一刀両断ミニコラム
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《2003.06.28》
言論の自由を考える
 コミック「ブラックジャック」の海賊版を作って販売した、という会社員に対して有罪判決が出た、と報じられた。判決そのものは当然である。著作権侵害の手本のような事件だからだ。しかし、この会社員が製本したのは、公式には単行本に入っていない10のストーリー。入っていない最大の理由が、患者に不快感を与えるというものである。実際に不快だ、と言った患者がいたのかどうかはともかく、ここに見過ごされがちな問題の本質がある。それは言論の自由とは何か、という問題だ。今発売されている週刊モーニングに連載されている「キマイラ」に、こんなシーンがある。ある放送局の取材班が手にいれた政治絡みの特ダネが、局の意向で知らぬ間にボツになる。記者が上司に抗議すると、「お前なあ、ウチの社長とこの政治家は娘婿の間柄だぞ。知らんのか」という返事と共に、「この国に言論の自由などない。メディアと政治は持ちつ持たれつなんだ」と言われるのである。この漫画は無論フィクションである。だが、実際に大手テレビの報道を見ていると、客観的かつ公平な視点で報道をしているかどうか、疑問を感じるだろう。なにせ、森総理の時にはゴルフ中にチョコを賭けたというだけで大騒ぎしていながら、小泉政権の経済失策で毎年1万人が自殺に追い込まれていても、北朝鮮ばかり流しているのだ。さて、このメディアがせっせと広めている概念が、いわゆる「差別的云々」というものである。この考えのおかしな点は、誰も被害者が明示されていないという点にある。実際に、当事者がどこかの媒体で、公式に声を上げているとか、訴訟を起こしたという話を殆ど聞かないからだ。例え、それで問題が起きたとしても、それは言った当人が落とし前を付ければいい事であって、第三者がよってたかって、決めつける問題ではあるまい。このブラックジャックに関して言えば、その作品を見たくない人がいる「かもしれない」一方で、見たい人もいるのである。少なくとも、「不快に思う人がいるかもしれない」のを理由に、出版をしないのは、明らかに読みたい人への権利侵害であろう。必要なら、そのような表現がある旨、表紙にでも明記すれば済む話だ。それでも手にとって読んで不快に思ったなら、それは手にとった読者の責任だからだ。これこそが言論の自由というもので、日本のメディアの現状は、まるで共産圏社会のように、どこかで誰かが決めた基準が、知らぬ間にハバを効かせているのである。この会社員は、そうした作品を製本し、それをネット販売して小遣いを稼ごうとしたのが失敗であった。例えば、P2Pのような形でネットに流したのなら、捕まりようが無かっただろう。言うまでもなく、それでも違法行為ではある。だが、P2Pで流通するコンテンツが激増している、という事実は、単なる侵害とは別の、ある意味、これこそが言論の自由である、という一面を持つのである。これについては、長くなったので、また日を改めて取り上げる事にしたい。
《2003.06.27》
レイプ礼賛?
 自民党の太田誠一議員が、鹿児島市で「集団レイプする人はまだ元気があるからいい。正常に近いのではないか」と発言し、物議をかもしている。なにせ、昨日は大阪府の大学4年の男が、のべ60件の強姦事件を起こしていたらしい、と報じられたばかりだったからだ。ちなみにこの学生、自宅に「強姦日誌」を残していたそうで、泣き寝入りしていた被害者女性の所にも捜査員が現れる筈だから、色々な意味で心中察するに余りある事になりそうだ。ところで、議員に話を戻すが、この真意は、最近の男はだらしがない、という事を言いたかったらしい。レイプが元気の証明という単純思考にも恐れ入るが、元々、人類の結婚形式は強姦婚だった、などとまことしやかに唱えるのがいるのも問題だ。最近の学説では、それは否定される傾向にあるからである。
 人類も、他の動物と同じように、メスがオスを選んできた事はほぼ確実。以前にも書いた事があるが、出会い系サイトもなければ、見合いもない動物たちは、どのように伴侶を決めているのか。実は、様々な戦略で、「メスがより優れたオスを選ぶ」仕掛けを、動物は発達させている。鳥類では一般に派手な姿をしたオスが、メスから好まれる。派手という事は、天敵からも目立つので、それだけ優れたオスである事を意味するからだ。シカの角がオスだけ非常に大きいのも、この戦略で説明がつく。あの角は武器としては殆ど役立たないので、以前は何故あんなものを頭につけているのか、謎だった。だが、あれだけ重い物を乗せていながら、敵から逃げられるのなら、丈夫な体をしている事の証明になるのである。では人間はどうか。人類が言葉を話すようになったのは、およそ2万5千年くらい前と言われる。何故分かるのかというと、骨を調べる事で口蓋の空間サイズから判断できるのである。しゃべる為には、口の中で舌がめまぐるしく動かなくてはならない。つまり、それだけ動ける空間が口の中にないと、しゃべれないのだ。チンパンジーは記号で言葉をある程度理解できても、口に出せないのは、この口蓋の構造による。他の動物も同じだ。口を閉じて、モグモグと食べ物を咀嚼できるのは、人間だけ。