一刀両断ミニコラム
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2003年

《2004.08.31》
ヒラメ族
 30日に開かれたプロ野球実行委員会は、オリックスと近鉄の合併承認を先送りした。言うまでもなく、前の日に東京地裁が「承認すべきでない」と要請を出したからだが、この要請には法的な強制力はないものだった。で、委員会のあと、記者に対し、セリーグ会長が「裁判所が検討している期間中は、我々も合併承認の手続きを控えた方がいい」と答えている訳だ。ファンや選手がどれだけ反対の声を上げようと平然としていたこの連中が、裁判所が法的強制力の無い発言をしただけで、あっという間に態度が180度変わった光景には、痛快というよりも呆れる他はない。熟慮した上での行動で自分の正当性に絶対の自信があるのなら、裁判所に対しても反論をするだろう。そうではなく、即座に「へへ〜っ」と及び腰になるというのは、要するに自分らの頭では何も考えられない事を証明しているのに他ならないからである。しかもご丁寧にそれを記者会見で堂々と話すのだから、まさに額にバカと書いているのと同じではないか。このように下の方は見ようともせず、上の方にばかり目を向けてへいこらし、自分の頭では何も考えない奴の事を、表題のヒラメ族と言うのだそうだ。今やヒラメは高級魚だが、こんなヒラメは犬も食うまい。
自由と平和
 暗殺された前大統領の後任を決める選挙がチェチェン共和国で行われ、親ロシアと言われるアルハノフ氏の当選が決まったと伝えられている。しかし、これはロシアによる事実上の「やらせ」選挙であって、対立候補者に対しては書類に難癖をつけて立候補を認めないなど、露骨でなりふり構わぬ不公正工作が行われて来た。従って、新大統領も国内で広く支持を受ける訳もなく、チェチェン内戦は更に激化するだろう。もっとも、ロシアのもう一つの計算はそれもあって、損害が馬鹿にならないロシア軍は引上げ、新しい大統領に反対派弾圧をやらせてチェチェン人同士での戦いにさせる事で、自らは離れた所から漁父の利を狙うという訳である。ロシアで旅客機が二機墜落、ロシア政府はテロだと非難しているが、その裏ではこういう事をしている事も頭に置いて聞かなくてはならない。こうした現実に対し、国際社会、特に米国は全くと言っていい程に無関心である。理由はここにも石油が絡んでいる。ロシアはチェチェンを経由してカスピ海の石油を黒海に出したい。チェチェンが戦略的に重要なのはその為である。一方、アメリカにとっては、ロシアの石油が市場に大量に出て来る事は、石油市場での価格支配力の低下を意味するのである(ロシアからのパイプラインを米国も計画しているが、米国が支配するパイプラインなら構わない)。米国式の自由や平和という言葉は、その前に「米国にとって都合の良い」というフレーズが付いた上での話だという、格好の例がチェチェンになっている。犠牲になるのはチェチェン国民ばかりである。
《2004.08.30》
恣意的以前
 石破防衛庁長官が、沖縄のヘリ墜落事件に関連し、日米地位協定の恣意的運用について改善をしなくてはならないという考えを示している。だが、コトは日本の土地で起きた事故を日本の警察が現場検証すら出来なかった(他に消防署も火災の検証が出来なかったし、学長も大学敷地内に入れなかった)という点にあるのであって、日米地位協定に何が書かれているかとか、どう運用されたかの問題ではなく、明確な主権侵害である。仮に地位協定にそれを可能にするような記述があるとするなら、そうした記述そのものが違法であり無効であろう。警察が現場検証をしようとして、誰かが邪魔をしたら、即座に公務執行妨害で逮捕される。米軍ならそれが逮捕されないというのだから、協定の問題ではない。日本が米国の属国かどうかという話である。これが「防衛」長官だというのだから、そもそも職務不適格なのではないのか。
カボベルデ
 何かのブランド名ではない。五輪を見ていたら初めて耳にした、れっきとした国の名前である。CAPE VERDEと書き、アフリカ大陸の左(地図で言うとアフリカ大陸中部あたり最も左に出っ張った部分の沖合)にある、小さな島の集合国家なのだそうだ。調べてみると人口は合わせて40万ほど、陸地面積全部で4000平方キロということで、人口は日本の300分の1、面積は90分の1くらいの小さな国という事になる。こうした小さな国を知る事も、五輪の楽しみ方の一つである。
《2004.08.29》
疲労破壊
 五輪から帰国したオリックスの谷選手と近鉄の中村選手が戦線に復帰出来ない。合併すると言われている2チームの主力というところが何とも皮肉であるが、考えてみるとこれも五輪の誤戦略の犠牲者ではないかという気になる。谷選手は予選最終戦で足を捻挫した。1塁へ駆け込んだ時にひねったものだが、少なくとも普段そういう所で捻挫などするようでは、プロとしてはやっていけない。よほど疲労が溜まっていたに違いない。中村選手は、サンダルで歩いている時にガラスを踏んだという。これも常識的には考えにくい事で、平素、体を何より大事にするプロスポーツ選手であるなら、そういう物を不用意に踏んだりはしないものだ。やはり、ストレスが溜まって注意力が散漫になっていたのではないだろうか。オーストラリアのように、予選の1試合を捨てて敢えて主力を休ませるという戦略をとっていれば、この事故は起きなかったかもしれない。また、五輪中はプロのペナントレースを休止していれば、残り試合も多くなり、この両者が復帰して活躍できる試合数も増えただろう。これで谷、中村両選手ともに個人記録、特に本塁打や安打数などは伸びずに終わる事になる。こうして考えてみれば、二人とも安易に中を取って妥協した、無能な上層部の犠牲者と言うしかないのではなかろうか。
