一刀両断ミニコラム
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2003年

《2004.07.31》
強欲だけの音楽業界
 自分の無能を棚に上げて、ユーザに皺を全て寄せる事しか考えないというと、まるでプロ野球のオーナー達みたいだが、実はもう一つ大きな業界がこれに該当する。日本の音楽産業である。先に、強引な手法で(どうせ役人に天下り先でも提供しているに違いない)著作権法を改正させ、何時でも輸入CDを差し止められる体制を作ったと思ったら、虎視眈々と次の手を模索しているらしい。まずはいわゆるネット配信に対する頑強な抵抗だ。アップルのiTunesには頑として従わない。理由はCD-Rに焼けるなど、ガードが甘いというのが業界の言い分だ。日本でも音楽配信は行われているが、当該マシン(Windows)でのみ再生出来、再利用不可能、値段が高い、と三拍子揃っていて、全く普及していない。iTunesなら自分で購入した曲はCD-Rにも出来るし、iPodに移して聞く事もできる。これが不法コピーの蔓延など引き起こしてはいないどころか、海外での急速な普及ぶりは、日夜伝えられるとおりである。先日は、宇多田ヒカルが日本未発売の曲をiTunes販売に登録した。世界の潮流はこのようにオープンな方向に向かっているが、日本は逆で締め付ける方向である。日本の音楽産業は、CDのCCCD化を積極的に推進しているが、これは何度も本欄で指摘しているように、本気になって不法コピーする悪意あるユーザには大したガードになっていない一方で、まっとうに金を払って購入する善良ユーザには何もメリットが無いどころか、害にもなりかねないシステムである。装置が対応しない場合もあれば、極端な場合には装置を壊す可能性すらある(入れたCCCDが出て来ないような場合)。PCで再生しようとすれば、勝手にドライバを入れ、レジストリを変更する。また、CCCDは意図的にエラーを増やしているので、音が悪いという指摘もある。CCCDを嫌がるアーティストは少なくない。
 更に音楽業界は、これでもCD-Rへの不法コピーが多いとして、今は部分的に著作権料が上乗せされている、音楽用媒体に続いて、いわゆるパソコン用データ媒体、即ち全てのCD-R媒体やDVD-R媒体にも課金しようとしている。こうして集めた金がどのように分配されているかはきちっと公表などされておらず、そればかりか、iPodにも課金の話が出ており、業界関係者は「コピーしてるんだから当然です」と平然と述べているのである。この論法で更に家庭内の私的複製を例外としないように、著作権法を改正する事まで業界は公式な見解として公表するようになっている。こうして見て来ると、ユーザの為どころか、ミュージシャンの為という発想すら皆無であり、まさに自分らさえ良ければいいと言う、業界ぐるみの強欲体制であるのに疑いの余地はない。著作権保護などというのは、綺麗事の方便である。
 さて、業界がこれほどまでに、躍起になるのは、不法コピーが蔓延している事よりも、直接的にCDの売上げが激減しているという事実がある。その理由を不法コピーのせいにしている訳だ。だが、本欄でも以前指摘した事だが、ハッカー・ジャパン誌がCD-Rを普段作っている高校生らにアンケートを行った結果、「好きなアーティストの物は買っている」という回答が非常に多かったという報告がある。逆に言えば、値段相応の物でないと見られるからコピーされるのである。ロクでもないCDを今やDVDより高い値段で売りつけるような事をしてきたからこそ、消費者からしっぺ返しを受けているのだ。音楽業界はまたも文化庁に働きかけているそうだが、著作権法について審議する委員会には、驚くべき事に消費者代表もミュージシャン代表も入っていない。まさに、ユーザ無視で密室会議を押し進める、プロ野球界そのものなのである。
 音楽業界に一言いっておきたい。我々消費者は、適正な価格で物が買えるのなら買うのである。我々は音楽を演奏するアーティストに金を払うのであって、音楽業界に払う訳ではない。音楽業界は、ミュージシャンと消費者の間をとりもって、おこぼれを頂いているだけであり、自分らはドレミすら弾いていない事をまず理解すべきだ。我々は、今の音楽業界が崩壊して関係者が路頭に迷ったところで、痛くも痒くもない。それによって音楽が手に入らなくなる訳ではない事は、ネット配信が証明している。ネット配信ならマイナーなミュージシャンもデビュー出来るから、音楽界はむしろ発展するのだ。業界は、消費者を敵に回して繁栄した産業など無い事を再認識し、もっと謙虚に徹せよ。人を馬鹿にしたCCCDを強引に押し付けるのなら、ネットで流れている不法コピーを誰もがDLするようになるだけだろう。法で禁止する? その前に売上げゼロになるだけのことである。
《2004.07.28》
まず無能オーナーが責任をとれ
 巨人の陰湿な裏工作で、阪神が孤立などと書かれているプロ野球オーナー腐敗会議。読売新聞がこのプロ野球界の実態レポートを連載開始している。敢えて断っておくと、偏向した記事ではないと思う。で、内容は予想通りのものだが、特にパリーグの各球団が経営実態を少しずつ明らかにし始めた数値が注目すべきだろう。平均して球団は毎年30億円程度の赤字を出している、というものである。北海道に移った日ハムも、観客動員数こそ好調だが、選手の人件費だけで入場料収入が殆ど消えるという。今まで、パリーグの球団は、親会社からの補填でこの赤字を乗り切ってきた。球団は形の上では親会社の子会社になっているらしいが、税法上ではこの補填は本来課税対象となるものを、特例として宣伝費の扱いとなっていて、必要経費なのだそうだ。この状態を明らかにしたあとで、パリーグのある関係者は、これで5球団になったら空中分解だと述べたらしい。要するに生き残り策は1リーグにして巨人戦頼みしかない、という訳だ。だが、この話を聞いて「なるほど」とは到底思えない。要するに放漫経営を放置したままで、リーグだけ合併すれば何もかも解決すると言わんばかりのこんな話が、まっとうな筈もないからである。どう考えてもおかしいのは、Jリーグ関係者も辛辣に指摘している、身の丈経営が出来ていない点である。赤字ならそれを解消するか、少しでも減らすべく努力するのが普通だが(例えば何も数億円の選手を並べるばかりが芸ではあるまい)、親会社からの補填をいい事に、何十年も放置して来た事こそを、まず問題にすべきだからだ。1リーグ化したところで、この体質が変わらない限り、同じ事の繰り返しになるだけだろう。何よりも、かような経営を平然と行って来た無能な経営者に対する、責任論が全く出て来ないのが論外である。皺は選手とファンにのみに寄せ、自らの保身と現体制の維持だけを目的としているから、こうした安直な1リーグ化の話が出て来るのだ。しかも、しっかりとした再建計画を出して来たライブドアの事など、会議では話題にも上らないというのだから、もはや疑いの余地はない。無能が集まる「良い子クラブ」の延命策以外の何ものでもないのである。アジアリーグ? 本質と関係のない事に話をそらせるのはいい加減にしてもらいたい。アジアリーグの開催など、1リーグ化とは何の関係もないではないか。
 27日、巨人選手も反対の署名会を実施すると表明。ナベツネは、「高橋君はまだ若い。道理を知らん」と言ったらしいが、何十年も生きていながら陰湿な裏工作しか学んでいない奴が何を言うか。プロ野球選手会も、ホームページで署名を募集している。プロ野球を愛するファンなら、出来る事は全てやるだけやろう。
《2004.07.27》
寄らば大樹の弱者イジメ国家
 西宮冷蔵という会社を皆さんは覚えておいでであろうか。雪印の不正を内部告発し、その結果、業界から三行半をくらって倒産した会社である。消費者からカンパを受け、営業を再開したものの、その後も業績は芳しくない。このままでは二度目の倒産は間近と言われる。google等で西宮冷蔵を検索すると、支援する会とか各種嫌がらせの紹介などが沢山出て来るが、それにしても思うのは、つくづくこの国の持つ陰湿さである。長い物には巻かれろ、巻かれない奴には皆でいじめろ、という幼稚なムラ根性だ。プロ野球界オーナー連中の行動原理、イラク人質への集団イジメ、自主性ゼロ主体性ゼロの大手メディアなどなど数え上げればきりがない。これでいて口先だけは「清く正しく公正に」などと平気で並べるのだから、大したものだ。その国の将来はその国の若者を見れば分かる、という。被災地へのボランティア、こうした西宮冷蔵のような会社への支援活動などを見ると、まだ救いの目が見られるが、政界、財界などの社会の上層部を見るにつけ、日本に見切りを付けて世界に飛び出す優秀な人材は、これからも増えて行くことだろうと、懸念せざるをえない。構造改革と言うからには、こうした「上に居座る老害」を取り除き、社会を撹拌してこそ意味がある。ところが、今の政権の言う構造改革は、撹拌どころかますます上と下を明確に分離しようとしているだけなのではなかろうか。