ペットを飼っている人は、犬や猫を観察してもらいたい。必ず食べる時には、唇は開いている。では、話を戻して、まだ言葉を持たない頃、人類はどうやって配偶者を見つけていただろうか。人類は非常に子育てに手間がかかる。ある程度大人について歩けるまでに、約8年、大人と似た考え方が出来るまで14年、成人と言えるには20年もかかるのだ。従って、メスは子育てにエネルギーをとられ、自分でエサを探す事が出来ない。必然的に、外敵から守ってもらい、エサも調達してもらう事をオスに期待しなくてはならない。その為には、強いオスが必要である。ただ、強いオスを探すと言っても、原始時代にK−1大会は無かっただろうから、何らかの戦略を使った筈だ。例えば、実際に肌を合わせてみて、強いオスだと判断したかもしれない。嫌なら撥ねのける訳である。撥ね除けられるようなら、弱いオスだ。ちなみに古代から、メスは特にオスに従順だった、などという証拠は何もない。で、今でも我々が、格闘技を見て、胸をときめかすのは、強い個体が優れている、というこの大原則が、ファームウェアとして、脳にしっかりとプログラミングされているからである。こうした事から、かつては強姦が強さの証明と思われた経緯があるのだが、これはメスが承知でオスを選ぶ手段として行っているのだから、強姦とは違う。このあたりは、なにせ記録もない昔の事だから、推測に頼るしかないのだが、仮に無理矢理で生殖行為を行ったとしても、それでその後20年もうまく生活出来た、とは考えにくい。生活できなければ、子孫は育たずに死んでしまう訳で、そういう個体は結局子孫を残せずに、滅んで行ってしまうだろうから、強姦説は否定されるのだ。
 では何故、今でもレイプをするのがいるのか。それは自己の「強さ」を表現したい、という衝動にかられる事で説明がつくであろう。前述したように、強い個体は優れている、という基本ソフトが我々の頭には組み込まれている。だから、誰でも自分は強い、という事を何らかの形で示したい、という衝動が、特にオスに強い。運動で体を鍛えたり、大会に出て証明するのなら良いのだが、時としてそれがおかしな方向へ行くと、人を殺傷して強さを証明して見せたりするのだ。放火も、そうする事で大勢の人間が騒ぐので、自分にはこれだけの事が出来るのだ、と自己満足出来るからやるのである。これでおわかりだろう。あの議員も、こういう発言をする事で、「俺は偉いんだぞ」と顕示したかったという事なのだ。要するにまだ進化が足りないとも言えそうだ。
《2003.06.26》
テレビ電話OS
 アップルがG5マックを発表、これは次世代64bitの新CPUを搭載したマシンである。このハードに対応するOSとして、年末に発売が予定されているのが、Pantherと言われる、次バージョンのMac OSX。この64bitというのは、メモリのアドレス幅の事で、技術的には色々と目新しい点はあるものの、使う側から見れば、見えない部分の違いに過ぎない。車で言うなら、エンジンのシリンダ数が増えたようなもので、車の外見だけでそれを見抜くのは、マニアの目が必要なのと似ている。という訳で、発表を受けたマスコミ側も、見出しには悩んだようで、結局出てきたのが、今まであったichatの次世代版が、画像通信機能も持っているというものであった。つまり、次OSの目玉はテレビ電話、となった訳である。勿論、失笑を禁じ得ないが、まあメディアの頭ではこんなもんではないか、という気もする。OSが64bitになる時、一番違うのはメモリ空間の考え方である。64bitのメモリ空間は途方もなく広大で、周辺デバイスやHD上の情報管理、果てはネットに至るまで、一つのメモリ空間として記述が出来るからである。今までは、仮想記憶という仕掛けで、アドレスを変換してアクセスを実現していたのだが、その変換の手間がいらない分、OSが安定し、速度も向上するのである。とはいっても、使っているユーザから見ると、特に変わった絵が画面に出る訳ではない。だから、Windows陣営はなかなかその方向には、踏み出そうとしないのだ。WindowsはCPUのメモリbitが増えても、その機能を生かすのに常にワンテンポ遅れてきた。80286から80386になって、ようやく8086の呪縛から逃れられても、Windowsは2000になって、やっとそれに追いついたと言って良い。従って、アップルのこの戦略は確かに先進的ではあるのである。ただし、実用的かどうかは何とも言えない。発表されたG5マシンは、確かに高性能を立証したが、それを個人ユーザがどれだけ必要とするかは、別問題だからだ。それとテレビ電話機能も、新OSやハードを必要とするものでもない。事実、今のマシン、今のOSで走るプレリリース版がもう公開されているからだ。この点でも、マスコミの報道は的を外している。また、テレビ電話がネット社会で革新的でも何でもない事は、古くから、CU-SeeMe等のビデオチャットツールが存在している事でも分かる。テレビ電話は未来の通信手段と勘違いしている向きは多い。電話は音声だからこそ、安心して話せるのである。家庭にテレビ電話が入る事は、他人の目が自室に容赦なく入り込んで来る事を意味する。SFドラマでは、主人公は常に身なりを整え、部屋は整頓されているが、現実はそうではない。