《2004.08.28》
密室のビーンボール
 米メディアも、遂に日本野球界のファン無視合併劇を報じたのだそうで、題名はその記事に使われたものである。まさにこれが日本社会の縮図だ、とも書かれたそうな。シャクではあるが、まったくその通りであって、反論の余地もない。何やらナベツネは「セパともに5球団で交流試合を」などとまた訳の分からない事を言ったらしい。5球団でのペナントはそもそも無謀であると判断したからこそ、1リーグにこだわったのだろうに、進歩どころか後退である。大体、先日の引退発言はどこへ行ったのだ。昨年2月あたりに言った「8月には引退する」てのはどうした。馬鹿馬鹿しくて開いた口が塞がらない。日刊スポーツの人気コーナー、まゆげのノーさんが戦略の無かった日本チームを指摘しており、そもそも各球団から2名という妥協策に無理があったと述べている。五輪戦力も不完全になったし、無理して行ったペナントも、巨人戦視聴率5%などという結果に終わったからだ。「間をとって、結果的に最悪のものとなる」のも、日本のお家芸だが、まさにそれの典型だ。そもそも、議論で「間をとって妥協する」というのは、大局的見地よりも自分の都合を優先させるからである。「俺がここまで妥協するんだから、お前も同じだけ譲歩しろ」という訳だ。そこには大局的見地という視野も、論理的思考という知性もない。結果として両者ともに痛いダメージを負うのである。太平洋戦争当時、大本営の中では陸軍と海軍が対立し、作戦が両者妥協の産物に終始したために、日本はことごとく失敗を重ねた。更に問題なのは、その妥協が間違っていたと分かってからも、間違いの元を正すという姿勢をとらない点である。ナベツネも(他オーナーらも)、そもそもの問題点は、球団数を減らす事にあるにも関わらず、その点だけは断固として修正せず新規参入を認めようとはしないのである。間違いを認めるとメンツが潰れるのだと恐れる訳だが、そんなものはとっくに潰れているにも関わらず、しがみつくのだ。三菱ふそうのトップを始め、原発問題、諫早湾など全てこのパターンだし、さかのぼれば旧日本軍も、兵器が進歩して弾丸を雨あられのように打ちまくる重機関銃が出現したにも関わらず、銃剣を構えて突撃する戦法を変えずに、兵士の屍を山と築いた。50年たっても、全く頭に進歩が無い。これが日本人の本質なのか、それともバカが出世するシステムになっているのか、そろそろこちらの本質も究明しなくてはならないのではなかろうか。そういえば、「上司はバカしか出世させない」という本があった。
やっと出来ていた強化施設
 日本のメダルラッシュの影に、政府がやっと作ったトレーニングセンタがあったそうだ。東京の北区に総額127億円とやらをかけて作られたものだそうで、水陸を問わず室内競技の強化が可能。合宿所もあり選手にも便利だし、何と低酸素合宿所まであるそうだ。無論、一般人は入れず、陸連所属など国の代表として国際大会に出るような選手の為のもの。今回のメダルラッシュを機に、もっと大規模なトレーニングセンターを作る構想もあるそうだ。もっとも、全てのメダルがここのサポートでとれた訳ではない。選手を影から支えた大勢の名もなき人達がいる事を忘れてはならない。しかし、日本はこれまで余りにそういう人達にばかり頼りきってきたのだから、歓迎すべき施設である。ただ、表から見るとまるで要塞のように、近づきがたいデザインなのが気になる。地球防衛軍ではなく侵略軍の秘密基地のようなのだ。
国立スポーツ科学センターというのだそうだ(9月1日付記)
強運は招けるか
 五輪女子サッカーの1位決定戦と3位決定戦を見てみた。凄い。闘志といい、肉弾戦といい、予選で健闘した日本のナデシコ達もたくましくなったと思ったものだが、世界のトップと比べると、まだまだおしとやかであると言わざるをえない。3位決定戦では、双方キーパーのスーパーセーブが続出、ドイツがワンチャンスを物にしてスウェーデンを下した。決勝は押しに押していたブラジルの放つシュートが、悉(ことごと)くゴールポストを直撃、逆に延長戦でワンチャンスを生かしたアメリカが金を得た。サッカーの試合で何故かゴールポストにばかりボールが当たる試合というのはたまにあるが、それが決勝戦で起きるというのは神がかりな物を感じる。これを見ていて、ふと「リングワールド」を思い出したりしたのだった。(*1) 日本人がそこまで合理的な発想を出来る日が来れば、だが。
[初稿で宇宙船ビーグル号と書いてしまったが、勘違いであった。なお、ビーグル号も傑作SFである事を付記しておきたい]
(*1) リングワールドについて
 ラリイ・ニーヴンの有名なSF古典小説。舞台は遥か未来、地球も銀河文明圏の一員となっている。ある宇宙人が長年謎とされている古代文明遺産のリングワールド探検を決意し、各分野に優れた才能を持つ一癖ある顔ぶれを集めた。が、その中に加わっている理由が良く分からない地球人がいた。それを不思議に思ったメンバの1人が尋ねた時に、「それは運だ。彼の家系を数十世代に遡って調べたのだが、彼の一族はピンチというピンチを強運としか言いようのない形で逃れているのだ」という答が返って来るという下りがあるのである。最後の一歩をクリアするには、こうした運を呼び込む人材選択も検討しなくてはいけないのかもしれない。なお、これは今でもハヤカワ文庫にて入手できる。
《2004.08.27》
皮算用の前に考えよ