《2004.07.25》
プロ野球茶番のアルゴリズム
 巨人に反撃されて阪神真っ青などと書かれ、相変わらず茶番劇の続くプロ野球のトップ層。時代錯誤、思い上がり、恍惚と3拍子揃った面々には、呆れて開いた口が塞がらないが、単細胞だけに彼らの行動そのものは極めて簡単に記述できる。まず、巨人は視聴率や観客動員数の低下に悩んでいて、それを何とかしたいという思いが今回の原点にある。その為の方策として、1リーグ化を行い、対戦相手のバリエーションを増やす事で話題を作り、人気を取り戻そうと計っているのだと考えれば、一連の行動は全て説明出来る。間違っても自らがお山の大将という認識を変える事はないのである。パリーグは長年、経営難に苦しんでおり、巨人戦を組めれば単純に観客動員数の増加と放映権料によって、経営難が改善されると考えているから、この話に乗った。その為なら、伝統ある球団を1つや2つ潰したところで、どうという事はないのである。一方でセリーグは面白くない。例え10チームであろうと1リーグになったら、自分と巨人との直接対戦数が激減し、それが即ち収入減に直結するから内心では反対なのだ。ただ、巨人が怖いからオーナー会議では黙っていたが、阪神が反旗を翻すと我も我もとそれに乗ったというところが真実であろう。会議の時には黙っていて、あとになってから裏でヒソヒソと工作をする奴は必ずいるが、こういう小学生から進歩していないような連中の集まりが、今のプロ野球界トップの実態である。この騒動を球界改革の好機ととらえる見解もあるにはあるが、こうして分析をしていくと、この面々は時代の流れ、状況の変化をその本質としてとらえてはおらず、あくまで自らの権益を守る事のみを目的としてしか、動いていない事が分かる。状況の変化を認識していないという点で、選挙の敗北を風向きが変わっただけだとヘラヘラしているどこかの首相と同じであり、原爆を落とされるまで勝利を言い続けた60年前からも進歩がない。即ち、ファンや選手、そしてプロ野球界全体にとって良い方向に行く可能性は、残念ながら小さいと言わざるをえないのだ。これでは芯まで腐り切ったまま、自己改革の可能性すら皆無であるという意味で社会保険庁と同じであって、今のプロ野球機構の崩壊こそが唯一の道という結論まであり得る。その場合の犠牲者は、勿論ファンと選手だ。
《2004.07.24》
自殺者激増
 先日、本欄で触れた自殺者。今日の新聞をご覧になった方はお分かりのように、更に増えて年間34000人超となった。増加分2000は殆どが経済苦である。二言目には、構造改革だの、経済回復だのと繰り返す小泉政権は、こうした自殺者の屍の上で、あぐらをかいているのである。少なくとも竹中に誰かインタビュー位はすべきだろう。弱者がどうなろうと知った事ではない、というコメントくらい、引き出せるかもしれないからだ。
封じ込め
 プロ野球ファンなら、誰でも近鉄オリックスの合併や1リーグ化には反対、或は納得の行かない物を感じているだろう。ところが、球場でこうしたファンのアピールが見られる事は殆どない。許可なしを名目に、警備員が取り囲んで撤去させるからだ。民主党や連合ですら、「手を挙げる会社を門前払いとは自由経済じゃない」と呆れるこの一連の茶番劇が、ファンも選手も抜きに強引に行われたら、プロ野球そのものがファンから見放され、プロ興行そのものが衰退するだろう。プロ野球関係者はどうも勘違いしているらしいが、野球は世界的なスポーツではない。日本と米国を別にすれば、あとはアジアでは台湾や韓国、中南米では幾つかの国である程度盛んなだけで、それ以外の地域では殆ど知られていないとすら言っていいスポーツである。この点でサッカーのように、世界中であまねく行われているものとは全く違うのであって、お高くなど止まっていられる場合ではないはずだ。この一点だけで、球団数を減らす事の愚かしさは充分に説明がつくのではないだろうか。
《2004.07.23》
構造改革もいろいろ
 経団連の豊田会長、構造改革が行われないまま、日本は世界から見ても周回遅れになってしまった、と講演。毎度ごもっともなご意見であるが、構造改革ってのは富の集中を解消してこそ意味がある。豊田会長はこれに続いて、憲法9条にも触れ、これの改正が構造改革の第一歩のような事を言っているが、先日も武器輸出3原則の撤廃を提唱するなど、こちらの改革ってのは、要するに自分らがもっと儲けるための構造改革の事を考えているらしき気配が見え見えである。かつて、産業革命時代には社会の富が一部の巨大資本に集中し、マルクスの共産主義思想を生むきっかけとなった。チャップリンのモダンタイムスなどを見れば、当時の労働者がいかに劣悪な環境に置かれていたかの一端を見る事が出来るだろう。小学生くらいの年齢で、連日12時間以上の労働をしていたなど、珍しくもなかったのだ。軍需産業というのは、巨大な金額が動くだけに実入りも大きい。莫大な税金を使い長銀を処理して生まれた新生銀行が、米国ファンドのものである事は先日も書いたが、その米国ファンドの大株主には、日本の巨大企業が幾つか顔を並べているという。日本国内で直接銀行業に手を出すと目立つが、こういう形なら目立たずに富を集める事が出来る。こうした巨大資本が、金融に続いて次のターゲットを軍事産業に当てて来たのだとするならば、コトは重大である。また、この切り口で考えると、小泉内閣はこうした巨大資本の意のままであるかのようにも見えて来る。憲法改正論議は結構だが、単純に9条改正論に終始するのでは、プロ野球の1リーグ化論と同じで本質を外す。日本で軍事産業が隆盛するようになってしまうよりは、周回遅れでも平和な方がいいのではないだろうか。軍隊は最後の手段でなくてはならない。集団的自衛権など認めなくても防衛は出来る。憲法改正を唱える前に、今の憲法で本当に何も国際貢献が出来ないのかを考えなくてはならない(スイスは永世中立国であり、よそに軍など派遣しないしEUにも加盟していないが、だからといって国際社会で軽んじられてなどいない)。辛口子は憲法改正には反対である。ここに述べた経団連のように、どさくさに紛れておのれの私腹を肥やそうとする輩ばかりが出て来るからだ。無論、こういう連中には力があり、必ず庶民にとっては悪い方向に変わるに決まっているというのもある。年金法の改正案を見れば、それは一目瞭然であろう。背後には、年金の積立金を使って我が世の春を謳歌している連中(厚生労働省関係ばかりではなく、そこに群がる企業)があるに違いない。
電波もどんどん増税
 総務省の研究会が出した勧告案によれば、現行の電波利用料をいわゆる情報家電にも広げて徴収する方向で議論が固まったようである。基本的にこの電波利用料は、電波を出す装置にかけられる。現在の携帯電話にも課金されている。情報家電で具体的に対象となるとすれば、無線LANのようなものになるであろう。恩恵を被っているのだから、多少は負担しろという主旨はまあ当然である。問題は、こうして集めた金の使われ方である。総務省によると、電波の不正を監視したり、電波の割当変更に伴う処理に使われるという。現在、電波が非常に逼迫しているのは、携帯電話だ。勿論、携帯が増えているからだが、逆に現行携帯より遥かに広い帯域を使いながら、殆ど電波が飛んでいないと言われるものもある。代表がMCAと言われる業務用無線で、ここは旧郵政省のOBが多数天下りをしている為に、容易に手がつけられないのだそうだ。これらがどの程度、「再配分化」されつつあるのかというと、一向にそんな話が聞こえて来ない事から、多分進んでなどいないのだろう。これらとまるで違う方向で不思議なのが、6年後には無くなる地上波アナログ放送であって、この電波を携帯に使うなどという話が洩れて来るが、100MHz帯など帯域としては大した事はなく、現行の民生携帯には殆ど寄与するような値ではない。となると、お上が使う何らかの無線システムではないか、と辛口子は睨んでいる。
《2004.07.20》
社会保険庁改革は可能か?