たまたま洗濯したばかりの下着が干してあるかもしれないのである。また、既にノートPCにカメラを搭載している物があるが、それをリモートで覗き眼鏡にするウィルスが存在すると言われる。ブロードバンドの常時接続になったら、例え信号が余分に流れていても、気がつかない。知らぬ間に、自分の生活が他人に覗かれている事になるのだ。アップルの発表案内メールには、このテレビ電話をどう活用したいか、というアンケートへのガイドが出ていたが、その中に遠隔授業や会議といった項目があった。だが、こんな物にテレビ電話は必要ない。必要なのは、むしろ資料を的確に画面に表示するシステムだろう。顔が映る必要などないのだし、通常のこうしたアプリの画面サイズでは、文字など読めたものではない。それよりは、chatをする者同士で、共通に書き込めるホワイトボードのような仕掛けがあった方が、話をする上では役に立つのではなかろうか。この点で、アップルも「外し始めている」のではないか、と、辛口子は危惧している。
《2003.06.25》
土建界の総元締
 日本道路公団が、おのれの身を温存する為に、恥も外聞もなく、あらゆる手段であからさまな抵抗を行っている。大きく報じられた、改革派を地方に飛ばす人事が話題となったが、国会ではその事について総裁自らが「そんなつもりはない」と平然と説明。首相からクギを刺されても痛くも痒くもないらしく、次は高速道路の資産計算を公表。これがまた、素人が見ても「どんぶり勘定」そのものの、どれも1兆円以上の資産価値、という結果。合法非合法ギリギリで、あらゆる物を何でも資産に計上したらしい。今日は、やはり政府の民営化推進委員会で、財務諸表に対する第三者による会計監査を拒否。ここまで露骨に保身に走る鉄面皮は流石である。これを見ていてふと思い出したのが、先週の週末、テレビ朝日系で放送されていた、サンデープロジェクト。長野県のある設計事務所が、談合には今後一切参加しない、と公言したら、業界からかかってきた有形無形の圧力の報道であった。なにせひどいもので、営業マンは出先で恫喝めいた脅しをかけられ、その事務所が参加した入札では、どこかの別会社が必ず予定価格の半額以下という数字で応札をする。無論、その事務所が参加しないと予定価格の98%で落札している。要するに交代でその会社が落札出来ないようにして、破産するのを待つ訳である。これの驚くべき事は、発注する側の役所も一枚噛んでいる事で、それでも談合に応じないこの会社には、段々と入札指名通知が来なくなったのだという(入札は誰でも出来る訳ではない。役所から指名されないと入札出来ない)。これは役所のOBが、業界幹部として天下りしている構図から、来るのだ。長野県の田中知事は、この入札システムの抜本改革に乗り出しており、例えばどの業者でも参加出来るように、郵便による入札を始めるなどしているが、依然としてこの会社が危機的状況にあるのは変わりない。で、番組ではこの談合拒否会社の社長や、業界団体の会長等へインタビューをしていたのだが、社長の方はまっとうな顔をしている一方で、談合業界の元締めは(勿論、インタビューには一応応じ、そんな事実なんて無いよ、と平然と言う)、いかにも一癖ありそうな、まるでヤクザの下っ端のような顔だったのが極めて印象的であった。「男は40になったら、自分の顔に責任がある」と言ったのは、かのリンカーンだそうだが、まさにそのとおりである。日本はこういう連中が、糖蜜に群がるアリのように、税金を湯水のように使い、肥え太って選挙などにも影響を与えているのだ。そして、その総元締が、この道路公団だと考えると、連中のやる事が非常に分かりやすく見えて来るのである。
《2003.06.24》
のぞみ、なし?
 のぞみ、と言っても、新幹線の事ではない。今から4年前に日本が打ち上げた、火星探査衛星である。打ち上げ後、燃料制御系にトラブルが発生、燃料を必要以上に消費してしまった為、予定の軌道に乗る事が出来ず、苦労の末に先日、地球に再接近させ、スイングバイを使って再度火星接近に挑戦している。ところが、トラブルはそれだけではなく、電源系などあちこちに及び、今のままでは火星に接近は出来ても、逆噴射が出来ないので観測どころではない。無論、関係者は懸命に知恵を絞っているが、200億円が宇宙のチリとなる可能性は、阪神優勝のそれより遥かに高いのが現実だ。問題は、この200億円が無駄かどうかである。宇宙開発にリスクはつきもので、衛星打ち上げに熟練している筈の米国でさえ、成功率は半分程度と言われる。日本が失敗してもその意味では、そんなに非難されるべきではなく(天下りに退職金を何度も出したり、意味のない高速道路を作り続ける方が遥かに問題だ)、この程度の金額で大騒ぎすべきではない、と思う。ただ、話を良く聞いていると、どうやらトラブルの影響がここまで大きくなった一つの理由が、搭載燃料に余裕の無かった事らしいので、その点は見逃すべきではない。言うまでもなく、衛星は重量が第一に重要で、少しでも重量を減らさないと、打ち上げそのものが大変になる。が、余裕の無い設計はいざという時に被害を大きくする。このあたりのトレードオフをどこまで見極めるかが、プロの技というもの。そうしたプロの技が、日本から消えつつある、と言われて久しいからである。
《2003.06.23》
三位一体改革って?
