食いつなぐ茨の道が待っている。
 この根底には、目先の事しか考えずに口先だけ綺麗事を並べ、その本音にあるのが自分の保身だけという大人社会の倫理がある。製紙業界が古紙混入率を偽ったと誰もが集中砲火を浴びせているが、そもそも環境ビジネスという概念そのものが非常に怪しげである事は本欄でも何度か指摘してきた。製紙業界が最初から「そんなに古紙を混入したら品質を保てない」と堂々と発表してれば問題は無かったのだが、それを出来なかった事も元を辿れば意味も分からず、その結果の事も考えず、目先の単語だけに群がる世風があるからに他ならない。
 その風潮が別の形で現れたものが、この受験生過保護とも言えるのだ。こんなに精神的にヤワな人間を社会にせっせと送り出して、日本の将来をどう設計しているのかという事など、誰も考えていないのであろう。

《2008.01.18》
エコノミック・ヒットマン
 ズバリ、表題の本が出ている。1800円の単行本だ。実際にエコノミック・ヒットマンとして活動していた人が、老後になって自分の行ってきた事実を執筆したものである。朝日ニュースターの番組、「デモクラシー・ナウ」でも紹介されたのでご存じの方もいると思う。では、エコノミック・ヒットマンとは何か。それは国際的なスケールで経済コンサルタントとして活動する人であるが、それは表向きの顔に過ぎない。実態はこのようになる。
 米政府がどこかの途上国に目を付けたとする。すると、このエコノミック・ヒットマンが派遣される。彼はその国の経済状態を詳細に調べ、おもむろにそこの政府に対して「こういう投資をすれば、貴国の将来はこのように経済成長をしてバラ色になりますよ」とアドバイスをする。投資と言っても貧しい国にそんな金はないから、当然ながら世界銀行から借金をしてまかなう。エコノミック・ヒットマンの提案は、大抵が鉱山の開発や油田の発掘などである。話が成立すると、工事にやってくるのはアメリカの建設会社である。
 さて、米政府の真の目的はこれからだ。結論から言うとその国は借金の返済に追われ、決して豊かにはならないのである。ただし、米国は開発した鉱山や油田から資源をせっせと運び出していく。また、借金で首を回らなくした国に対しては、例えば国連決議では米国を支持するような票を入れさせたりもする。無論、ただ搾取したのでは相手は納得しないから、一部の特権階級を作り、そこには甘い汁の一部を吸わせてやる。一般国民が貧困に喘いだところで知った訳ではないのである。
 ざっとこういう役目をするのがエコノミック・ヒットマンである。かつて中南米や東南アジアで国の抱える借金が膨大になり、世界問題となった事があったが、これであろう。この時、当該国の指導者が言う事を聞かない時は、今度はジャッカルと呼ばれる本物のヒットマンが派遣される。間もなく、その国の指導者は交通事故や飛行機事故で命を落とす事になる。相手が用心深くてそれが出来ない場合には、最終手段がとられる。それは米軍の派遣である。パナマのノリエガ将軍に対してアメリカがわざわざ軍まで派遣した理由にこれがあったとしても不思議ではない。また、最近ではイラク侵攻がこれだと言われている。
 おおざっぱに言って、米国の言う「自由」とか「民主主義」というのはこういうものだという事であるが、ここでこんな話が何故本になったのかを考えなくてはならない。当然ながら、こういう裏事情はマフィアの真実と同じであって血の掟で守られている筈だからだ。事実、著者も最初にこの仕事についた時、指導教官から「この事をどこかで洩らしでもしたら、君の命はないよ」と言われたと書いている。という事は、こうしたエコノミック・ヒットマンは既に活動などしていないことになるのであろう。今更明らかになったからと言って、きっと米政府には痛くも痒くもないのだ。
 では今は一体何をしているのか。その一つの答が経済のグローバル化戦略ではないかと思われる。各国が関税障壁を無くし、自由な経済活動を可能にしようと言えば聞こえはいいが、要するに全地球規模での弱肉強食化である。別の言い方をするなら、米国のハゲタカ企業がその国に自由に乗り込んで食い荒らす事が可能になるということだ。これならわざわざ手間をかけてヒットマンなど派遣する必要はなくなる。
 実際、日本は小泉政権の前、橋本政権頃から一貫して市場開放を行ってきているが、結果として主だった一等地の不動産には米国系ファンドの息がかかり、日本法人を使った三角合併も可能にして日本企業を外資が買収する道を開いた。それが国民生活を豊かになどしなかったのは言うまでもない。派遣労働者に代表される経済難民を別にしても、日本の国民一人頭の名目GNPは2000年から僅か6年で世界2位から18位にまで転落しているのである。
 経団連は利益額が競争力だなどと壊れた録音機みたいな事しか言わないアホ揃いになっているので、いずれ目を付けられた日本の企業が一気に買収される事も起こりうるだろう。数年後には技術だけが米国系企業に移管され、あとは日本法人が解散されてチャラになるという図式である。もっとも、それが無くても既に日本は米国にあちこちで首ねっこを押さえられているのが現実。どこの八百屋にも並んでいる青首大根は米国の会社から種を毎年購入している。次の代の種は出来ないように「品種改良」されている大根だ。卵を産む鶏も、米国企業から受精卵を購入、それを日本で孵化させている。成鳥を交配させても美味しい卵は産んでくれないようになっている。風邪薬で何かと騒がしいタミフルは日本が世界で圧倒的な量を消費しているが、それ以外にもいわゆる血液製剤の類は同じ傾向だ。最近、やたらとうるさいメタボ問題も、背後には米国製薬業界がいるに相違ない。無論、CO2に絡んだ話もどこかで米国産業振興に結びつくのだろう。
 だからこそ日本は米国基地に毎年6000億円以上を支払い、米軍グアム移転の引っ越し費用と新居建築費用を分担し、ミサイル防衛の為に数兆円を出資し、毎年数十兆円の米国債を絶対に売らないという特約付きで購入し続けなくてはならないのに違いない。無論、日本の携帯電話などは既に筒抜けであって、政治家の動向が全て把握されているという話も充分にあり得ることである。つまり、日本はわざわざ特権階級を作ってそこに甘い汁を分け与えなくても良い国なのだ、と仮定すると色々と話のスジが通って来るのである。