 アテネ五輪が終わらぬ前から、早くも次の北京五輪も野球は長嶋体制で行く、と決定するようである。別に長嶋体制がいかんとは言わないが、今回の金を取れなかった要因を分析するのが先なのではないであろうか。しかし関係者はその方向へ話を持って行きたくないようだ。今度の五輪では、日本は非常に恵まれた環境にあった。米国は大リーガーを一切出さなかった。母国にも戻さなかったので、もしそうでなかったらオーストラリアにも台湾にも一線級のプレーヤが加わっていた。また、米国や韓国が五輪以前の選抜でこけていたし、台湾も戦力が充分とは言いがたい状態であった。キューバも最終的には金を取ったが、失点がかなり多く得点で勝ち進んでいたようなものであった。かような好環境にもかかわらず、土壇場で作戦に失敗、金を逃したのだ。先日も書いたようにこれは現場の責任ではない。現場はベストを尽くしたのである。戦力で勝っていながら、戦略で負けたのだ。4年後にも同じ幸運が繰り返されるなどという期待を関係者が持っているなら、それは途方も無い能天気だろう。その能天気が上にひしめいている現状を鑑みれば、金どころかまたメダル無しの屈辱を味わったとしても、何の不思議もない。
伏兵2(地雷)
 月末に合併正式調印をすると宣言していた近鉄に対し、近鉄の株主が合併差し止めの仮処分を申し立てた。ライブドアに売却すれば、その代金で赤字を補填できるにも関わらず、殆ど金銭的メリットの無い合併を強行する事は、会社に被害を与える背信行為である、という訳だ。会社に損害を与えている事から、株主代表訴訟も検討しているという。拍手をしたい。同時に、プロ野球選手会も合併差し止めの法的措置をとると表明。何とコミッショナーまで、2リーグを維持するための私案があると言い出した。辛口子は1リーグ化に絶対反対という訳ではない。だが、それは最後の手段であるべきであって、万策尽きたような場合に限られると考えている。万策どころか「決まった事だから」を繰り返すだけの無策でなど納得出来る話ではない。企業合併と違い球団の合併、即ち球団数の減少は選手の生活を直撃する。事実上、職を失う選手も多数出る。にも関わらず、ヘラヘラと笑いながら合併合意書を交わすような経営者には、代表訴訟で莫大な借金を背負わせてみるのが一番いい薬ではないかという気がするのである。慢性的な赤字体質が問題なら、なおの事新規参入をさせてみるのが良いのだ。
 ところで、新規参入計画を説明しに来たライブドアの社長に対し、ある球団の社長は「ネクタイしたほうがいい」とアドバイスしたそうだ。議題の内容よりもネクタイが気になるとは、まさに田舎大名丸出しの頭である。ネクタイのルーツは、フランス革命当時に暇になった近衛兵が、おもしろ半分に靴ひもを首にかけた事にあると言う。だから、今でもNeck(首)Tie(紐)と言うのである。従って、ネクタイは本来、上流階級のファッションでも何でもない。実際、シンガポールのリー・クアン・ユー首相などは、外交の席でもノーネクタイだった。大体からして辛口子に言わせれば、自分で自分の首を締めながら悦に入っているなど、正常な精神構造とは信じがたい。そんなもので締めているから、首から上に栄養が行かないのである。ノーネクタイが普及すれば、エアコンの稼働率だって下がるというものだ。省エネ、省資源にも直結する。いちいち時計を直さなくてはならないサマータイムなどより、ずっと合理的で効果大ではないか。
《2004.08.26》
栄誉賞大盤振る舞い
 小泉総理は、「今度は選挙目当てとは言われまい」と、メダル大量獲得の五輪選手に、国民栄誉賞を遠慮せずどんどん与えろ、との考えを示したそうである。選挙目当てでなくても、人気取り目当ては明白で、五輪終了後に大勢を官邸に招く光景が今から目に浮かぶ。柔道の谷選手が金をとった時、「感動した!」という電話をしたらしいが、国民の反応はドッチラケではなかったか。そもそも、今回のメダルラッシュに政府が一体どういう支援策をとっていたというのであろう。そういえば、国民栄誉賞って要するに紙をくれるだけなのでは?
《2004.08.25》
がめる事から強化
 最近、年金関係の「改革」の報道が結構多い。が、それが今の制度の改革なら喜ぶべきなのだろうが、単なる徴収の強化ばかりが並んでいるのが実際だ。24日の報道でも「転職者の年金加入を強制化する」とか「未納者に納付歴通知して納入を促す」という2つが出ていた。いずれも「未払いが多いと最終的に年金を受け取れない」という理由が書かれているが、どう見たって集まる金が減るとお上が困るとしか読めない。無駄使い(あちこちに作りまくった保養施設)を改めるとか、無駄に使った分を職員総出で弁償するとか、厚生省のピンハネ分(年間3000億円ほど)を見直すとか、社会保険庁の経費への流用を考え直すとか(事務費から職員宿舎、公用車、果ては公用車が事故を起こした時の賠償金にまで年金が使われている)、天下り先の廃止、などというフレーズはこれっぽっちも出て来ないからだ。政府は構造改革を一層進めるとか、三位一体改革とか、郵政民営化などという単語を繰り返すだけで、年金問題に関しては先に国会を無理矢理通した改悪案をもって終わりとするようである。財政難を反映して、増税項目も目白押し。どこに景気回復の芽があると言うのか。
現場はプロでも上はアマ
 オーストラリアに二度負け、決勝への夢を断たれた日本代表五輪野球チーム。敗因はチャンスに効果的な手を打てなかった指揮官にある、と言える。オーストラリアは、エラーやボークを含め、日本に少なくとも3回の得点チャンスを与えてくれた。にもかかわらず、打者は外野フライ一つ打つ事が出来ずに、ランナーを返せなかったからだ。最後になれば、ウィリアムスが出て来る事は分かっていたにしては、あまりに無策だった。代打すら出さなかったのである。もっとも、これを100%中畑コーチにかぶせるのは、酷というものであろう。監督経験が無いのに、いきなり大役をまかされたのだから、予選を見る限り良くやったと言えるほどだ。となれば、問題は更に上にある事になるだろう。長嶋監督が倒れてから、五輪出場まで何ヶ月もあったのに、その間、別の監督を立てる事もせず、実行委員会は「長嶋一本」と繰り返すだけで、ただいたずらに時を過ごしこの事態を招いたからだ。