 地方分権のお題目であって、小泉内閣の目玉政策の一つである。単純に言うと、地方交付税(国が地方にあげるお金)を減らし、その分、地方が独自に手に出来る税源を国の管轄から委譲する、というものである。それと同時に権限も委譲するから、これが三位一体という訳である。が、どうも話を聞いていると、そんな程度(念のため、権限や交付税は全て委譲する訳ではない。あくまで一部である)で日本が良い方向に変わるかどうか、かなり怪しくなってくる。そもそも地方交付税のシステムそのものが、問題を多く持っている。地方交付税は適用条件がある。先日、由緒ある小学校の校舎を、建て替えるか、改修して使いつづけるかで、リコール問題にまで発展した事件が報じられたが、これにはこの交付税の問題があり、壊して建て替えると交付税、即ち補助金が出て地元負担は1/4程度で済むのに、改修に対しては交付税が出ないのである。つまり、壊した方が地元負担は安く上がるのである。地元負担は安く上がっても、工事費そのものは高い訳なので、受注する土建業者にとっても都合がよい。よって、組織票で建て替え派の町長が再選されたという図式になる。(ちなみに、長野県の田中知事がリコール騒ぎになったのも、土建業界の抵抗図式そのものであった)で、立て替えの場合、補助金は何%という割合で出るから、工事を安く上げると、補助金も安くなる。ちなみに、こうした補助金で行われる工事には、結構うるさい条件が付き、床の厚さは幾ら以上にしなくちゃいけない等、工事費を必要以上にかけないといけないのが普通である。仮に、工事費を減らしたら補助金はその分、国に返済しなくてはいけない。その金は何に使われるかは分からなくなるのである。つまり、自治体が堅実に税金を効率良く使おうとすると、節約した税金は国の物へとなってしまうのである。よって、税金の無駄使いは増える事はあっても、減る事はない。そのような制度になっているのだ。現在、あちこちで市町村の合併が沢山行われている。合併するという事は、規模が大きくなる事である。大きくなれば、交付金も大きくなる。なにせ合併しても、職員数は減らないし、交付税が沢山来るのだから、合併もしたくなる訳である。こういう仕掛けは、なかなか報道されない。先の校舎問題も、何だか反対派住民と悪徳町長との対決みたいに報じられているのが、現実だ。こうして金が動いている実体が見えてくると、談合が減らない事も見えて来るであろう。では、三位一体改革でこの悪循環は解消されるのだろうか。報道を見ると分かるように、交付税を減らす事ですら、中央、特に財務省の抵抗が非常に大きい。何故かというと、金の流れで地方をコントロールする(天下り先の確保も含む)事が、出来なくなるからだ。これが解消されないとなると、市町村合併も一段と進むだろう。今でさえ、どこへ行っても駅前は何だかミニ東京みたいな所ばかりだが、合併が進んだら、地方が独自色を出す事が、益々難しくなっていくだろう。本当にそれで日本が良くなるのだろうか。先に、交付税を安く上げると、余った分は国に返す話をしたが、この「改革」も、結局は国がなるべく税金を抱え込む形で、決着をするような気配がある。言うまでもなく、これとは別に、増税項目も目白押しである。長野県の田中知事は、こうした金の悪循環を断ち切るべく、県独自の改革案を実践しているが、小泉内閣に同様なスキルがあるか、大いに疑問であろう。
《2003.06.19》
新型ウソ発見器
 アメリカで研究が進んでいるんだそうである。今までのウソ発見器は、ウソをつくと無意識のうちに汗をかき、脈拍数が変化する等を利用しているが、文字通り、面の皮の厚い奴はいるもので万能ではなく、裁判所でも証拠としては認められていなかった。今新たに研究されているのは、赤外線を使って、脳の前頭葉部分の活動を検出、その特定部位がウソをつくと活動するのを見るのだそうである。赤外線を使うという事は、目に見えない事であり、当人の知らぬ間に調べられてしまう可能性がある。つまりはプライバシーに絡む問題を含んでいる訳であるが、逆にこの方式が本当にウソを調べられるとすると、応用面は広い。誰もが考えるのは、政治家、官僚、不祥事企業の幹部というところだろうか。だが、ウソが無くなれば社会が良くなるというのは単なる理想主義である。ウソも方便というが、本当の事しか言えない社会が生まれたら、潤滑油の切れた機械のようになってしまうであろう事を、常に念頭に置いておかなくてはならない。ただし、当人が盲信している場合には何の意味もない訳で、IWCの代表に「捕鯨は善か悪か」などと質問しても、意味のある結果は返って来ないであろう。
《2003.06.18》
IWC不要論
 予想通りというか、IWCで捕鯨反対勢力が一層の保存強化決議を可決した。鯨は陸の動物は食べないから、日本の漁船が水揚げ寸前のサンマを、鯨にがぶりと食べられている現状など、どうでもいいのだろう。陸鯨というのがいて、あちこちの牧場に現れては、牛や豚をガブリと食べて行くとしたら、それでも「陸鯨は賢い動物で生態系で重要な位置を占める」などと言えるかどうか、考えさせてはどうであろうか。それ以前に、既にIWCは存在意義が変わっている。国際捕鯨委員会と言いながら、捕鯨などしない国ばかりがひしめいているからだ。日本はノルウェー、アイスランドと共にこんな馬鹿げた茶番組織などさっさと脱退し、IRWC(Rはリアル)を設立して、まっとうな鯨資源管理に乗り出すべきである。鯨は聖書に出て来ないから神聖だとか、牛や豚は神が人間に食べさせる為に作った動物だ、などというようなおめでたいのは、放っておけばよい。現に存在する動物が聖書に出て来ないのだから、聖書がウソだという以外、解釈のしようなどないからだ。
《2003.06.17》
新体操より新体制