 一連の年金問題に端を発して、社会保険庁への風当たりが台風なみに強くなってきている。窓口の対応が悪い(客を何時間待たせても平気、態度がでかいなど)、自分の年金額すら教えてくれないくせに、江角マキ子の年金未納はさっさと公開されるなどというこれまで明るみに出なかった苦情の数々から、諸外国と比べてこれだけ横柄である、という比較記事まで、新聞は当分これでネタの心配はいらないのではないか、とすら思えるほどだ。民間出身の長官を当てても、恐らく駄目だろうというのが衆目の一致するところ。何故ならば、社会保険庁内部で、がっしりとシンジケート化が完成しており、長官どころか厚生労働省から派遣されるキャリア職員ですら、手が出せないというのが実態らしいからだ。例えば、保険庁内で重要事項を決定するトップ会議があるのだそうだが、そこには社会保険庁出身者しか参加出来なくなっているという。キャリアが参加を申し出ると、表向きは参加を認めるが、実は密かに裏会議が保険庁出身者だけで開かれ、実質的な決定事項はそこで採決されるのだそうだ。長官と言えど、上がって来る報告はこうした形でまとめられた物だろうし、出した指示はこうした会議を通じて伝えられる訳だから、まるで裸の王様そのものだ。こうなってくると、通り一遍の指示や命令でどうなるものでもなく、それこそ信長の比叡山焼き討ちに匹敵するくらいの荒療治が必要となる。本年5月16日の本欄で書いた事だが、そもそもは日本の年金制度というものが、戦時中の戦費調達の手段として始まっている以上、金は払い戻す事など殆ど考えず、いかに集め、いかに流用するかに尽力されて来ている訳であって、何十年にも渡るこうした伝統を少々の手間で軌道修正など出来よう筈も無い。
 従って、本気で年金制度を改革したいのであるならば、社会保険庁そのものを無くすのが第一歩である。その後、新生社会保険庁を作るかどうかはともかく、それが出来ないようなら実質的には今の年金問題は解決しない。つまり、長官の民間登用だけやっているようなら、小泉内閣は問題を認識していないか、最初から改革などするつもりもない、という事である。無論、社会保険庁だけを再構築しても、もっと根幹を成す問題が残っている。それは財務省である。年金問題だけではなく、GHQが全く手をつけなかった財務省が、強大な影響力を有している事に、様々な問題が帰結している。例えば、社会保険庁の運用経費に年金を当てている(公用車の購入から職員住宅まで)のは、大蔵省(当時)の発案によって実行されたそうである。理由は言うまでもなく、国の財政問題だ。出費を減らすのではなく、国民の年金を流用する事を考えたのである。で、財務省改革というこの点で、歳入と歳出をそれぞれ別の省に分けるという、民主党の改革案は(案そのものは昔からあるが)考えるに値する。国民から集めた年金の積み立て分など、殆どが既に使われていると言われているし、いわゆる財政投融資から無駄金に至るまで、金の流れを明確にするには、財務省の権限を分割するしかない。また、一つの選択肢として、年金を一度チャラにするという可能性もありうる。書類の上だけでいいから、全国民にこれまでの年金納入実績と総金額を明確に知らせる。その上で年金を国の制度でやってもらうか、自己努力で民間の保険に頼るかは個人の判断に任せ、民間移転希望者には全額を返却するというものだ。これでは誰も年金など納めない、と文句があるなら国民が納得する年金制度にすればいいのであって、今のような杜撰な運用などしていて言えた立場ではない。
 ここまで議論に上がるのなら、政府は年金問題(広く社会保障問題を含む)を本気で改革しようと思っていると判断していいだろう。だが実際には、太陽が西から上がるより有り得ないと思う。外郭団体の廃止や、公務員の合理化(リストラ)さえ何も出来ないのだから、国民はますます年金を払わされ続け、厚生労働省のOBは甘い汁を吸い続け、年金支払い開始年齢も年々高くなって、もらう前に自然死する人もどんどん増える事だろう。ちなみに、政府が絶対に白紙撤回しないと言っている今の年金改革案で行くと、現在30歳くらいの人が年金をもらえるのは、75歳頃ではないかと言われている。下記事でも触れているが、現在の男性平均寿命は78.36歳。余命はいくばくもない。払った年金は殆どが戻って来ないように出来ているのが良く分かる。
《2004.07.18》
売国奴
 日本人の平均寿命が更に伸びたと厚生労働省が発表したが、実は世界一の長寿国ではなくなっている事までは言わなかったらしい。統計の取り方が違うとは言え、男性ではアイスランド、香港に次いで世界3位になっているのだ。平均寿命の伸びも大幅に鈍化、特に男性の伸びは0.04歳と殆どゼロで、これに大きな影響を与えているのが自殺者の増加だという。自殺者は平時でも年間2万人程度は出るものだが、小泉内閣の「構造改革」以来、この数値は3万人かそれ以上に上がったままだ。その増加分は殆どが経済苦によるもので、特に40代から50代男性のいわゆるリストラ世代が際立って目立っている事や、遺書に明記されている事などから、そう判断して良いであろう。ローンの返済もままならず、あとは生命保険しかない、という窮余の策という悲劇である。言うまでもなく、政府の言うように景気が回復しているなら、こうした自殺者は減って行く筈だが、そのような気配はないどころか、昨年の自殺者が3万2千を越えるなどむしろ増加傾向すら見てとれる。平時の2万人を越える分、1万2千が政府の経済政策によるものだとすると、交通事故死者を遥かにしのぎ、ベトナム戦争の米兵戦死者のピークにも匹敵する値である。この経済苦が即ち、竹中政策によるものであるのは言うまでもない。先日も書いたように、竹中は大手銀行(長銀)を潰して米国ファンドに激安で売り飛ばし、今度はUFJを売り飛ばそうとしているのだ。不良債権を減らせ減らせと銀行に圧力をかけ、しかも不良債権と判断する基準をどんどん厳しくしていくという、殆ど権力による恐喝まがいの事をしているのが、今の竹中である。UFJでは圧力を受けて幹部が総退陣したが、あの中にはアンチ竹中頭取もいた訳で、そのやり口は総会屋真っ青と言えよう。それどころか善人ぶっているだけ、輪をかけて悪質である。竹中の持論は「大手都市銀行など3つもあればいい」というのだそうで、潰したあとで解体して優良債権だけを集め、それを米国系ファンドに安く売るという長銀で使ったパターンは、流石に繰り返すと目立つという事から、今回、UFJと三菱の合併は認める方向らしい。ただ、こうして銀行を締め付けると、当然、融資条件などは厳しくなる訳で、倒産に追い込まれる中小の企業が沢山出て来る。今、銀行でローンを組もうとすると、途方も無く細かい審査が待っているが、先に述べた自殺者は、こうした政策の犠牲者である。倒産した企業の資産は不良債権として焦げ付く訳だが、それは再生処理機構という名の公的機関が引き受けてくれる。そこで可能な限り(どこまでか分かったものではないが)処理を行い、最終的には競売にかけられる。無論、差分は税金で埋められる。実は日本の不良債権と呼ばれるものは、多くが不動産であって、ややこしい「しがらみ」(例えば入り組んだ権利関係や抵当権など)が外れれば優良な物が少なくない。それを公的機関がやってくれて、綺麗になったものを米国などのファンドが買い占めて行くという実態があり、今、日本の不良債権処理には、こうした外資系の企業が幾つも動いている。竹中は、このようにして日本の資産をせっせと海外に売りまくっているのである。大体、不良資産が先に述べたように、殆ど不動産なのであるのならば、基本的には景気が回復して不動産価格が上昇すれば、自動的に不良債券など消えるはずであろう。景気回復をするには、凍ったままで動かない資金を動かせばいいのであって、要するに政府の無駄な金、特に700兆円にも膨らんだという財政赤字を減らせればそれだけで市中に金は流れるのだ。それをせずに、景気回復の名のもとに、銀行に無理難題を押しつけて潰しにかかり、日本の資産を海外に売りまいているのだとしたら、まさしく売国奴の名にふさわしいのではあるまいか。
 この竹中大臣、先の参院選で選挙演説をし、甲子園の前では散々だった事は先日の本欄で触れたが、東京の新橋では「それじゃ年金はどうなんだ」とヤジを飛ばした群衆に「黙れ!」と怒鳴り、SPに命じてその男を取り押さえさせたのだそうだ。所詮は虎の威を借るネズミだった訳であろう。何が改革支持の声援なものか。政府発表では、米国で経済を勉強し、などとなっているらしいが、就任当時、米国の経済学会の誰に聞いても「タケナカ? 知らないねえ」とという返事しか無かったと聞く。その米国にせっせと日本の資産を売りまくって恩を作り、大臣引退の後には米国で幹部職を得るという人生設計をしているという噂がある。だとするなら、毎年1万2千の屍の上に人生を築こうとしている奴、という訳であって、上述の選挙演説でも分かるように、所詮はただのネズミが誤って大臣という虎の威を借りているのが現実だという事になるから、これからも日本国民の苦しみは当分続く事になるのだろう。
(竹中大臣は、現在、経済財政担当大臣と金融大臣を兼務している。本来なら互いに監視し合わなくてはならない職務を、同一人物が兼務しているのだから誰にも止める事は出来ない。小泉内閣発足以来、竹中理論には批判が多く、要職についている人でもアンチ竹中は少なくなかったが、総理の圧力で次第に左遷や異動、或は解職によってその数は減り、今では殆ど竹中ファッショに近い。無論、その全責任は総理大臣である小泉に帰結する事は言うまでもない)
《2004.07.16》
国際社会の一員?
 イラク特措法を強引に成立させ、軍を派遣する事になった時、政府が使った説明にこれがあった。国際社会の一員として、尊敬される国を目指す、とかなんとか。さて、今回、ジェンキンス氏訪日(氏は日本人ではないから帰国ではない)に関してインドネシアが機嫌を損ねている。当初、しばらくの間は家族でインドネシアに滞在するものと聞いていたのが、知らぬ間に18日に日本に向かう、などとなっていたからだ。そもそも、今回の曽我さん一家再会については、日本政府は当初、中国政府に仲介役をお願いしている。ところが、党内のどこかから、「中国は信用できない」という根拠不明の声が出て、中国からインドネシアに変更したといういきさつがあり、その時も中国は相当に機嫌を損ねているのである。今回の件ではインドネシアも、政府高官が記者からの質問に対して、「日本は自分らの事しか考えていないようだ」と不快感を表明。外交関係でこういう形で明確に不快が表明されるのは異例であって、よほど腹にでも据えかねないとこういう発言を公式には行わないものだ。国際社会の一員という言葉、その意味も分からずに政府は繰り返していたという事であろう。尊敬どころか、これでは対外から見れば、ガキが兵器を振り回しているようにしか、見えないのではないか?