脳梗塞で倒れた人間が、そう簡単に全快などする訳がないのに、である。要するに面倒くさいから考えるのを止めたのであろう。勝負にタラレバは無いとはいえ、仮に五輪監督が星野だったら、と思わずにはいられない。その間、野球界のオーナーらが、自らの保身をはかって球団合併の裏工作に奔走していた事は、今となれば明らかである。こういう事だと一生懸命やる訳だ。被害を被ったのは応援したファン、出場した選手、そして主力を出して苦戦したチームであろう。諸君、賭けよう。こうした真の責任者らは、自らの事など何も触れずに「良くやった」としかコメントしないに違いない。或はそれすらせず、責任を現場に転嫁し、「新たな合併先は」と壊れたテープレコーダのように繰り返すだけかもしれない。なお、オーストラリアチームは予選最終戦を敢えて負ける事で、準決勝の相手を日本にした。そうしなければキューバと戦う事となり、良くて銅メダルしか望めないという計算があったのは間違いない。相手はプロアマ混成であっても、指導者は間違いなくプロであった。
《2004.08.24》
伏兵
 五輪で日本勢が活躍する中、さて今のプロ野球順位はどうなっているのか、と思わず考えてしまうほどに影が薄くなっているというのに、パリーグのオーナー陣は全く学習効果ゼロの行動(合併から1リーグ化)を繰り返すのみである。以前も本欄で書いたが、万策尽きて他に手が無いならともかく、赤字体質を何十年も放ったらかしておいた己の責任を棚に上げて、選手とファンにだけ皺を寄せようとするこうした態度は論外である。法的な問題以前の話であって、経営者としても失格であるばかりか、責任という認識が無いのなら小学生低学年なみの知能程度だ。さて、合併するというのなら新たな球団を作って参入するとライブドアが手を挙げたのは数日前だが、今度は野村監督率いるシダックスがプロ入りの可能性を発表した。さあ、どうするのか、オーナー陣? あちこちのサイトが意見投票を実行しているが、どこを見ても1リーグ反対は8割か9割を占めている。つまり世間を殆ど全部敵に回しているのである。責任能力ゼロでも、その程度は認識できるのではないか。
《2004.08.23》
日本の潜水艦隊
 8月の15日は終戦(敗戦)記念日である。毎年、この頃になると第二次大戦に関連した番組が流されるが、殆ど取り上げられないテーマがある。それは旧日本軍の潜水艦部隊である。これを詳しく紹介していたのは、何とアメリカのプロダクションが制作した「アメリカ潜水艦隊の軌跡」というドキュメンタリー(スカパーのHistory Channelで今年5月頃放送)の中の一話であった。それによると、当時の日本潜水艦隊は潜水艦も優秀で乗組員の士気も高く、優れた部隊だったらしい。大戦中期頃までは米国は潜水艦をあまり重視しておらず、かなり旧式の船で頑張っていたのだそうだ。にも関わらず、日本の潜水艦があまり活躍したという事実がない。米国の潜水艦隊は、はるばる米本土やハワイからやってきて、日本の輸送船を散々に叩いたにも関わらず、である。その理由は、やはり指揮系統にあったようだ。番組中で取り上げられていた一例では、日本が米輸送船団の情報を掴んだのに、大本営の中で縄張り争いに終始した結果、作戦そのものが中途半端になり、しかも命令伝達が遅れたために所定の時刻に潜水艦がその場所に行けなかった、という。今の原潜とは全く違い、当時の潜水艦は航行速度が決して速くはなく、輸送船団を沈めるなら先回りして待ち伏せしなくてはならなかったのだが、待ち伏せ場所に行く頃には輸送船団が通り過ぎていたというのだから、殆ど喜劇である。今だに改善されないどころか、深刻化の気配さえある日本のお家芸、現場は優秀なのに、指揮系統が無能という図式が、ここにも端的に現れている。ちなみに現在でも日本には潜水艦部隊がある。海上自衛隊の有する部隊で、やはり優れた潜水艦と乗務員がいるのである。潜水艦はディーゼル型だが、今は技術も進歩してディーゼル艦であっても長時間水中航行が出来、静粛性では原潜より圧倒的に優れているので決して劣勢なものではない。にも関わらず、殆ど活躍していない理由は言うまでもないであろう。
《2004.08.22》
属国
 五輪で日本勢が大活躍、メディアも国民の目も五輪に向いている中、沖縄の大学に米軍のヘリが墜落した。ヘリと報じられているが、実は55人乗りという大型ヘリで一つ間違えれば大惨事になった可能性がある。更に、墜落現場を米軍が封鎖して、警察の現場検証をさせなかったと報じられた。外務省などは日米地位協定に基づくような屁理屈を出しているが、ウソ八百もいいところで、コトが米軍基地で起きたならともかく、日本の市街地で起きているのだから、明らかに米軍による封鎖は主権侵害である。にも関わらず、あまりこれが騒がれない。小泉首相に至っては、のんびりと歌舞伎観劇をしていたそうである。沖縄県知事は米軍に抗議しているそうだが、これは当たり前であって日本の総理が明らかに異常である。日本は独立国のはずだ。何時から米国の植民地になったのか。この前例がまかり通ったら、今度は日本のどこかで住宅地に米軍の航空機が墜落したり、ミサイルが誤射されたりしても、米軍が封鎖して住人は真実も知る事が出来ず、補償交渉すらまともには出来なくなるだろう。小泉内閣が米国べったりという事は、本欄でも常々指摘してきたが、こうまで情けないほどにヘイコラ内閣とは知らなかった。
《2004.08.21》
5%