 時々話題になる、元新体操(或いは体操)選手のヌード騒動。また週刊誌が掲載した事で、日本新体操協会などが騒いでおるらしい。新体操で使う手具が写真の中に出ている事から、新体操に対する侮辱なのだそうだ。新体操がそんなに気高い物だとは知らなかった。その割には、万年予選落ちでメダルどころか話題にもならないようだが、それを何とかして世界大会で優勝でもしてから、侮辱だの何だのと言うべきではないのか。ところで、週刊誌の記事には、元女王などと書かれているが、実際には二軍のような選手だったようだ。今では、単に有名になりたい、というだけでギャルがヌードになる時代、この子が新体操選手だった事を「売り」にするのは当然で、幾ら難癖を付けようと、後に続くギャルはいくらでも出て来るだろう。この傾向を逆手にとり、新体操の知名度と素晴らしさをPRするようなら、まだ感心する余地もあるが、単にお高く止まって偉そうにプライドだけを押し出すのは、見苦しいと言う他はない。何度かここで書いたように、「声高に綺麗事を言う奴には、ロクなのはいない」のである。新体操協会に必要なのは、まずこうした能なしの単細胞を排除し、本気で世界に通じる選手を育成すべき体制を作り上げる事であろう。それでこそ、言う事に説得力が出ようというものだ。
《2003.06.16》
万景峰号騒ぎの裏をみる
 政府の発言では「北朝鮮はけしからん」が繰り返され(15日も、阿部官房副長官が、北朝鮮は暴力団と表現)、マスコミは万景峰号に絡んで北朝鮮報道ばかりを流している。だが、万景峰号の問題など大した事ではない。今さら慌てて検疫を強化したところで、既に山のような物資が行き来しているのだし、あの船を押さえても日朝間を航行している貨物船は数百隻あるし、例えそれらを調べたとしても、第三国を経由すれば同じ事だからだ。第一、日本にはスパイ禁止法が無いのである。それより問題なのは、こうして北朝鮮ばかりが報じられる事で、個人の権利を制限しかねない有事関連の法律や、各種増税法案がすいすいと通っている事である。サラリーマンの方は、ボーナス明細を見てもらいたい。厚生年金が激増している筈だ。が、マスコミが報じないから、一向に世論は盛り上がらない。マスコミの北朝鮮報道そのものもいい加減で、船と一緒に拉致被害者の会を出すのは無論のこと、北朝鮮の喜び組映像やら、顔を隠した正体不明の「自称元工作員」らの話、平壌放送の映像などを延々と流すばかりで、およそ客観的で確かな報道をしているとは言えない有り様だ。我々は北朝鮮で縫製された衣服を着ていたり、あちらで組み立てられた部品による製品を安売り店で買ったりしていて、日朝関係は思ったよりも日常的に深いものがあるのだが、そういう話はちっともやらないのである。マスコミが政府と結託して世論誘導をしている、と見たとしても、筋が通るほどだ。その政府では、小泉総理とその周辺だけによって、政策が決められ、国会の委員会で反対意見が多数出ても、それに反論がされる事もなく「決議をとります。多数と認めます」が繰り返されている。党首討論で出た、「イラクの大量破壊兵器なら、そのうち見つかるさ」なんてな答弁、森総理だったら退陣騒ぎになったに違いない。一説には、事実上、北朝鮮並みの独裁体制になっているのではないか、という指摘すらあるのだが、考えてみると、内閣支持率も実は操作されているような気になってくる。遠くイランでは、反体制デモが活発化しており、裏で米国が糸を引いている、という話があるからだ。日本の世論誘導にも、同じ事が言える可能性はある。日本でCIAが活動しているという訳だ。なにせ、政府が米国べったりなのだ。スパイ禁止法はないのだし、CIAはやり放題だろう。あり得ない話ではない。
《2003.06.15》
ポアンカレの予想遂に解決?
 ロシアの研究者によって、遂に解決されたようだ、と伝えられている。世紀を越えて未解決となっている、数学の難問の一つである。その予想とは「単連結3次元閉多様体は3次元球面と位相同型か?」というもので、殆ど禅問答であるが、要するに「ある位相幾何学的性質を持てば、それは球面と言っていい」という事。面白い事に、5次元以上の高次元空間では、証明が既にされている。3次元ではまだ未解決だったのである。似たような話は、4色問題(地図の塗り分け)でもあったが、いずれにしろ、一般市民には何の事やらさっぱり分からんという点では同じであろう。ところで、数学と言えばこのように難解であり、専門家だけの世界と思われがちだが、必ずしもそうではない。簡単に理解出来るが、まだ証明がされていない問題も決して少なくない。その一つに、双子素数の問題がある。双子素数とは、5と7、11と13のように、差が2である2つの素数の事で、これが無限にあるという証明はまだされていないのである。素数そのものが無限にあるという証明は、小学校高学年でも分かるエレガントな証明がある。
仮に最大の素数があるとし、それをPとする。その時、Px(P−1)x(P−2)・・・x3x2という大きな数を考える。これは明らかに、Pから2までの全ての数で割り切れる。そこでこの大きな数に1を足す。すると、それはPから2までのどの数で割っても1余るので、素数という事になる。その数は明らかにPより大きい数であり、従って、どのような大きな素数よりも大きな素数が必ず存在する。
 このように、数学、特に整数論では理詰めよりひらめきによって、証明される事が結構あり、専門家よりも巷の愛好家が、ある日、革新的な証明を発案する事も珍しくない。無論、誰にでも出来る物ではなく、ある意味で天才的な要素は必要だが、それは試してみるまでは出て来ない能力なのである。他の事はてんで駄目でも、こういう方向でとんでもない能力を示す子供がいるかもしれない。ただ、言うまでもなく、どこかの政府は、知的立国を目指すという言葉だけ出すものの、こういう才能を発掘するような事は微塵も考えてはいない。
無駄づかいの皺寄せ