《2008.01.12》
消費税化は是か
 日経のサイトを見ていたら、年金制度を改革して全額を消費税でまかなう仕組みに関するアンケートが出ていた。やってみると、何だか今の年金制度に関する問題点の問いにあるのが世代間の不公平だの未納付問題だので、改善案に対する指摘が将来の税率アップだのであって、要するに日経としては年金など社会保障費を消費税でまかなう事を推進したくてしょうがない、というような印象であった。
 消費税化をして一番得をするのは企業である。今、社会保障費を従業員と折半で負担しているが、消費税化になればその負担分が無くなるからだ。全国ではおよそ3兆数千億円に上るという。消費税というのは全額価格に転嫁できる。即ち、消費税を社会保障税にするという事は、間違いなく国民負担は倍になるという事だ。しかも金持ちほど負担が軽くなる。だから財界、特に競争力の名の下に従業員から搾取して自分らの給料を大幅アップしている経団連などは諸手を挙げて賛成しているのだ。そして日本経済新聞はそれに雷同しているという事なのだろう。ちなみに欧米では企業負担分などもっと多いのが普通だという。
 そもそも今の年金制度の問題は、制度が不透明かつ不公平かつ詐欺である事だ。発足のいきさつが戦費調達であって、最初っから払い戻す事など二の次の制度なのである。だから25年も払わないと戻りが無いのだ。この25年を1年にするだけでも随分印象が違う筈だが、そういう議論はこうした制度改革には出て来ない。抜本的と言っているが消費税化にすれば企業負担は無くなるし、しかも取りっぱぐれも無くなるという思惑ばかりが先行しているに過ぎないのである。
 更に、税方式にすれば将来の人口構成予測など考える事なく制度を運営出来る。足りなければ税率をアップすればいいのだ。だから、無駄遣いだってバレなければし放題となるだろう。そうした歯止めが改革案に見られる訳でもないようだし、これでは新たな国家運営詐欺組織の誕生に他なるまい。世代間の公平性は重要だがどうしたって限度がある。だが、透明性はその気になれば簡単に確保できる。運営状況の一切を公開すればいいのである。その議論が最初に出て来ないという事は、要するに今まで吸ってきた甘い汁をもっと増やそうという事に過ぎないのである。そもそも、介護保険や高齢者健康保険のように、年金から天引きなどという仕組みが何故最初に議論されないのか。これだけで視点がどっちを向いているかなど見え見えではないか。