こっちにも考え
 政府がかように幼稚では、国内組織の長がそうであっても仕方がないのかもしれない。阪神を筆頭にセリーグ5球団が1リーグ化に反対した事について、ナベツネは「こっちにも考えがあるんだよ」と、相当にご機嫌斜めだったそうである。はて、自分では1リーグ化などと言った覚えはないのであれば、気にする必要など無いし、歓迎しそうなものだ。で「考え」とは一体何なのだろうか。オリックスと近鉄を強引に合併させ、巨人をパリーグに移動させ、セリーグ5球団を置いてけぼりにする、という究極の可能性が考えられるが、そこまでの度胸は無いだろう。
《2004.07.15》
改革が進むと?
 最近の急激な支持率低下について、小泉総理は「改革が進むと反対する人も出て来る」とコメント。はて、そういえば小泉改革って何だったのであろうか。考えてみると、全て弱者に皺を寄せ、社会の富裕層が喜ぶ物ばかりのように思える。年金は既にご存知のとおりで、掛け金分をもらうのすら怪しい。相続税清算課税は相続税に困るような資産家に有り難い話。銀行の統廃合促進のお陰で、地方経済はメインバンクを失っている。社会保険料、医療費はとっくに値上がりしていて、これに年金、そして消費税が待っている。知らぬ間に一番訳が分からなくなっているのが、郵政の民営化で、これのそもそものきっかけは、財政投融資。つまり、有り余るほどの郵便貯金が大蔵省を経由してあちこちの公共事業から各種団体にバラまかれ、不要なダム、道路、鉄道、或は天下りの退職金などに化けているのを何とかしようという話だったはず。それが今では、郵便業務をいかに民営化するかの話になっている。郵便を民営化したら、地方の寒村に住んでいるような人が一番迷惑をする。宅急便を見ても分かるように、民間企業の採算論理で行くならば、距離に料金は影響されるのは当然だからだ。これが進んだら、今のように50円で葉書が全国どこにでも届くとか、地方のどこにでも郵便ポストがあるような事は有り得なくなる。困らないのは、必要なだけの費用を払える社会層だけだ。全国で摩擦を起こしている市町村合併も、行政の合理化の名のもとに補助金がバラまかれて進められているのだが、実際には古くからある名称が消える他、折角合併しても議員や職員の数など減らない上に、それを収納するために新しい庁舎を作らねばならないなど、要するに庶民にとっては何も有り難い話でないばかりか、どこも効率化などされてはいない。都会のマンション建築ブームも、景気対策の一環として行われているらしいが、新しいビルが埋まる一方で古いビルは空きが目立つようになり、大量のビルを建設できる大手業者だけが潤っている。今、UFJと三菱の銀行合併話が出ているが、これも合併しないと長銀と同じように海外のファンドに払い下げられるしか無くなるからだ。念のために確認しておくが、長銀は不良債権処理に2兆4千億円が投じられ、残った優良資産だけを集めて新生銀行となった。その新生銀行は10億円で海外のファンドに払い下げられ、年間に600億円の利益を上げている。その利益は無論、買い取った海外ファンドのものである。
同じチャーターでも
 曽我さんの夫、ジェンキンス氏を日本に何とか入国させる為に、どうやら病気というウルトラCが使われるらしい。日本で手術をしないと危ない、という訳だ。当然ながら、術後も当分の間は「安静」が必要になるのだろう。ここで腹が立つのが、この為に政府はチャーター機を出すと発表している事だ。当然、税金である。無論、自己責任で費用を負担しろ、などとは絶対に言うまい。イラク人質事件の時は、僅か35万の費用に対して訳の分からない20億円という金額が一人歩きし、弱者バッシングが吹き荒れた。イラク参戦に反対し、小泉の逆鱗に触れたからだ、というもっぱらの噂である。ジェンキンス氏は言うまでもなく軍からの脱走者であり、どちらも国の方針に逆らったという点では共通している。小泉内閣の運営が、いかに恣意的であるかが良く分かる例である。
《2004.07.14》
男に二言は・・・
 「俺は1リーグ化なんて言った覚えはないぞ」と、ナベツネがのたまうたそうである。世間の風向きを少しは感じたのか、やや後退か? 巨人の高橋や大リーグへ行った松井らもメディアにはっきりと反対を表明した事は、ナベツネにとっても一種衝撃だったに違いない。ただ、近鉄オリックスの合併劇は、恐らくまだ諦めてはいない事だろう。同じ日、阪神の久万オーナーは、1リーグ化に反対の意思を表明。前の日の本欄に書いたように、そろそろ出る頃であった。他のオーナーらも声を上げ始めるだろうか。ただ、パリーグが5チームになったら、今度は日程などでパリーグが困る事も明確である。この期に及んでも、いまだにもう一つの合併が表に出ないという事は、あれは意図的なブラフ(はったり)であって、それによって一気に1リーグ化へ持って行こうという、稚拙な作戦だったのではなかろうか。堤も大した事はなかった。こう考えてくると、あとはどういう理屈をつけて、近鉄オリックスの合併劇を白紙に戻すか、という事になってくる。恐らく関係オーナーらは、必死に裏で頭を寄せ合って考えているに違いない。ライブドアが提示した近鉄再建案では、ネットを活用する事が軸の一つである。メディアを全て押さえないと気が済まないナベツネには、これは受け入れがたいのだから、作戦は限られる。全く新たなメディアとは関係ない会社に、近鉄買収を表明させるか、読売の息のかかったネットに関係する会社に買収をさせる、というあたりしか無いのではなかろうか。いずれにしても、ナベツネの権威は大幅に失墜する訳で、今後の二番手として堤がどう出るかにもよるが、我々野球ファンにとっても「ざまあみろ」になるのが最もめでたい。今年のオールスターでは、パリーグ勢の活躍が目立った。巷の野球ファンも、地上波でCMだらけの巨人戦ばかり見るのでなく、スカパーのJSPORTS他が放送する、他の試合も是非観戦して欲しい。CMは少ないし、試合開始から終了まで放送するし、余計なイベントはやらないし、解説もまっとうである。辛口子にとっても、昨年からスカパーで注目して来た選手が活躍するのを見て、オールスターの見方が変わった。それに、野球ファンが巨人戦放送から離れる事で、更にナベツネを失墜させられるのだ。
《2004.07.13》
無責任体質の証明
 三菱ふそうは、一連のリコール隠しは、全て個人の社員(と言っているから一人なのか?)の独断でなされており、当該社員を懲戒解雇にすると発表。笑わせてはいけない。社員がたった一人でこれだけの長期に渡ってこれだけ多数の隠蔽が出来たというなら、それこそそれを組織的犯罪と言うのである。既に「走っていない物は車ではない」などと理屈をつけて、欠陥ではない事にした「上からの指示」まで伝えられているというのに、ぬけぬけとこういう発表をするとは、まことにもって鉄面皮としか言いようがない。不要なのではないか、こういう会社は。
無能オーナーらは引退せよ
 ライブドアが近鉄買収とその後の経営方針を明確にした文書を作成、既に近鉄に送付していた事が明らかになった。当然、近鉄からは何の反応もないようである。一方、「既に決まった事」という言葉しか知らないらしい既存球団は、合併と1リーグ化がプロ野球の繁栄を招く理由を説明すらしていない。セリーグのコミッショナーは「選手会は幾らオーナーが説明しても理解しない」などと言ったらしいがとんでもない話で、「決まった事だ」を繰り返すのを説明などとは普通は言わず、小学校の試験ですらそれでは落ちる事を知るべきだ。プロ野球を私物化し、選手もファンも自分のものだと勘違いしている、恍惚オーナー・ナベツネ(ファンと選手なしナベツネだけでプロ野球が成立するか、それともナベツネ無しで選手とファンがいればプロ野球が可能かを考えてみれば、答は明らか)と、その顔色を伺うだけの腰巾着オーナー群は、既に時代の流れについて行けていないのが明快で、不要な存在である。先日、ここで書いたように、今のまま1リーグ化が実現すると、今のセリーグ各球団のように、年に14試合もホームで巨人を迎え撃つ事は出来なくなる。従って、セリーグの各球団は本音では面白くない筈である(巨人戦の神通力については脇に置いておくとしても)。で、良く考えてみると、パの合併はともかく、いざ、話が1リーグ化に進むと、セリーグのオーナーからは発言が殆ど消えているのに気づく。反対の声を上げるのはナベツネが怖いから出来ないが、せめて賛成とは言わない形で抵抗しているのだ。そういう事は下っ端のやる行動であり、上に立つ者としての資質を欠く。今回の騒動は、まず各球団の無能オーナーや無能コミッショナーらが、自ら引退を表明すればよい。ナベツネは孤立するし、一気に話が良い方向へと動くのに「決まっている」のだ。
改革とは?