 政府は、国民年金の未納者から、強制的に預金差し押さえなどを使って、年金を徴収する事を実施する方向である。既にマスコミ等でも報じられているとおり、年金を管理する外郭団体は、放漫経営そのもので、山の奥に100万坪(平米ではない)の「保養地」を作って赤字経営をし(中にあるホテルは宿泊人数が200人というから、国民の為ではなく関係者の為なのは明らかだ)、あちこちに巨大なホールやプール等を作っては、採算が取れない事を理由に、地元自治体に払い下げ、その金額たるや、ホールが数十万円、プールが1万円というような事を平気でやって、「長い目で見なくてはいけない事業ですから」と、平然と答弁する連中が巣食っている。こうした無駄づかいには手を打たず、このままでは年金基金が無くなるから、というのだから政府もいい度胸である。NHKの調査によると、小泉内閣支持率は更に上がり、60%になったらしい。日本国民はマゾなのだろうか。
《2003.06.14》
詐欺の枢軸
 米国によるイラク戦争の大義名分が、日増しに怪しくなっている。先日は、CIAがイラク核保有疑惑について調査した時、疑惑はないという報告を隠していた事が明るみに出た。念のために繰り返しておくが、米国がイラクにつけた言いがかりは、当初、核保有疑惑であった。後にテロリストをかくまっている、大量破壊兵器を持っている、国連決議に従わない、と後から後から難癖を付けたのである。正確にはこの順序は一義的には定義できないが、何が何でもイラクを叩くという方針で、殆ど国際リンチにかけたのは事実である。テロリスト関与の証拠を見たと表明したり、米国の言うがままに戦争に賛成した国(当然日本も含む)を合わせ、まさに悪ならぬ詐欺の枢軸と言うにふさわしい。ところで、そのイラクでは治安が一向に回復していない。米兵の死者も公式発表だけでも数十人を越えたと言われる。「NATOがあとを引き継ぐ」と言い残してさっさとアフガンから撤退した米軍だが、今度は「日本の自衛隊があとを引き継ぐ」とでも言って、次の国の攻撃に向かうのであろうか。次の国は北朝鮮ではない。あそこには米国が欲しがる資源はないからだ。あり得るとしたら、イランかシリアあたりだろう。
《2003.06.13》
パレスチナ再燃の訳
 ニュースで報じられているように、テロが再び活発化している。和平合意の動きがあるのに、何故かと誰もが思うのではないだろうか。米国や日本の政府答弁は解説しても、その真相をあまり言わない日本のメディアだが、答は簡単だ。合意の中には、確かにパレスチナ国家を認めるという部分があるが、その大きさが非常に小さい地域(かつての領土の僅か7%)だけなのである。言うまでもなく、今のイスラエルがある所を含め、あそこはパレスチナ人の国家だった。第二次大戦後、ユダヤ人が大量に流れ込み、アメリカの後押しもあって、なだれ式にイスラエルが誕生したのだから、パレスチナ人にしてみれば、今回の合意はかつての国土が僅か7%のサイズに小さくなる事に相当するのである。日本に同じ割合を当てはめると、全国面積37.7万平方キロの7%、即ち2.64万平方キロで、ほぼ福島県2つ分に相当する。つまり、日本に外国人が大挙して押し寄せ、あちこちに勝手に住みはじめ、反対すると戦車が出てきて、「これが和平への道だ」と言って、福島県2つ程のところに日本人は住め、と言われるのと同じである。これで合意するほど、パレスチナ人がお人好しであるなら、最初からテロなど起きてはいないだろう。「平和が大事だから、テロはどうかと」などと答弁したのが、日本政府であるのは言うまでもない。
内閣の茶番
 「イラクには大量破壊兵器がある」と断言してきたが、ちっとも見つからないではないか、と11日の党首討論で民主党や共産党から追求された小泉総理は、「今に必ず見つかる」で押し通した。今に見つかるかどうかなど、どうでもいい。問題は、どういう根拠で、当時断言したかであって、この意味から言えば、まだ日本の党首討論は、高校生のホームルーム程度に留まっている。言うまでもなく、小泉内閣の「言うだけ言ってあとは知らん」は、今に始まった事ではない。「9.11テロへのアルカイダ関与の証拠を見た」と公式発言したのも、小泉内閣だ。その証拠とやらは、イラクという国が事実上無くなった今でも、まだ公開出来ないと言うのだろうか。もっとも、小泉内閣には最初から思慮深さなどは無かった。一連の改革と言っているのは、殆どが前内閣からの引き継ぎだ。特殊法人改革は、結局「境界線」を引きなおしただけで、特殊法人の規模も、天下りも何も変わっていない。増税だけは次から次へと打ち出すが(煙草の値上げは来月からだ)、公務員削減の為に公務員法の改正をするなどという話はカケラも出ない。軽率な発言で日朝関係を行き詰まらせるが、これは単に国内支持率だけを気にして、単に世論に迎合しただけの事である。イラク戦争の時、総理は「世論が何と言おうとやるべき時はやらなくてはならない」と言ったが、あれは海外の世論であって、国内支持率には関係なかった。小泉内閣の行動は、「国内支持率を下げない」「アメリカの言う事には何でも従う」という二大原則を仮定して考えれば、全て説明がつく。不思議なのは、相次ぐ増税にも係らず、全く下がらない支持率だけである。
《2003.06.12》
勝てない理由