《2008.01.08》
能書きだけの規格争い
 ワーナーやパラマウントがHD-DVD陣営からBlu-rayへ乗り換えたという報道が流され、規格争いはBlu-ray有利てな論評がされている。だがこういう記事が例えばアマゾンジャパンにアクセスし、DVD中を「ブルーレイ」で検索してみると驚くほどソフトが少ない事に触れた試しは全くない。実際、本記事を執筆している時点で僅かに27本で、しかもアダルト系ばかりが目立つ。まあここに出てくる物だけが全てではない事は知っているが、それにしても少ない。
 それでは、と米アマゾンにアクセスし、同じように「Blu-ray」で検索をかけてみる。何と635件もヒットする。しかも驚く事は値段が安い点だ。例えば、ブレードランナーの各種バージョンを含めた全5枚のボックスが何と28ドルである。実は辛口子はこれを昨年見て思わず購入してしまったのだが、嬉しい驚きがあった。日本語版と同じなのである。つまり日本語字幕がちゃんと入っているし、ディスク起動時に出る「著作権云々」のメッセージも日本語だし、メニューも日本語だったのである。勿論、英語でも表示される。画面の美しさは言うまでもない。冒頭、ロサンゼルスの未来像では降りしきる雨の粒までもちゃんと見てとれる。
 で、値段の話に戻ると、他の作品を見てもDVDとBlu-ray、或いはHD-DVDで価格差が殆ど無い事が分かる。大体が20ドル程度だ。例えばハリーポッターの全5作品がボックスになっていて100ドルという具合である。ターミネーター2などは14ドルだ。ここで改めて日本アマゾンで検索した結果と比べると、ラインナップといい、価格といい、一体どこまで本気で規格争いをしているのだろうか、という気になってくる。争うというなら少しは消費者を引きつける策を取るのが普通というものだろう。
 **後日談だが、アマゾン(日)でも「blu-ray」で検索すると300件以上ヒットするという事に気づいた。アホであった。ただしDVDに比べて割高な価格設定である点や、アダルト物が目立つ点は変わらないし、そもそもDVD自体が高い。日本のアニメで比べても、戦闘妖精雪風のDVD 5枚ボックスが米アマゾンだと36ドルだったりするのだから不思議である(日本で出るのは11500円)。
 能書きだけなのは、再生機も同じだ。米アマゾンで調べると大体350ドル程度でBlu-rayのプレーヤが売られている。HD-DVDはもっと安いのがある。翻って日本市場を調べると、そもそもプレーヤと名のつく物が殆ど無いのが実情である。実質的に皆無と言ってよい。日本でBlu-rayプレーヤと言えるのは、PS3くらいなものであろう。これでは規格争いなどただの能書きに過ぎず、実質的には馴れ合いで争いを演じているのだと思われても仕方あるまい。この現実を見る限り、そもそも市場を拡げて少しでも自陣営を有利にしよう、などという発想が関係者の頭にはかけらも無いのに違いない。やっている事は自分の利権を僅かたりとも失ってはならないと、嫌がらせプロテクトを必死にかけまくる事だけで、その軽薄な発表を鵜呑みにして繰り返しているだけなのが、今のメディアでもある訳だ。

《2008.01.04》
解けた25年問題
 2007年暮れに放送された、パックイン・ジャーナルスペシャルを見ていてなるほど、と思わず納得したのが「何故、日本の年金は25年も掛け金を預け続けないと、受け取る資格が無いのか」であった。分かってしまえば答は簡単である。要するに年金というのは、我々が預けた金をずっと後になって受け取るのではないからなのだ。次の世代が払っている金から受け取るのであるから、その25年分は使ってしまってもバレないのである。特に年金制度が始まった当初の頃を想定すれば、この搾取の仕掛けが一層はっきりすると思う。年金開始から25年の間に集めた金は、端的に言って自由に使ってしまえるのである。後になっても人口が増加している限り、その増加分は着服しても破綻しないことになる。そして、年金台帳から記録が「抜け落ちて」いるなら、それも着服したってバレないのだし、バレるのもずっと先になるのだ。
 ここで仮にこの25年という数字が1年だったとしよう。例えば59歳の人が1年だけ掛け金を納め、後にその分だけでもいいから受け取りたい(金額は少なくなるが)という事が可能だったとしたら、こうした「旨味」は大幅に減少する事が分かるだろう。日本の年金制度が誕生したのが真珠湾攻撃の年であって、その目的は戦費調達に他ならず、最初っから払い戻す事など殆ど想定していなかったということは本欄でも以前触れたが、そのミソ中のミソたる仕掛けがこの25年という制限にあったのである。まったく、頭の良い奴というのはいるものだ。
 年始になって、福田首相もこの年金に関しては制度の抜本的改革を提唱してはいるが、仮に改革が実現したとしてもこうした一見本質を見せずに搾取する仕掛けが残っていないかどうか、我々の側は慎重に見極めなくてはならない。今の厚生官僚などに任せようものなら、別の搾取メカニズムを組み込んだ上で、社会保険庁解体による責任霧散程度の事は簡単にやるだろうからである。実はこの25年制限の撤廃を民主党が提案している。恐らく官僚はあらゆる手段を使ってこれを阻止しようとしているに違いない。仮にこれが実現するようであったら、民主党の政権担当能力は任せてみるに値すると考える事も出来よう。

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