 竹中大臣が今回の参院選で一応当選、改革が支持された、などとコメントしたが、「学生から多くの声援をもらった」というのは母校での話だそうだし、そもそも阪神戦当日の甲子園で演説したら「ここはお前の来る所じゃない」などと散々ヤジを浴びた事などは、さっさと忘れているようだ。ちなみに、ハッピを着てそれなりに格好を付けようとしたらしいが、残念ながらメガホンがピンク色だったと伝えられている。ところで改革と言うが、小泉内閣と竹中の行って来た事は、高速道路も新幹線も実質的には建築推進で何も変わらず、省庁再編は文字通りの組み替えでどこにも効率化がされておらず、官僚の発言権が増加し、天下りが我が世の春となり、財政赤字と国債発行額が激増し、自殺者が急増し、地方のメインバンクが潰され、都市銀行クラスの銀行が幾つか外国資本に売り渡され、税金と社会保険費と年金が国民に重くのしかかるようになった上に、イラク侵略戦争に加担した事だけである。各地に生まれたという特区も実際には「規制」に四苦八苦しているのが現実だ。景気が上向いたというが、そもそも不況になって3年もすれば、設備の更新などは嫌が上にも出て来るのであって、それに5年もかかったのだから、むしろ景気回復を遅らせたというのが本当だろう。一体、世の中のどこがどれだけ効率的になったのか、今の与党には説明責任がある。口先だけの改革など聞き飽きたというのが、今回の有権者の真意ではないだろうか。
《2004.07.12》
地上波メディア不要論
 何時からこうなったのか定かではないが、昔は明らかに違っていた。選挙速報の事である。テレビ番組欄を見れば明らかなように、NHKはもとより民放各局までがズラリと同じような番組を並べているのだ。以前は画面にテロップで、どこかの代議士が当選確実などと出るのがせいぜいだった。殆どK−1か何かじゃないかとしか思えない過剰演出で、どこの誰が受かったの落ちたのと、延々とやるようになったのは、さて何時頃からであろう。これが不思議に思うのは、こういう「実況中継」をやって、一体どういう意味があるのかである。投票そのものは確定している訳だから、速報によって影響がある筈もない。つまり、夜半になれば明らかになる事を(別の言い方をすれば、翌日の新聞を見れば分かる事を)ゴールデンアワーに3時間も4時間もかけ、電波を浪費して複数の局が同じ中継をしているのであって、これで恩恵を受けるのは一体誰かと考えてしまうのである。当の代議士本人やその支援会、或は政党には情報ルートは昔からあった筈で実況する強い意味はない。強いて言うなら、芸能人候補でも出た時に(なんだか見てると、どこぞの有名候補がホテルのルームサービスで何を頼んだ、なんてな情報まで流している)、そのファンが一喜一憂する位ではないのだろうか。プロ野球オールスターを中継している筈のTBSですら、8時から10分間選挙を流し(チャンネル回せば他がやってる事を何故やるのか理解できない)、お陰さまで高橋(巨人)のホームランを視聴者は見れなかった。狂乱もどきの放送の裏では、シナリオがかなり出来ていて、当選間違いなしの候補の所には中継車が事前に出向き、本番に備えて万歳シーンをリハーサルしている(でなければ当選確定と同時に万歳中継など出来る訳がない)。その当選確定も既に票読みという「技術」のお陰で、あらかた事前に分かっていると言われている。まさに馬鹿げているの一語であって、前の日まで「貴重な一票を」と呼びかけていた同じメディアとは思えぬ政治の茶番化であるが、こちらが実態なのであろう。選挙以外でも民放ばかりかNHKも含め、北朝鮮ピョンヤン放送は盛んに中継するわ、曽我さん一家の再会を延々と昼メロのように数時間も実況するわで、考えるにこれでは要するに大本営放送であって、とてもじゃないが北朝鮮のメディアを批判など出来たものではない。こうした「実績」を見るならば、幾ら地上波デジタルでハイビジョンが綺麗だの、チャンネルが増えただのと言っても、こうまで「右に習え」のバラエティ化しか出来ないのでは、無意味を通り越して有害ですらある。有害番組と言うと大抵は違う意味になるが、国民をせっせと馬鹿化するのを目的としてるかのような、こうした茶番に比べればエロなど大した事ではない。五輪中継も、またどこぞの歌手が歌うテーマ曲とやらを、嫌になる程聞かされる事だろう。プロ野球球団ではなく、地上波メディアこそ統廃合したって何も影響はないのではなかろうか。何時も書く事だが、これで何かが起きると「報道の自由」だの「良識の府」だのと言う言葉を軽々しく出す訳で、まさに分厚い面の皮の奥には、空っぽの頭しか無いとでも言う他はないではないか。
《2004.07.11》
ユーザ囲い込み技術
 NHKの衛星BSデジタルを見ていると、突然画面にテロップが現れ、そこには「これを消したければ、ここに電話しろ(フリーダイヤルだが)」と書かれている。放っておくと1時間も出続けている。デジタルチューナにはB-CASカードというのを買って入れなくてはならないが、その番号を教えれば消えるらしい。無論、その時に住所やら名前やらも言わなくてはならない仕掛けになっていて、これによって誰がどの装置を持っているかを把握するという具合だ。デジタル放送は地上波デジタルもそうだが、このようにユーザの動向を把握する仕組みが入っている。つまり、これまでのように、テレビは見るものではなく、見せて頂くもの、となってきているのである。また、こういう形で事実上、登録を強制するとなると、もはや公共物ではなくなり、プライバシーを守りたいなら見るな、という事にもなってきている。無論、一旦教えてしまえば、そうした情報を使い、更にいろいろな形の囲い込みをしてくるわけである。
選手会スト権を決定
 法的にもれっきとした労働組合の位置づけなので、プロ野球選手会にはスト権がある。無論、最後の手段と言っているが、プロ野球史では初めての事だ。そして、労働組合の代表に対して「選手の分際で」と言ったナベツネは、労働基本法すら満足に理解できない欠陥経営者だという事も証明した。プロ野球協約と言ったって、たかが1団体の内部規則だ。日本の法律の方が優先するし、それに反するような条文があればそれは無効。日本という国で暮らす以上、それは当然だが、ナベツネは自分を皇帝か何かだとでも思っているのであろう。昨年、巨人の原監督引退時の騒動もまだ記憶に新しいし、最初は五輪参加など無視する姿勢をしておきながら、監督が長嶋になると途端に態度が180度変わり、しかも選手会会長で気に入らないからと古田捕手を五輪メンバに入れさせなかった。かような具合にプロ野球を私物と勘違いしているのが、このナベツネである。そういえば、今日のパックイン・ジャーナルで言っていた事だが、ライブドアを特に毛嫌いするのは、ここがネットで放送する可能性を嫌悪しているから、という見方がある。つまり、今のように放送、新聞など自分の息のかかった物だけで囲い込みを出来なくなるという意味である。先に書いたように3軍を作っても、それに対しては新聞や放送で取り上げると言っているのだから、要するに自分の手中でやりたいという訳だ。このあたり、自分は世の中の変化を無視して部外者をはじく事ばかり優先しているという点で、CD輸入禁止法案を無理矢理通させた国内音楽産業と通じるものがある。どっちも消費者からそっぽを向かれる事の、重大さに気づいていないという点でも共通している。
息の長い製品
 必要があって、押し入れの奥から初代ファミコンのディスクシステムを取り出して動かしてみたら、モーター音だけで駆動が出来ない。開けてみたら、動力伝達のベルトが溶けていた。切れていたのは無論だが、なんだか熱で溶けたみたいにプーリーにべったりついているのである。ここで任天堂のサイトを見たら、何とまだ修理可能と書いてある。さっそく送ったら、1週間しないで無事修理完了して返ってきた。勿論、ちゃんと動作している。その時、紙が入っていて、それを見たら「長年行ってきたディスク書き換えサービスを今年9月をもって終了する」と書かれていた。まだ、そのサービスをやっていたとは知らなかった。元々、花札やトランプを作っているメーカで、息の長い商品戦略という社風があるのかもしれないが、これだけ変化の激しい製品でもまだこういう長期のサービスをしていたというのには、少々驚いた次第である。
《2004.07.10》
見え透いた小泉失策の上塗り
 曽我さん親子感動の対面、などと凄い報道である。ジャカルタに到着したら、何と花束贈呈などという白ける演出までが行われた。臭いほどの選挙戦略である。家族の対面は喜ぶべき事だが、そもそもの発端はあの平壌宣言をした時に、「一時」帰国した曽我さんらを、守る会とかいうおめでたい連中の集まりが「一旦日本に来たからには、二度と返さん」と騒ぎだし(その時になって出て来たのが阿倍幹事長だ--今では拉致被害者擁護者のような顔をしているが、平壌にすら行っていない)、1週間程度の里帰りの筈が、これだけ長い間、引き裂かれる結果になったのである。そこには高度どころか低度の政治判断すら全くない。あるのは弱者を利用する事で自分らの点数を上げようという魂胆だけであって、イラクの人質に対する国家権力のイジメ行為と共通するものしか見えないのである。言うなれば、小泉内閣の失態そのものであり、報道する順序が違う。もっともこれで「感動の再会」などと言っているようでは、漫画読んで一喜一憂している小学生レベルの思考であって、日本のメディアにそこまで求めるのが無理という考え方もあろう。なお、ジェンキンス氏についても、首相は日本で暮らせるようにしたい、などと相変わらず言っているが、そもそもジェンキンス氏は朝鮮戦争の時に北朝鮮に寝返った上に、その時に部下を3名連れて行っており、指揮官としての責任も問われているのであって、まっとうに軍事裁判を受けたら銃殺刑になっても不思議ではない立場にある。米国がこれを温情で酌量するなど考えられる訳もなく(そんな事をしたら軍の規律は保てなくなり、イラクでの脱走兵が激増するだろう)、日本の首相の世間知らずを世界に向けて放送する事になってしまった(今に始まった事ではないが)。曽我さんが家族で暮らしたいと願うのは当然であり、可能な限り尊重しなくてはならない。だが、出来る事と出来ない事が世の中にはある。温情だけで横車を押すような事を主張するなら、ナベツネの無礼発言だって咎める事は出来まい。また、幾ら目を怪我した少年に手術を施したところで、イラクでは米軍の無差別攻撃で女性子供が連日殺されている事が帳消しになる訳でもない。
今度は天皇を持ち出す
 学習ゼロのナベツネは、読売関係の会合で講演、1リーグに選手権優勝と東西対抗の優勝とを最後に戦わせ、天皇杯にしたいと表明。本音は天皇=ナベツネ杯の間違いじゃないのか。3軍とアマとの交流に賛成したものの、ついでに地元の新聞や放送局と協力して試合運営したいとも表明。要するに全部自分で押さえたいという訳だ。本来なら、試合開催をするチームが独立して考え、運営に努力してこそ採算の問題を解決できる経営感覚を養えるはずだが、ナベツネにはそういう発想はなく、「自分が君臨してあらゆる所を押さえる」事しか考えていない事がこの講演で改めて明らかになった。これまで本欄は、巨人を球界の癌と書いて来たが、今日から表現を改める。ナベツネこそが癌である。
《2004.07.09》
どっちが無礼だ!