 と言っても、性懲りもなくすぐ外人をとる、某在京球団の事ではない。サッカー日本代表の事である。11日の試合でもパラグアイに引き分け、結局通算の勝利数はまだ1に過ぎない。問題点は誰が見ても明らかで、一重に点が取れない事に尽きる。では何故か。辛口子が見ていると、どうも戦術そのものが、既に一時代古くなっているのではないか、という気がする。日本の攻撃戦略は、一言で書けば「敵陣の側面にパスを送り、周囲でパスを回し、相手陣営の防御を崩してから、突破する」というものだ。だが、スカパー等で世界の潮流を見ていると、こんな悠長な事をしている国はどこにもない。可能であれば、相手陣営のドまん中に一気にボールを叩き込み、そこで小刻みに回して相手の守備をかき回すのが主流である。日本の戦術は今では世界には通用してはいない。いくらパスを回しても、相手にスキが出来ないのがその根拠である。さて、中央突破の為には、体力と突破力のあるフォワードが必要だが、以前の日本ならともかく、今の日本には個性あるストライカーが育って来た。高原は世界で通じる中央突破の可能性を持つストライカーと言っていいと思うし、稲本は神出鬼没だ。となると、遅れているのは戦術ではないか、という事になる。とにかく日本はシュート数が少ない。打たなければ、ゴール出来る訳がない。あまり大きく報じられなかったが、先日、ベガルタ仙台は、イタリアからキエーボを招き、何と2対1で勝つという快挙を成し遂げた。その試合を見ていたが、要するに小細工はしない中央突破によって、得点を得ていたのである。
《2003.06.06》
知的立国への長い道
 学術誌や科学啓蒙雑誌の売れ行きが、落ち目傾向から立ち直らないようだ。文部科学省の調査発表によると、特に啓蒙雑誌は80年代に比べ、ほぼ1/3になっているとのこと。辛口子は、日経サイエンス等を購読しているが、本屋でもあまり正面に置かれなくなっているのには気がついていた。一時は売り場でのさばっていたパソコン関係書籍も、今では激減しているのは見てのとおり。ところでこの傾向は、別に世界的という訳ではない。日本の落ち込みは特に米国と比べて大きく、人口あたりの発行部数で比較しても、日本は米国の1/13に過ぎないそうである。まあ当然であろう。円周率を3とするなど、自分の頭で考えないような教育制度を進め、議論の正当さよりも言葉尻にばかり難癖をつけるような国民性では、当然の結果である。それでいて、どこかの白装束集団のように、スカラー波などと言う、意味のない単語だけは頭に入る訳で、これで知的立国を目指す国家政策だなどど言っても、どこの国からも信じてはもらえまい。ところで、それではどんな本が売れているのかについては、何も発表は無かったが、それは本屋でどんな本が、一番手前に並んでいるかを見れば分かる。端的に言えば、「パンが無いなら、お菓子を食べればいいのに」と言ったという(この話そのものの信憑性は不確かであるが)、マリー・アントワネットを笑う事など出来ないような物が並んでいるように、辛口子は感じている。
《2003.06.05》
ノーネクタイ
 神奈川県知事と、横浜市市長が、並んで「ノーネクタイと半袖」をアピールした。夏の電力不足を視野に置き、少しでも冷房を節約しよう、という意図だそうである。これで思い出すのが、オイルショックの時の「省エネルック」。ノーネクタイどころか、サファリ風の上着までわざわざ時の首相がデモったが、定着したかどうかなど改めて問うまでもない。そもそも、何とかの一つ覚えのように、ネクタイとスーツ、などと決めかかっているのは、日本くらいなもので、東南アジア各国の方がよほど柔軟に、着る物を考えている。かつてのリー・クワン・ユー首相(シンガポール)など、公式の場でさえ、半袖シャツにノーネクタイだったものだ。ネクタイとは、文字通り「ネック(首)」「タイ(紐)」であって、かつてフランス革命の頃、宮廷警備をしていた近衛兵が、退屈しのぎにブーツの紐を首に巻いたのが始まりだと言われている。要するに上流階級のファッションではなかったのである。由来も理解せず、単純に決まった服装をしないと異端扱いするなど、まさに脳梗塞そのものであって、ネクタイの色を少々変えた位で「お洒落」などと言っているようでは、柔軟な発想など及ぶべくもない。従って、省エネルックが定着しなかったこの国で、ノーネクタイと半袖が定着するとは思えないのだが、サラリーマンの服装が、スーツやネクタイから脱却した時、この国は構造が改革されたと判断する事は出来そうである。
交通事故数が減ったが
 政府は、交通安全白書で交通事故死傷者数が減った事を発表した。少なくとも4年に渡って、これまで増える一方だった数値が、遂に減少したのだそうだ。取締りや罰則強化が効いたと、関係者は鼻高々らしいが、ちょっと待て。不況のファクターは考えられているのだろうか。高速道路の渋滞キロ数を見れば分かるように、昨今、交通量そのものが減少しているのは明らかである。一般道でも、車の流れが以前よりスムーズになっている事は、ドライバーの多くが実感しているのではあるまいか。道路を走っている車そのものが減っているのなら、単純に喜ぶべき事とは言えまい。
《2003.06.04》
ラストエグザイル
 テレビ東京系で、毎週月曜深夜に放送している、アニメーションの題名である。最近知って、すっかりハマってしまっている。まず、絵がいい。メカのデザインが、丁度自動車文明の黎明期のような雰囲気で、そこに全く異なるテクノロジを操る、別の勢力が交わる。メカは殆ど3DのCGで作られているようだが、それが人間の2Dアニメと全く違和感なく融合しているのも素晴らしい。主人公は少年や少女だが、変に目が大きかったり、胸が巨大だったり、衣服の露出度が高かったりする事は全然ない。ところが、非常に存在感があって、それを取り囲む大人たちと、互角に渡り合う。分野としては異世界モノ、ストーリーはかなり複雑で、まだ世界の全貌もはっきりしていない部分もあるが、逆にその構築は緻密であり、伏線も多数張られていて、次の話が待ちきれない位に、わくわくする。舞台は主に雲の上で展開されるので、初めて「未来少年コナン」を見た時のような感覚があり、久しぶりに熱くなったアニメである。メディアはエヴァンゲリオンのように、上っ面だけそれらしい単語を並べているだけで「緻密な構成」などと言うが、このラストエグザイルはそれとは別モノ、まさに緻密な構成とはこういうのを言うのだと思う。