 昨日の本欄で巨人戦視聴率に触れたが、その視聴率が更に下がって5%という値になった事が報じられている。試合も負け試合であり、同じ時間帯に五輪中継などがダブったという事情はあるが、五輪前から一貫して凋落傾向だった事から、要因はそれだけとは考えられない。そもそも、この5%という数値は深刻で、ゴールデンアワーである事と、ビデオリサーチが公式に認めている視聴率の誤差が「プラス7.5、マイナス5」と言う事から見て、殆どゼロに等しいとさえ言えるものなのだ。プロ野球の存続にも関わるこの凋落だが、「合併は決まった事」しかしゃべらないオーナー陣はコメントを出してみろであろう。なお、この視聴率に対する日テレのコメントも傑作で、「五輪野球と足せば20%だし、工藤投手200勝の時も20%を越えた」だそうだ。第二次大戦末期に「大日本帝国は勝利している」と言い続けた大本営と、全く同じレベルのメンタリティと言えよう。
《2004.08.20》
視聴率くらべをすると
 松坂先発でキューバに勝った野球予選は、午前1時から5時頃という超深夜にもかかわらず、7〜10%くらいの視聴率が出たそうである。前の日の巨人戦は、6.5%という数字だったとか。こちらはゴールデンアワーだから、実質的には一桁違うと見ても良い。そもそも、ビデオリサーチ自身が、視聴率の誤差として、公式にプラス7.5、マイナス5という範囲を発表しているので、巨人戦は殆ど見られていなかったという可能性も充分にある。
 という訳で、プロ野球界の改革は急務である。新規参入に数十億円も納めさせるというのは独禁法違反だろうし、ライブドアの門前払いに至っては法律違反以前に幼稚としか言いようがない。あちこちのサイトで行われているアンケートでも1リーグ化に賛成する意見は殆ど無いが、それ以前に本欄で指摘しているように、こうした無能なオーナーがまずさっさと退陣するのが先決であろう。そうしてこそ、話が前に進むのだ。
 最後に、松坂も凄かったが、中島も凄い。米国の嫌がらせなどモノともせず(18日の本欄参照)堂々のぶっちぎり。米国の水泳陣は今五輪で不振を極めているが、ざまあみろと言ってやりたい。
《2004.08.18》
米国式フェアプレー
 100メートルバタフライで金をとった日本の北島選手に、米国の選手(背泳)ピアソルが難癖をつけて騒ぎ立て、メディアも取り上げる騒動となっている。「容疑」は、ドルフィンキックを泳ぎだしの時に行ったと言うものだが、ビデオ解析でもそのような事は証明されていないにも関わらず、騒ぎはまだ収まっていない。まさか北島選手の金がこれで帳消しになる訳はないが、これによって北島選手に圧力がかかり、次の競技では実力を発揮できなくしようという作戦であろう。これで思い出すのが、あの鈴木大地のバサロ泳法だ。彼があれで金をとると「呼吸を止めるのは危険だ」という理由をつけて禁止にした。スキーのジャンプで日の丸陣が表彰台を独占すると、板の長さ制限をきつくするようにルールを変えてそれを阻止した。柔道でも柔道着をカラーにしたり、襟を厚くしたり、畳の材質を変えたりと様々な作戦が行われて来ている。これでいて、別の口では「日本はフェアじゃない」などと平気で言うのが、欧米というものだ。スポーツ以外では、例えば銀行の自己資本比率に制限を設けた例がある。かつてバブルの頃、日本の銀行が世界の資産を買いあさっていたが、それに対抗する為に国際ルールとして、銀行の自己資本比率が8%以上ないと国際的活動をしてはいけない、と定めたのである。日本には、担保を確保するという慣習があり、その為に銀行は自己資本比率が低くても問題なくやっていけていた。そこに目をつけた米国(欧米)の戦略であった。ちなみに、この路線(自己資本比率を盾に銀行を追い込む)は現在も竹中大臣にしっかりと受け継がれている。
《2004.08.15》
多種多題
  • イラクのサマワで夜間外出禁止令
    勿論、自衛隊が駐屯している「場所」は、安全なのであろう。砲弾が着弾しても、実害が出ない限り、安全なのであろう。イラクはイスラム圏という事で、駐屯隊員には水着ギャルの出ている雑誌も酒も送れないのだそうだ。連日50度を越えると言われる中、陣地にこもりっぱなしの隊員はまことに大変と言う他はない。空調完備の人間ドックに入り、夏休みはのんびり過ごすと言うどこぞの首相に、その大変さがどこまで分かっているのだろう。

  • 美浜原発、破損配管厚さは0.6ミリ
    ここまで腐食していた訳だが、この厚さは自家用車のボディとほぼ同じであり、数十気圧がかかっていて今まで何も起きなかったのが不思議。当該パイプは設計寿命を10年くらい過ぎており、それをシカトしていた訳である。そもそも原発は一般に設計寿命が25年と言われており、今後、日本各地の原発で色々な事故が続発する可能性は大。同時に、組織的な隠蔽体質も様々な分野で(三菱ふそうばかりではない)深刻化しており、日本中の組織そのものの老朽化も著しい。危険な仕事は下請けに丸投げし、何かが起きると責任のなすり合いに終始する。今、日本の電力は40%を原子力に頼っているので、エアコンどころでは無くなる日は近いかもしれない。

  • 東京の猛暑(真夏日)連続40日に
    新記録更新中。温暖化と言われるが、面白い事に日本の最高気温記録(公式値)は、1933年の40.8度(山形)以来、更新されていない。

  • 不死身のナベツネ
    昨日、二度死ぬと書いたが、今回の引責辞任はプロ球団オーナーの辞任であって、読売グループのトップの地位は変わらないのであった。要するに今までやっていたオーナー仕事を、部下に任せたというお話で、百本の足を持つ妖怪が足の一本を切り離しただけのようである。ただ、いわゆる「権威」は失墜しつつあり、1リーグ化騒動への影響は大きいと思われる。

  • デジタル放送に見る制限
    勝手に画面に字が出て来る、プライバシー侵害の仕掛けがある、コピー制限がデフォルトでHD録画機で録画してもDVD-R化は出来ないなど、殆ど報道されない真実をホットコーナーに追加。
《2004.08.14》
ナベツネは二度死ぬ?