 プロ野球選手会の古田捕手から話をしたい、と聞いたナベツネオーナー、「協約上、そんな事を言う権利は選手になどない。たかが選手の分際で、無礼な事を言う奴だ」と言ったと伝えられている。たかが一匹のくたばりぞこないが、そちらこそ無礼極まりないと言うべきだろう。この老人は自分を何さまだと思っているのだろうか。協約ってのは、大宇宙の真理なのか? 野球協約にどうあろうと、日本の憲法や民法が優先する。そんな事も分からないらしい。こうした一連の発言を見ると、今回の1リーグ化劇に、要するに正々堂々と説明出来るだけの理由なんて無い、という事が良く分かる。誰もが納得出来る説明があるのなら、すればいいだけだからだ。が、そんなものはなく、単に自分が何十年も思い描いて来た「1リーグにして自分がそこに君臨する図」に向かって、狂信的にしがみついているだけだろうと考えれば、全てのナベツネ言動に説明がつく。自分の年齢から考えて、これが最後のチャンスだと思っているのかもしれない。いずれにしろ、イエスマンに囲まれた一介の老人が、自分の都合でプロ野球界を道連れに、死出の道に旅立とうとしている訳で、まさに無礼千万、論外の話である。このようなモウロク爺さんに好き勝手にさせておくメディア界も情けないが、プロ野球ファンはこの際、選手と共に団結して、この合併劇を破綻させるように、最大限の努力を行うべきだ。この茶番が崩壊すれば、このナベツネの権威は一気に失墜すると予想されるからで、逆に見ればまさに一つのチャンスだからである。しかも、勝算はそんなに少なくはない。一方で何もせず、この茶番劇を押し通させてしまったりしたら、この老人はますます増長するという、最悪の結果を招くだろう。
《2004.07.08》
早くも勝負あり?
 社会保険庁改革の目玉(幸先の怪しい政府が選挙でやる政策バラまきの一環という見方も)として華々しく登場した民間出身の村瀬次期長官。記者会見で同庁の年金徴収体制の大幅見直しを述べたと伝えられている。無駄使い、行方不明の過去蓄積分、複雑な年金システムの整理などではなく、最初に徴収を強化する事を明言したという訳で、就任前から官僚に取り込まれているようにも見えるではないか。一応、それに続いてコンピューターシステムの一新(これも年金で導入されてロクに使われず、無駄使いの一部だが、また買うのか)、保険料で建てた各種施設の見直し(職員住宅から公用車、果ては公用車で起こした事故の賠償金までも年金が流用されているが、見直すのであって廃止ではないらしい)を取り上げているが、これで小泉内閣がこけた場合の事も考えると、年金信頼度の上昇を期待する方が能天気と言えそうだ。今、発売中の月刊PLAYBOYの連載コラム「快楽の経済学」に、次のような一節がある(要約は辛口子自身による)。
 小泉が言うように、民間に出来る事は民間に、というなら、この年金制度こそ真っ先に廃止すべきだ。無論、それまで収めた分は返還してもらう。今の年金は納めた金を役人が運用しているのが実態だが、仮に個人が自分の金の運用先を自由に決められるなら、誰が役人を選ぶだろうか。政府は社会保障のように民間では出来ない事をすべきである。今の年金制度は厚生労働省の役人を養うためのシステムである。
 辛口子はこの記述に全面的に賛成である。村瀬新長官が、この方向で考えを表明したのなら期待が持てた。年金制度に終止符を打ち、社会保険庁を廃止させ、戦前から続く厚生労働省の年金無駄使いを根本から無くしたのなら、間違いなく歴史に名が残っただろう。
出来レース
 オーナー会議が開催され、西武が更にどこかのチームと合併、来シーズンは10チーム1リーグがゴリ押しなし崩し的に決まるような報道がされている。実現したら、何度も本欄で書いて来たように、プロ野球衰退の決定的曲がり角となるであろう。このオーナーらの言動を見ていると、どう見ても出来レースというか、既に近鉄の合併話の前、命名権の売買あたりから裏工作が始まり、既に結論は完全に出来上がっていて、あとは発表のタイミングだけの問題だったようだ。ナベツネは記者会見で「議論など2ヶ月もあれば充分」と答えて、まさに「語るに落ちて」いる。要するにプロ野球のファンは無視され、選手も無視され、一部オーナーすらも無視され、何十年にも渡って癒着してきた一派だけが密室で、自分らの権益の為に話を進めていた事になる。会見した堤オーナーは、赤字に悩むパリーグとしてはこれしか選択肢がないと言うが、本質的に経営感覚の無いスタッフが1リーグ化で生まれ変わる訳がない。どうせ巨人戦の放映権料頼みだろうが、巨人戦の神通力などもう無いし、10チームのリーグでは思うようにそんな物が入って来る訳もない事は前の日に書いた。3軍を作って社会人野球を受け入れ、アマとの交流ももっとはかるというが、これも1リーグ化とは何の関係もない事だ。今でも出来る。要するに、目的は巨人中心の1リーグ化なのであって、自分らさえ良ければそれでいいという事である。他の理由はそれに付け足したに過ぎない。でなければ最初にそれを言う筈で、「打ち合せ」が済んでから発表しているというその事こそが動かぬ証拠である。まさに「何言ってやがんでえ」である。この老人どもは自分らをなに様だと思っておるのであろうか。こうまで馬鹿にされて、言うがままに応援などして金払ってテレビ見るなど、人間としての尊厳にかけてファンはするべきではあるまい。少なくとも巨人戦ボイコット運動くらいはあって良いのではないだろうか。40年前と違い、今ではプロスポーツは多種多様なのだから。
《2004.07.06》
尻すぼみの証明
 ナベツネとその子分らが勝手に唱えている、球界再編と1リーグ化。果たしてそれで本当にプロ野球が発展するのだろうか。10チームで1リーグだとか、将来的には8チームだとか、どういう根拠があるのか不明な数字だけが跋扈(ばっこ)しているが、それではそういうチーム数になって、本当にリーグが発展するのか調べてみた。といっても、小学生でも出来る簡単な計算である。
 現在、セ、パ両リーグとも6チームずつがあり、年間に140試合を消化している(パリーグのプレーオフは脇に置いておく)。これはあるチームが別チームと年間28試合を同一カード対戦として行う事を意味している。6チームあるという事は、対戦相手が5チームだから、28x5で140になる訳だ。さて、それではナベツネの言うように、これが10チームで1リーグとなったらどうなるか。この場合、今と同じようにチーム同士で年間に28試合を戦うとすると、今度は対戦するべき相手が9チームとなる訳で、年間試合数は252試合となる。これは今の140試合より112試合も多く、単純に計算して週に6試合こなしたとして(まさか連日ダブルヘッダーは出来まい)、約19週必要だから5ヶ月今より余分に日程が必要である。1年には12ヶ月しかないのだから、こんな試合が組める訳が無い。必然的に同一カードの試合数を減らさなくてはならなくなる。今の年間140試合だと端数が出るので、これに近い年間試合数を考えると、144試合の場合に、同一カードが年間16試合となる。良く引き合いに出されているらしい、対巨人戦をホームで行うとして、8試合しか組めないのである。となると放映権料も今のセリーグのように14億円ではなく8億円しか入って来ない事になる。それでは、これが8チームで1リーグだったらどうなるか。同じように同一カードを年28試合行うとすると、年に196試合となる。現行の140試合より56試合多くなり、これでも2ヶ月以上ペナントシーズンが伸びる。年間140試合に切り下げたとすると、同一対戦カードは20試合。ホームに迎えられる巨人戦は10試合に過ぎない。
 これで一体どういう具合にプロ野球が発展するのか、合併・1リーグ推進派は明快な説明責任があろう。近鉄会社の山口社長は、「ライブドアに売却するなど1%もない」と発表したらしい。確か先日までは0%だった筈だから、少し考えが揺らいでいるようだが、小学生の計算の所まであと一歩に来ているのかもしれない。
《2004.07.05》
醜悪の密室芸