一時、アニメはやけに幼稚な、子供向けばかりが目立っていたが、深夜枠を中心に、こうした新たな潮流が生まれて来たようだ。その気配は、昨年放送されていた「ラーゼフォン」あたりで感じられていたが、このエクザイルはそれが非常にはっきりと出ていると言えるだろう。新たな才能があちこちで出て来たのだろうか。これの他、同じく深夜アニメである、テレビ東京系が放送している「宇宙のステラビア」は、少女漫画系の絵ながら、超新星爆発で激変した地球から復興した新たな文明の中、間もなく来る第二波に備えて訓練をする主人公が描かれていて、中身はれっきとしたハードSF。WOWWOWで放送されている「スクラップド・プリンセス」は、中世風のファンタジーで、生まれた時に占い師に呪われていると言われた事から、数奇な運命をたどる少女の話であるが、これも世界がしっかりと作られており、見応えがある。特に、「風評」というものが、偏見や差別を生むという、かなり重いテーマも描かれていて、差別は誰かが作るのではなく、普通の人々が知らぬ間に生むのだ、と教えてくれる。つまり、変な「差別をなくそう」キャンペーンをするだけのメディアとか、差別用語だとキーキー糾弾する似非正義漢より、余程雄弁に語っているのである。
 ★ラストエグザイルのサイト
 ★宇宙のステラビアのサイト
 ★スクラップド・プリンセスのサイト
 これらの他にも幾つか秀作があるが(NTV系が放送しているエアマスターは、格闘系ゲーム大好きならハマるだろうし、TEXHNOLYZEというテレビではちょっと信じられない位に、残酷で暗い話もある)、いずれもじっくりと描く構成で、安易な種明かしはせず、意味もなくふざけた事もやらず、アクションシーンに唄を付けたりもしないという点で共通している。一方で、オープニングやエンディングに流れる曲は、独創的かつ斬新でありながら番組にマッチしており、アニメの世界が新しい潮流を示していると言えそうだ。
 ところで、それにつけてもアニメ界とは対照的な、映画界の才能の無さも、ついつい指摘したくなる。コミック原作や古いテレビドラマを映画化した物が、昨年から幾つも公開されてきたが、いずれも噴飯物で、まさに関係者の頭脳ゼロを見る思いばかりになるからだ。そういえば、某国営放送の大河ドラマも、かつての重厚さは「今は昔」である。次の作品も、大根役者アイドルの前面採用で、期待もできない。
《2003.06.01》
ヤラセ疑惑
 大量破壊兵器も、毒ガスも、アメリカが躍起になって捜索している(のか?)にも関わらず、イラクからは発見の気配もない。流石に関係各国から疑問の声が強くなってきて、CIAの長官までもが弁明に汗を流した。言うまでもなく、イラクに戦争を仕掛けた時の理由がこの大量破壊兵器(最初は核兵器だったのが、何時の間にかこうなっていた)だった訳だが、つけたインネンがどうも嘘臭くなって来た訳である。疑問はこればかりではない。そもそも、首都を防衛していた筈の、フセイン親衛隊が影も形も無かったのも不可解である。当初の報道では、機甲化師団という事だったのだから、装甲車や戦車、高射砲などが見つからなくてはならないのに、それも見当たらない。サダム・フセインが行方不明な点については、米国との密約説まであるのだが、仮に密約があったとしても、装甲車が消える事の理由にはならない。なにせ、少なく見積もっても数百台はあった筈なのだ。となると唯一考えられるのが、最初からそんな物はいなかった、つまりアメリカの流したガセネタだった、という事である。米国はアフガニスタンに侵攻して、アルカイダの幹部を殆ど取り逃がした。だが、その幹部をかくまっている、と難癖をつけて、イラクを攻撃する理由の一つにした。イラク戦の後、アメリカは今度はフセインをかくまっている、と、シリアに難癖をつけている。流石にそれはバレバレと思ったのか、一旦はシリア批判を引っ込めたが、その裏で今度はイラン攻撃に向けて、アメリカは着々と布石を打っている。5月29日付けのロシア独立新聞が、イラクの隣にあるアゼルバイジャンに対して、攻撃計画に乗れ、と同意を求めたと報じているのである。アメリカの財政は現在火の車であるのに、軍備拡張はとどまる所を知らず、沖縄ばかりかオセアニア各国にも軍を配備すると同時に、装備のハイテク化も進める事を公言している。国内には減税をブチ上げたが、テロ警戒警報は高止まりのままだ。だが、アメリカには切り札がある。日本である。竹中改革の中で、小泉政権は通常5年という税金還付期限を3年と決めつけて「りそな」を国有化した。これに国税をつぎ込んで不良債権を補填し、長銀と同じように、米国系ファンドに格安値で売ると、米国には数兆円が転がり込むのである。予定ではもっと早くりそなを潰すつもりだったらしい(二年間、改革の苦しみに我慢しようと、小泉政権は言いつづけて来た。ちなみに、まだ「二年」と言い続けている)が、銀行側が増資をしてしまったので、伸びたようだ。政府が、今後、増資はまかりならぬ、とお達しを出した事から分かる。更に、アメリカのシナリオにのっとって、日本を属国に導こうとする小泉政権のプランでは、あと幾つかの都市銀行が同じように国有化されるという噂がある。そして、米国系資本がデフレでとことん下がった日本の株を買い占めたあとで、今のデフレ政策をインフレに転換させるのである(日銀がその気になれば、デフレはすぐにでも止められる。金を沢山刷れば、すぐにインフレになるからだ)。米国資本は大もうけをし、国民には消費税のアップ、リストラの進行、そして年金のカットが待っているのだが、このように考えて来ると、全て、一つのシナリオで動いているという仮説で説明がつくのではないだろうか。

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