 表題のように書いたのは、ナベツネ当人が数年前に、別の引退劇(読売本社関係の)を発表しているからである。まあ野球からの引退ではなかった訳だが、今回の引退劇も1リーグ化茶番劇といい勝負の茶番である。国会で参考人招致の話が出ている事から、さっさと首を引っ込めたというところは誰の目にも見え見えだ。自分の言う事が正しいという自信があるならば、どこであろうと正論を堂々と主張すればいいものを、まさに腐った脳みそそのものである。たかがオーナーの分際で調子にのったツケと言えよう。今回の引退劇はスカウト行為の違反が表向きの名目だが、これは以前から噂レベルでは毎年出ている事であって、目新しさといえば公式に認めた事くらいである。また、表向き引退したと言っても死んだ訳ではないので、実質的には「院政」を敷いて陰から影響力を行使する事は容易に想像出来、これでプロ野球界が健全になるなどと喜んではいられない。ただ、この引退劇で直接ダメージを受けるのが間違いなく確実なのは、ナベツネにへいこらして「もう決まった事だから」を繰り返した無能なオーナー連中であろう。二階に上がったらあっさりとハシゴを外されたという構図であり、ざまあみろである。この連中がこれからどういう行動をとるかは、みものであろう。自分の頭で考えられない連中だから、慌ててナベツネ詣でをしているのではあるまいか。メディアが追いかけるならば、五輪より面白いかもしれない。最後に、最も悲惨なのは名前が出た明大の一場投手であろう。ナベツネ保身の為に人柱となったようなものだからだ。「私も受け取った」というのが続々と現れれば別だが。
《2004.08.12》
隠れ国債
 国の借金と言われるものには色々あるが、代表的なのがいわゆる国債である。ただ、表向きに出ている国債発行額の他に、表に出て来ないものがあり(いわゆる経理操作という奴)、これを隠れ国債という。当然ながら、表に出る国債と同じく、こちらも減る気配はない事が報じられている。この隠れ国債、具体的には、一般会計に特別会計から「貸し出している」という形をとっているものが多い。特別会計には、最近話題の年金特別会計があり、明らかになっているだけで、年金から3兆円以上がこういう形で一般会計に「貸し出されて」いるのである。これを返済するには、一般会計が節約をして余った金を返すのだ、と思ってはいけない。返すためには一般会計の方でさらに国債を発行するのだそうだ。つまり、借金のたらい回しである。国債発行額の抑制は政府の方針であり(国債を増やさないという最初の公約はとっくに崩壊しているが)、たらい回しも難しい現在、こうした隠れ借金の返済が行われる見込みは殆ど無いことになる。参考までに社会保険庁が、改革の第一歩として、年金徴収に力を入れる事になったと発表しているのは、良くご存知のとおりである。
《2004.08.11》
責任感ゼロ
 合併合意書とやらに署名した、近鉄とオリックスの代表。にこやかな笑顔が印象的であった。赤字体質を長年放置し、経営者としての能力がゼロだった事を証明しているばかりでなく、責任感もゼロである事を端的に示す笑顔と言えよう。蒸気噴出で死者を出した原発事故の記者会見では、いくら管理責任を問われているとは言え、少なくとも責任者は申し訳ないという顔をしていたのとは対照的である。合併合意書に調印した奴は、「これで俺の老後は安泰だ」とでも思っているに違いない。ファンや選手を犠牲にして、自分の保身だけしか考えていないこんな連中にいい思いをさせる為に、我々はいる訳ではない。少なくとも責任をとって、退職金ゼロで辞職する程度の事はさせなくては、こんな茶番など認められる訳もない。
《2004.08.10》
文化度論争
 サッカー・アジア杯での中国サポーターの行動は、あちこちで色々と騒がれているようである。日本では、総理の靖国参拝が背景にあるのでは、という報道があったり、台湾では総統が単純に文化度として批判したりと色々で、「民度」なんてな聞き慣れない数値まで飛び出した。まあ、「民度」などと言えば、日本だってそんなに偉そうな事を言えた立場でもない。選挙の投票率だってご覧のとおりだ。しかし、サッカーに関して言うならば、まあ騒ぎ過ぎとも言える。そもそも、サッカーのサポーターというものは荒れるものだ。イギリスのフーリガンが有名だが、世界のサッカー試合をスカパーなどで見ていると、客席で火が燃やされたり、椅子が壊されてグラウンドに投げ込まれたりしている光景は、それ程珍しくもない。中南米では、サッカー試合の判定を巡って、二つの国が遂に戦争を始めた事すらある。そういう観点から見ると、日本のサポーターの行儀が良すぎるのでもあるのだ。中国、それもサッカーに熱中している層は若いのでもある。日本にとっては、アウェーでの戦い方の良い練習になった、と前向きに考えるのも一つの解釈であろう。もっとも、他人事のようなコメントを繰り返す総理と、わざわざ中国大使に文句を言うような外務大臣に見る日本政府の対応は、大人というよりは子供じみているが。
《2004.08.08》
猛暑考
 東京ではもう一ヶ月に渡り真夏日が続いている。「暑さ寒さも彼岸まで」と昔から言うが、立秋(8日)を過ぎてもまだ真夏日は続くらしい。思い起こせば、昨年はフランスなど西ヨーロッパが猛暑であり、確か熱中症で1万人くらいのお年寄りが死んだというニュースがあった。今年は一転して寒波が来て、北の方では雪が降ったという話がある。一方で東欧は昨年が冷夏であって洪水がニュースとなったが、今年は猛暑だそうだ。日本は東欧と同じサイクルで、今年が暑い番という事らしい。これが温暖化なのかどうかについては、100%断言する事は難しいものの(自然の気候変動の可能性もある)、少なくとも統計上は100年に1度くらいの確率でしか起きない筈の事が、連日のように発生しているのだから、異常には間違いない。聞く所によると、気象庁や予報士は意図的にこうした「異常」という言葉は表向き使わないようにしているらしいが、実際には誰の目にも明らかであろう。こうした気象変動はただ暑くなるだけの問題ではない。大気の流れが激しくなるので、雨がスコールのように突然土砂降りになってはさっと上がる(日本の梅雨は本来、雨がしとしとと降り続けるものだった)とか、異常な台風が来襲するとか、突風が巻き起こりやすい、といった現象も起こる。また気温の上昇は生物相にも変化を起こし、既にマラリア蚊が九州で発見されたとか、寒冷植物が育たなくなっているとか(農家にとっては作物が育たなくなるので大変な問題)、それに関連して山の樹木が枯れて行くなど、既に変化が明らかになっているものも少なくない。東京の気温が高いのは、いわゆるエアコンなどの廃熱がヒートアイランド現象を加速しているという話があるが、北海道も猛暑で扇風機を並ばないと買えないと伝えられてるように、こうした気温上昇は大局的なものだと言えるであろう。今となっては信じられない事であるが、今から25年くらい前までは、まだエアコンなど殆ど普及していなかった。電車は夏になると窓を開け放して走り、サラリーマンも職場の窓を開け、扇風機を回して仕事をしていたのだ。25年後はどうなるのであろうか。