 近鉄オリックス合併劇の前に、実はダイエーとロッテの間に以前から合併に向けた動きがあった事、そして今年の初めにあのライブドアがダイエーに買収を打診していた事が、報知新聞によってスッパ抜かれている。ちなみにダイエーの買収額は200億円。近鉄の10〜30億円と比べると随分高値だが、それだけ商品価値があると見たからだろう。無論、ダイエーは門前払いにしたらしい。こうなると、実は一般に知られていない合併劇があと幾つ進んでいるのか、全く見当がつかなくなってくる。別にこういう話をおおっぴらにやらなくてはいけない、という事ではない。特に合併や買収の話は、水面下である程度は進めておかないと、表沙汰になった途端に、騒動となって収拾がつかなくなりかねないからだ。その意味では、近鉄やオリックスが言う「もう決まった事なんだ」ってのは一理あるのだが、問題はそのプロセスである。少なくとも球界を発展させようとか、ファンを納得させようとか、選手の立場を考えるというようなものが、何も見えないのは確かだからだ。一体全体、1リーグにし、10チームか8チームにして、何がどう発展するのか、全く説明というものがない。壊れたテープレコーダーのような、という言い方が昔あったが、まるでそれみたいに同じセリフを繰り返すだけである。このパターン、憲法を改正しなくては国際貢献が出来ない、と繰り返すだけのどこかの政府に通じるものがあるが、説明責任どころか三菱ふそう並に、幼稚園児レベルの知能だから責任というものが理解出来ないのではないかと思いたくなるような醜態ぶりだ。ところで、球界には旧態然としている問題点が沢山ある。あまり知られていないが、例えばプロ野球選手の身分はかなり不安定なのだ。球団から「もういらんよ」と言われれば即座にクビである。クビには2種類あって、自由契約と任意引退がある。前者であれば他の球団でプレー出来る可能性は残るが、後者であったら以後、どこの球団であろうとプロ選手としては活躍出来ない。そして、そのどちらにするかを決めるのは、球団なのだ。今回の合併劇で球団数が減れば、はみ出す選手はそれだけ出る。近鉄やオリックスの話ではない。そこから選手が来れば、どの球団でもあぶれる選手が出るのだ。その球団は、親会社からの出向者が運営し、親会社は宣伝だと思って球団を抱えるから経営感覚がない。他にもプロとアマの交流問題、社会人野球の問題など解決すべき課題は山積している。こうした実態が、8球団1リーグになったからといって、変わるのだろうか。少なくともそういう話は関係者からは全く出ていない。規模を縮小してレベルの向上したスポーツリーグなど、この世にはない。選手を買い叩いて優秀な人材が集まる訳もない。そしてファンを無視すれば、必ずその報いは来るのである。折しも、近鉄オリックス戦を観戦しに、ライブドアの堀江社長が球場に現れたが、ファンからは大歓迎され、「救世主・堀江さま」などというプラカードまでが掲げられた。ナベツネでも小林(近鉄)でも中内(オリックス)でもいいから、球場の観客席に現れてみるがいい。どういう「歓迎」を受けるか身をもって体験すれば、枯れ切った脳みそにもまだ学習というものが出来るのではなかろうか。そういえば、竹中経済担当大臣は立候補演説を阪神戦の行われる甲子園前でやったらしい。で、結果は厳しいヤジを浴び、散々だったそうだ。無理してハッピを着たのは良かったのだが、持っていたメガホンがピンク色だったらしい。堀江社長は飾らぬTシャツ姿でファンから歓迎された。ファンの目は甘くはないのだ。
あたふた
 来週の参院選で余裕しゃくしゃくであった筈の小泉内閣、各種メディアによる有権者分析で民主党優位が伝えられて、大慌てである。曽我さん親子の面会を急がせ、消費税値上げを「当面」否定、高速道路料金値下げを発表、などと脈絡の無い選挙対策に懸命である。折しも阿倍幹事長は「年金は消費税でまかなうのが良いと思う」と、大騒動の末に通した「制度維持の為に是非とも必要な改革」を否定するような発言も飛び出し、足並みは乱れる一方。巷では、田中眞紀子議員が「かつて私は応援しましたが、3年たってみたら小泉総理はとんでもない欠陥品」と叫び、再立候補した辻本氏も「あんな年金法案、私がいたらソーリソーリです」と舌鋒も鋭い。どうせなら今の小泉内閣、惨敗してもらいたいところだ。さて、二大政党化と言われるが、実際問題として自民党の主張と民主党の主張とは劇的に違う訳ではない。このあたり、争点が明確になる欧米とは国民性の違いもあるのだろうが、それでも政権交代はあった方がいいのだ。例え政策が似通っていても、交代すれば新しい風が吹き込むからである。自分の思いを代弁してくれる候補がいなくても、幾らかでも近い候補には投票しよう。まず投票しなくては話にならない。投票しないのなら、生活が悪いのは政治が悪い、などと言う資格がないくらいに思わなくてはならない。
《2004.07.04》
借金だけは好景気
 国の借金(赤字)が、700兆円になったという記事が、先日の新聞に出ていたが、単に金額が大きいだけではなく、「伸び率」も凄いらしい。ある計算では毎年100兆円ずつ増えているのだそうだ。小泉内閣の言う構造改革とはこれだったのか、などと納得している場合ではない。この借金が直接生活にかかってくる訳ではないが、既に国家予算は国債の利払いだけで硬直化しているし、金の無い国家は、消費税だの年金だの保険料だのとあらゆる手段で金を集め始めるだろう。既に財産税という話がまことしやかに流れているのである(書店には本が並んでいるが、警告というより既成事実化に見えて来る)。国の借金が膨らむと、国債も外国が買ってくれなくなる。以前から何回も書いて来た、国民年金の蓄積分、230兆円なんて、おそらくもう無くなっているに違いない。官僚の浪費体質、コストゼロ感覚が遂にここまで国の財政を追い込んだのだが、小泉内閣はそれに全く手を打てず、最初の一回だけ国債発行額削減を言ったものの、その反動で国債発行額は急上昇した。これが竹中のしてきた事だ。どこが景気回復なものか。省庁再編にしたところで、単なる組み替えだから実態は何も変わっていない。大臣の数は減った事になっているが、副大臣は増えた。国会の審議会でこれまで官僚が行っていた答弁を、大臣自らが答えるようにしたのは今の政府だが、お陰で官僚は表で説明しなくて良くなったので、ますます勝手にやるようになった。天下りなどは減るどころか盛んになる一方であり、受け皿の特殊法人は相変わらず高い給料と退職金を大判振る舞いである。これまでは金のなる木だった年金が破綻したから、慌てて改正法を作ったが、条文ミスがあった場所でも分かるように(国民への支払い部分だ)、国民への払いなど眼中に無かった事は明らか。昨年、米国で新規に発行された米国債のうち、日本が20兆円近くも購入しているという事実すら、小さく見えて来る。国家が破綻するとどうなるのか。それは、数年前のアジア経済危機やロシアの破綻が示している。預貯金が凍結され、一部の者だけがそのどさくさで莫大な金を手にするのである。もっとも、その前に波状的な大増税が待っている。
《2004.07.03》
衰退への一本道
 巨人のナベツネが遂に本音を暴露か、「当面10球団、将来は8球団にして大リーグにも対抗出来る強いチームばかりにする」と発言。どうやらこれが狙いらしい。読売新聞の2日付紙面で、巨人戦の視聴率が悪い時でもあらゆる言い訳をし続けた日テレの氏家がコメント記事を書いていたが、その中で「この(合併の)話を聞いた時、遂に来るべきものが来たと思った」と述べている。要するにチーム数を減らし、完全に自分らの手中におさめたいかどうかはともかく、少数精鋭にしたい、と長年思って来たという事であろう。長年とはどの位かだが、少なくとも数十年には違いない。なにせ、プロがアマを教えてはいけない、などという事を40年もいい続けていた連中である。それが「来るべき時が来た」というのなら、要するに数十年の間、脳みそが全く進歩しておりませんでした、と自ら告白したのと等しい。別の言い方をするなら、最近のスポーツ業界の激変を何も知らないという事だろう。確かに、今の選手から強いのばかりを集め、8チームにしたら、一時的にはトップクラスばかりのチームになるかもしれない(巨人球団の頭では、またぞろ4番ばかり集めそうだが、それは置いておくとしても、である)。しかし、そういう選手の寿命が来た時に、新しい逸材が入って来るかどうかを何も考えていないのである。対照的なのがサッカーだ。日本のサッカーが世界に通用するようになったのは、とにもかくにもJリーグが出来たからだ。Jリーグは底辺を広げる事を積極的に進めている。J2、その下のJFL、そしてアマチュアクラブとなっていて、天皇杯ではプロもアマも関係なく全国トップを争うのだ。こうして、広い底辺から切磋琢磨して上がって来た逸材が、優れた選手として世界にはばたいている。Jリーグ発足(1993年)から僅か10年でここまで来たのだ。Jリーグがチーム数を減らして強いチームを作る、なんてな事をやってたら、発足数年で消滅していたに違いない。今、プロ野球はそれを立証しようとしているのである。かつてバブルの頃、富士製紙という会社の会長が、世界の名画を金にあかせて買い集め、自分が死ぬ時に一緒に燃やせと遺言をして、世界中から非難を浴びた事がある。今のプロ野球オーナー連中は、自分が死ぬ時にはプロ野球を道連れにしたい、とでも思っているのではないか。
《2004.07.02》
二言はない
 ライブドアの近鉄買収に絡んで、近鉄の社長は「合併は決まった事。男に二言はない」と言い捨てたと伝えられている。が、それじゃ半年ほど前に、近鉄の名前を売りに出して、あっさりと引っ込めた事は二言じゃないのか。僅か半年前の事も覚えていないというのでは、そろそろ物の覚えもめでたくなって来ているようだから、一日でも早く業界から引退してもらわないと、野球どころか近鉄という会社そのものが危うくなるであろう。色々なスポーツ紙が、このライブドアについて書いているが、選手やファンは好意的に歓迎している一方で、オーナー連中から出て来るのは、殆ど嫌悪に近い反応である。理由は幾つかあるらしいが、まず、このライブドアの社長なる人物が、業界で煙たがられているらしい事、次に買収金額が30億円と安い事(相場だか何だか知らないが100億くらいだそうな、普通は)あたりなのだそうで、要するに若造に買い叩かれたという感情的反発もあるようだ。だが、業界で煙たがられるような人物でなければ、抜本的改革など出来る訳もないし、赤字垂れ流しでロクな経営もせずに「買値が安い」などとは良くぞぬけぬけと言ったもので、まさに厚顔無恥という言葉がピタリと当てはまろう。買い手がついただけでも有り難いと思うのが当たり前である。で、各オーナーの反応を見ていると、ライブドアに強硬に反対しているのがナベツネ、小林(近鉄)、宮内(オリックス)というところで、他のオーナーは最初から1リーグを持論で言っていたか、静観しているか、反対しているかである。つまり、この3人で事前に密室でシナリオを描き、ファンなどそっちのけで自分らの保身を第一にこの合併劇を決めたのだろう、と推測がつく。ナベツネあたりなら「パで一つ合併が起きれば、雪崩式に合併がもう一つ出て、そうすれば1リーグとなり、オレが球界の帝王だ」と考えそうな事である。オリックスと近鉄は、そのおこぼれ(巨人戦中継権料)をもらう訳だ。そしてそのシナリオが根底から覆るから、感情的に反発しているのであろう。ところで、ライブドアが名乗り出たのは、売名行為だなどと難癖をつけるのがいるが、そういう側面があったところで球団を得る以上は、それを使って利益を上げるのが経営というもの。それをしなかったからこそ、今の窮状があるのであって、第一、文句があるなら「それじゃ俺が100億で買う」と言えばいいのだ。こういうのを卑怯者と言う。
署名拒否
 イラク暫定政権下に身柄を移され(と言っても、実際には書類上の問題だけであって、実質は米軍が拘束)、裁判に出たフセイン元大統領。「これは茶番の裁判だ」と言って、署名を拒否。まあ、実質的に今の暫定政権はアメリカの傀儡だから、言ってる事は正当である。フセイン元大統領にかけられている犯罪嫌疑は、クウェート侵攻やクルド人弾圧などであるが、クウェート侵攻に際しては、米国は偵察衛星などでその準備を知りながら、侵攻するまで放置したという(米国の偵察衛星なら砂漠に軍が集結すれば、分からない訳がない)。フセイン大統領は、侵攻に当たって米国に承認を求めたが返事は無かったという情報もある。そもそも、米国はイランで傀儡のパーレビ政権が倒れたあとは、イラクのフセイン政権を英雄扱いしてせっせと支援し、各種武器弾薬から毒ガス、細菌兵器に至るまで供与したと言う事が今ではバレている。イラクは米国の後押しを受けてイラン・イラク戦争に突入、双方合わせて数十万を軽く越えるという死者を出した。イランが倒れないとなると、一転してフセインを敵視するようになり、9.11テロをいい事にアルカイダと結託していると難癖をつけ(証拠もなしにである)、国連決議もないまま遂に軍事侵攻をして今に至っているのである。フセイン元大統領は「真の犯罪者はブッシュ(米大統領)だ」と述べたそうで、恐らくは拘束中に色々と屈辱的な思いをしたのであろうに、見事な気骨ぶりと言えよう。無論、独裁者であるから、無茶もしていた。だが、フセイン無きあとのイラク混迷は、米国の作戦がテロ撲滅どころかテロリズムにせっせと油を注いでいる事を示している。今では誰の目にも明らかであるが、世界最大の大量破壊兵器保持国は米国であり、米国こそが世界最大のテロ国家なのだ。米国がそれを「自由への戦い」と言っているだけのことである。小泉政権がそれにべったりのへいこらなのは、言うまでもない。
《2004.07.01》
呆れた経営感覚(続・老害)
 ライブドアの近鉄買収はファンや選手からは大歓迎されている。古田選手会長は歓迎を表明したし、日刊スポーツがWWWで実施した緊急アンケートでは、賛成が84%、反対は僅か9.8%だった。ライブドアの記者会見を聞いていれば「球団経営にベンチャーの手法を取り入れ健全化する」「バファローズの名前は残しフランチャイズも変えない。必要なら大阪に会社を移し、関西経済に貢献してもよい」と、実にまっとうな事を述べている。これらに対して、およそ時代錯誤の殆ど白痴に近い事ばかり言っているのが、オーナー側だ。特にひどいのが下に書いたナベツネの上を行く、近鉄やオリックスのオーナーである。オリックスの宮内(敬称などつける必要はあるまい)などは「古田選手会長は何を考えている」「これは球界の体質改善の為に1リーグ化をするのだ」「そうしないと、また経営難になって球団が手放される」と述べたらしい。問題の本質は、球団が経営をして「いない」事にあるのだが、それに気づいていないのだ。球団の職員は親会社からの出向で、数年で入れ替わるからまっとうに経営なんてする気がない。巨人の堀内監督は、シーズン前から中継ぎや押さえのピッチャーを要求していたらしいが、あの三山を筆頭とする職員が調達したのは、何と小久保とローズだったのだ。結果は言うまでもなく、球団を経営するセンスもやる気も無い事が、この一点に象徴されている。この宮内らオーナー陣が1リーグと言うのは、巨人放映権の1試合1億円があれば経営ができると言う事らしいが、そんなものは経営でも何でもなく、口あけてエサが落ちて来るのを待つだけであって、子供どころかヒナ鶏でも出来る話だ。そもそも巨人戦の神通力など、もはや残っていない事は、視聴率が10%を割る事が珍しくもない事で明らか。米大リーグでもヤンキースのように一流選手を集める所があるが、そうではない弱小球団へ資金が回る仕組みがちゃんとある。要するに、リーグ全体が繁栄しないで、1チームだけの繁栄は有り得ない、という当たり前の事が徹底されているのだ。日本の問題が、巨人よりかかり体質と、球団が一つの企業として活動していない点にある事は明らかで、現状の「おらが村」システムに頑迷に固執するだけの恍惚オーナー陣はさっさと消え失せるべきであろう。文句があるなら、「Jリーグはチームを増やしているのに、何故野球はチームが減るのか」というライブドアの疑問に、答えられるのなら答えてみろ、である。
老害
 ライブドアが近鉄買収を表明したら、近鉄側は「オリックスとの合併を進めているのだから」と断るとの会見。これが断る理由というのは、誰が見ても不可解である。本当に赤字で困っているのなら、渡りに船の筈だからだ。考えられるとすれば、何らかの密約がオリックスとの間にあるという可能性である。球団経営は親会社からの出向者が行っている(だから経営感覚がない)ので、合併で職を失う筈がない。となると、合併によってオリックスが近鉄の鉄道を支援するとか、別の形で出資をするとか、そういう話が裏にあるのではあるまいか。だとするなら、ますますもって、野球ファンを馬鹿にした話であって、我が身の保身第一で、ファンどころか球界の事すら考えていなかったという事になる。ところが同じ日、あのナベツネ氏は「加盟できないんだよ。おれが知らない人は入るわけにはいかない。プロ野球というのは伝統がそれぞれ(の球団に)ある。金さえあればいいというもんじゃない」(日刊スポーツ)と発言、要するに仲良しクラブの中のガキ大将でいたい、と公言したわけだ。密約以前の問題で、ファンへの意識が無いどころか、プロ野球というものを私物化し、その上、そこに君臨する事ばかり考える、かように幼稚な人間を、何時までものさばらしておくべきではない。大阪の太田知事も言ったように、まずはこうした連中を一掃しない事には、プロ野球の発展も底辺拡大も有り得ないだろう。

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