《2004.08.06》
スパムメール
 いわゆる迷惑メールの事である。相変わらず、辛口子のところにも日夜多数のスパムが届く。ブロードバンド接続だからまだいいが、これがビット幾らで金をとられる携帯電話メールなどだと、まさに迷惑千万であろう。内容は単純そのもので、バイアグラに始まる怪しい薬の輸入代行、ポルノサイトへの案内、不法ソフトの紹介など、要するに非合法かそれにスレスレな内容のものである。国内法では制限があるが、海外サイトだとどうしようもない訳で、米国でも取締りが厳しくなっているというが、一向にその勢いは衰えない。ここで不思議なのは、本当にこんな内容にウハウハと乗って来るカモが、そんなにいるのだろうか、という事である。おもしろ半分にやっているならまだ分かるのだが、内容を見ているとそうとばかりも言えないものも少なくないからだ。スパムメールというシステムが、果たしてビジネスモデルとして成り立つのかとなると、きちっと論じた文章を見た事がない。少なくとも、違法なポルノや麻薬のように、金が儲からなくてはこういう事は何時までも続かないはず。その当たりを押さえないと、いくら法律で追いつめても、スパムは減る事はないのではないだろうか。
《2004.08.05》
ジャーナリズムを考える
 アルジャジーラと言えば、今や知らない人はいないであろう、中東のアラブ向け放送局である。かつて湾岸戦争の時は、戦争報道を米国メディアが独占し、その米国メディアは米国政府に管理されて、言わば「主催者側発表」だけが世界に流れた。その反省から、アラブ向けの放送を作るべきだ、という動きがあり、出来上がったのがこのアルジャジーラである。どこかの国のように、ますますべったりになるのとは対照的だ。さて、このアルジャジーラについては、その実態はあまり知られていないと思う。今、発売中の月刊PLAYBOYが取材レポートを掲載していてなかなか興味深い。当然ながら本部は厳重な警備体制にあるなど細かい事は実際に読んでもらうのが一番だが、ここではこのレポートの中から特に気になった部分を紹介したい。
 まず、いきなりベイルートに行って、ジャジーラのドアを叩いたら、あっさりとインタビューに成功したというくだりがある。何故、アポも無しにOKだったのか、と聞いたら(ちなみに、対応してくれたプロデューサーは何と女性だった)、「それは、あなたがコーゾー・オカモトと同じ国の人だから」と答えたのだそうだ。岡本公三は1972年にテルアビブ空港で乱射事件を起こしたが、アラブ圏から見ると英雄である。侵略者であるイスラエルを攻撃したからだ。彼のした事はテロには違いない。だが、その背景、特に中東のアラブ人がいかに西側先進国にひどい目に合わされて来たかを理解しておかないと、同じ事はこれからも続くのである。
 もう一つは、言うまでもなく、ジャジーラと記者たちは、常に命を張っている、という事である。バグダッドで米軍による「誤爆」があったのは、ジャジーラのバグダッド支部だった。記者が一人死んでいる。ジャジーラの支部、記者もいつ狙われて殺されるか分からない状況で活動しているのである。だが、「危険を犯さなくては真実は分からない。現場に入らないで取材と言えるのか」とジャジーラは言う。ちなみにこの記事ではここに、[人質事件が起きるや記者をすぐに引上げさせた、日本のプロ野球を駄目にした新聞社の社長に聞かせたい言葉](原文のまま)と付記している。
 ジャジーラの活動を読んでいると感じる事は、ジャーナリズムというのは権力に対して目の上のたん瘤でならなくてはいけない、という事だ。ジャジーラは実際にサダム・フセインが見つかったという農家を取材、「あんな狭い穴に長期間潜んでいられる訳がない。あれは米国のプロパガンダだ」と断言しているが、米軍(即ち、それをオウムのように繰り返すだけの日本政府)の発表を疑ってかかるメディアは、日本には殆どない。それどころか、ジェンキンス一家を一日放送してせっせと政府発表を後押しし、そうでない時はピョンヤン放送の日本支部みたいに北朝鮮の怪しい映像を流し続ける放送局ばかりである。こうした放送局を抱える日本の大手メディアに比べたら、ジャジーラは小さな組織だ。だが、その影響力はまるで逆である。その理由は、彼らの情報が耳を傾けるに値すると受け取られているからに他ならない。何故なのか。それは彼らが実際に現場に足を運んでレポートしているからだ。政府の顔色を伺い、誰かが現地へ行くと自己責任論でイジメにかかるようなメディアが、人を感心させるだけの報道など出来る訳がないのである。
《2004.08.04》
入院疑惑
 「治療のため」に日本に来ているジェンキンス氏、結局検査の結果は「手術の必要なし」。確か、日本の病院でないと高度な治療は受けられないとか言って、インドネシアの病院での検査を行わずに日本に連れて来た筈であったから、ここまで来れば真実は誰の目にも明らかで、日本に連れて来るための方便が第一目的だったという事だ。これを秀逸な作戦と見るか、せこい手段と見るかは様々だろうが、いずれにしろ病院を隠れ蓑に使うのは、まあ汚職政治家の18番でもあるから、官僚あたりがこういう知恵を出したとしても不思議ではない。これで米軍に罪を認め、あちらで得た情報を渡す事で司法取引を成立させ、軽い罪で決着すれば万々歳、というシナリオなのであろう。しかし税金でチャーター機まで使い、殆ど首相の人気とりの為に個人を利用したとも言えるこのいきさつについて、説明などある訳もないのは言うまでもない。今日の記者会見で説明不足を指摘された小泉総理、「話せば分かると言っていた犬養首相も暴漢に殺された」と訳の分からない返答をしたそうである。「いくら説明しても分からない人もいる」とも述べたそうな。説明に問題があるという認識はないらしい。なるほど、説明を求めてもどうせまっすぐな回答が来ないという実績を積み上げるという手があったか。
《2004.08.03》
退職金にも増税の波、で?
 政府の税調が、現在、長期間会社に勤務すると退職金に対して税制上認められている控除を、段階的に縮小または廃止する方針を明確にした。長く勤める方が税制上有利になっている今の制度は、転職が増えている現在の情勢にそぐわない、というのがその理由である。確かに一理あるが、ここで気になるのは、いわゆる天下りの渡り鳥が次の天下り先に行く度にもらう退職金である。先に社会保険庁や厚生官僚の天下りで、こうした渡り鳥行為によって数億円を軽く稼ぐという話を書いたが、どこの天下りも似たりよったりであり、しかもこうした退職金はいずれも無税である(前の渡り鳥から3年以内だと課税されるらしいが)。サラリーマンにこうした特権はない。政府の財政が厳しさを増す中、自らの特権はそのまま、民間からより一層搾り取ろうとする傾向は、ますますはっきりとしてきている。
華氏911
 サウジアラビアに続いて、小泉総理もこの映画に露骨に反発したそうである。物の見事にブッシュにべったりと批判されてのことである。多様な意見に耳など貸さず、反対意見など無視して突っ走るのが指導力だと勘違いしている人間には、面白くなくても真実だから仕方が無い、などという発想はできないのだろう。これで、イラクで人質になった3人の時と同様に、ムーア監督に対して権力によるイジメでもやるならまだ見所もあるんだろうが、そこまでの度量はないのである。アフガンがロシア油田からのパイプラインをインド洋に伸ばす為、イラクは中東最大の油田を手に納める為、というのは素人が考えても分かる理屈である。同じように、派兵が失敗していながら、さっさと手を引いて混乱したまま放置しているソマリアとの違いは、まさに石油だけだからだ。サウジアラビアは、一部の王族が国を統治しているが、建国以来、王族が米国の傀儡である事は誰でも知っている。人口わずか2500万の国が、豊富な石油にも関わらず、巨大な財政赤字を抱えているのは、一重に王族が放漫な国家運営をし、自分たちだけが富を浪費しているからだ。豊かなのは王族だけで、庶民は実はそうではない。かのオサマ・ビンラディンもそれに反発して反政府活動に踏み込んでいる。王族はサウジアラビア内では孤立しており、米国の後押しがあるから地位を保っているに過ぎない。アフガニスタンではカルザイ政権が一向に地位を固められず、国内テロが相次ぎ、国境なき医師団も遂に引上げ、総選挙すら行われる見込みが立たない。イラクの現状は伝えられるとおりで、むしろ意図的に国内を混乱させ、総選挙など実行不能にして、今の暫定政権をずるずると引き伸ばすというのが、米国の作戦ではないかと見られている。華氏911という映画に対しては、色々な批判は可能である。だがしかし、火の無い所に煙は立たないのである。
正誤表
 間違いだらけの年金改正法案。結局、40箇所に及ぶ訂正項目を政府は国会で再審議せず、官報への訂正項目の掲載だけでお茶を濁すつもりのようだ。という事は、六法全書のような法律書には、間違いのあるまま法律が掲載され、後に正誤表が付く、という事なのだろうか。まさに絵に描いたような職務怠慢そのものではないか。試験の答案に間違いが40箇所あり、受験者があとで正誤表を送ったからといって、合格にはなるまい。サラリーマンが上司に出した報告書で同じ事をやろうとしても、認められる訳もあるまい。しかし法律では関係者への処分も、例に寄って訓戒や戒告(めっ、と言われるだけ)である。無能にあぐらをかいたエリート意識もいい加減にしてもらいたいものだ。さて、法務省は文語体の民法を全面的に現代語化する方針を発表した。木戸銭を入場料などと改めるそうだが、まずは辞書でも添付しではどうだろうか。
《2004.08.02》
反日応援の裏には
 中国で開催されているサッカーのアジアカップで、日本に対するブーイングが凄いと伝えられている。スポーツの応援に政治が絡むのは、好ましくなくても良くあること。顕著な例が冷戦時代のモスクワ五輪で、イデオロギーの違いから西側と東側が別々にオリンピックを開催するという異常事態になったものだ。今回、中国側のサポーターが感情的なまでに反日になっているのは、一重にどこかの首相が彼らの神経を逆なでするような行為を繰り返しているからだと思う。尖閣諸島については、我が国が歴史的にも領土権を保有して来ているものであり、海底に資源があると分かって以来、中国が一転して領土を主張し始めたという経緯があって、安易に納得は出来かねるが、中国人を蔑視するかのような劇を行って騒ぎを起こしても対応せず、わざわざ靖国神社へ首相として参拝してみせたりした事のほか、最近ではあのジェンキンス氏一行の家族面会を中国に依頼しておきながら、一方的に日本がインドネシアに変更するなど、相手の顔を潰すような行為を繰り返してきている日本政府の行動が、積み重なって噴出しているという見方は充分に出来るものだろう。曽我さん一家の再会については、日本が公式に中国へ仲介を依頼しておきながら、政府部内で「中国は信用できない」という了見の狭い声が出ると、一転してインドネシアに場を切り替え、しかも最初はインドネシアに腰を落ち着けるような事を言っておきながら、突然、病気治療を理由に日本に連れて来るという具合で、しっかりとこの二国の顔を潰してきたのである。中国政府もインドネシア政府も、公式にマスコミに苦言を呈したくらいだから、相当頭に来ているのは間違いない。日本外交は今やアメリカにだけへいこらして、他の国に対しては土足で足を踏みつけても平気な顔をするという醜態を繰り返している。その結果の一部がこうしてサッカーに出ているのだ。イラク問題への対応ではアラブ諸国も敵に回しつつある訳だが、日本は資源も乏しく本来は世界と貿易をして生きていかなくてはならないはずだ。特定の国にのみすり寄って、他の国をないがしろにしていたら、日本の存亡に関わるのではあるまいか。しかし、民主党の岡田党首は、国会開催間近だというのに、対与党対策より米国巡りを優先させた。ブッシュの側近に「憲法変えてもいいよね」などと聞いてまわるようなていたらくでは、こちらも外交センスゼロと言えそうである。小泉内閣メールマガジンに「今は米国が世界で一番強い国なのだから、従っていれば間違いないのだ」と書いていた元外務省の人間がいたが、それならかつて第二次大戦に先立って、ナチスドイツと連盟を結んだのも正しかったとでも言うのか。当時は、ヒトラーが次々と欧州で勢力を拡大していた時期で、誰もがヒトラーが世界を征服するのではないかと真剣に考えていたのであり、まぎれもなく世界最強の国だったのだ。

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