一刀両断ミニコラム
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2003年

《2004.10.31》
他力本願の限界
 香田氏に良く似た特徴のある遺体、という連絡に振り回された日本政府。米国頼みの限界とも報じられているが、元々、他力本願で何でも米国についていけば間違いないという単純思考でしか動かない日本政府に独自に判断する能力などある筈もなく、外務省を怒鳴ったと伝えられている小泉首相こそ、他力本願の原点である。香田氏は最近聞いた情報では、どうやらアンマンに行ったらしい。政府の言うように、非戦闘地域で安全などでは無かった事の証明になっている訳だ。前回、人質になった3人に対しては、あれほどまでに執拗に「自己責任」論をふりかざした政府が、今回、全く違う対応をとっている裏には、これがあるのではなかろうか。メディアでは、「危険もかえりみずにあのバカものが」というようなニュアンスで語る論者もいるみたいだが、そういう手合いは額にバカと書いて出演して欲しいものだ。万が一、香田氏が惨殺されたら、こういう手合いがどういう発言をするのか、辛口子は楽しみである。ところで、アンマンで自衛隊は一体何をしているのだろうか。砲弾が一発落ちたという発表はあったが、水を配っているとか、小学校を修理しているなどという発表すら途絶えて久しい。何か成果があれば、喜び勇んで発表するに違いないから、要するに何もしていないのであろう。猛暑の砂漠で我慢すれば、1日に3万円の特別手当が出る訳だが、これも税金である。現地に駐屯する費用、現地までの派遣費用、全て税金である。それ以外にイラク復興の名目で7000億円が計上され、これは今後も膨らむ。更にイラクでの石油などの利権も格安で放棄する(元々はイラン・イラク戦争の頃、米国に言われて購入した利権と言われる)。これで日本の国際的地位が向上する訳もなく、小泉総理の国連演説はガラガラで拍手もまばらだった。であるのだから、米軍からの情報にひたすら振り回されるだけの現実には、何の不思議もない。米国の大統領選が終わるまで、何もしないであろう事も容易に想像がつく。
《2004.10.30》
女々しいは死語になったのか
 最近、やたらと「泣く男」が報道される。裁判で負けた、詐欺師に騙された、セクハラをしてしまった、娘が助からなかったなどなど。子供ならともかく、いい歳こいた中年男がピーピーと泣いている光景は、決して格好いいものではないと思うのだが・・・。事情は理解できる。だが、以前ならこういう姿は女々しいと言われて馬鹿にされたものだ。涙をこらえて、ぐっと歯を食いしばり、困難に立ち向かう姿に拍手を送ったものである。米国の大統領選では、テレビ討論で涙を流しただけで落選すると言われているが、日本では泣いてみせると票につながるのが現実だろう。泣かなかったら、冷酷だの非情だのと何を言われるか分かったものではない。これも日本人全体が幼稚化している現れだとするなら、まさに長年に渡る文部科学省の役人による業績ではないか、と辛口子は考えている。
介護保険もどんどん増額
 そもそも、出発時点から破綻が目に見えていると言われていた介護保険制度。支出が年々増加しているそうで(当たり前である)、厚生労働省は現在40歳から求めている負担金を20歳からにする試案をまとめた。それによると、月3900円になるんだそうである。およそ携帯の料金に近い(パケ代は別としてこんなもんであろう)。これは現在給料から天引きされている年金や健康保険とは別口である。役所が試案をまとめる時は、実行への第一歩。政治に関心がないと言っている若き諸君、これでいいのか?
《2004.10.29》
鶴の一声
 「国旗国歌、強制になるということではないのが望ましい」と、天皇陛下から直接釘を刺されるという前代未聞の[意見]を頂いたのが、東京都教育委員の米長氏(本職は棋士)。国旗国歌法案が制定される時、文部科学省も政府も口を揃えて「強制ではない」と答弁していたにも関わらず、実際には特に教育現場では事実上の強制になっており、起立しなかったというだけで処分される教職員は数知れずであった。それを推進して来た張本人がこの米長氏だそうで、ざまあみろと言ってあげたい。虎の威を借りるタヌキが虎から駄目押しをされたのだから痛快である。当人は「素晴らしいお言葉を頂いた」と言ったそうだが、自分のしてきた事の愚かさに気がついたのだろうか。そういえば、CCCDという愚の骨頂もあるレコード会社の社長が強引に旗を振って何年も推進してきた代物だった。お陰で被害を被った消費者の数もはかり知れない。裸の王様に「あんたは裸だよ」と言ってやれる子供がいない社会は、やはり何かがおかしいのであろう。
恒例のおバカ参上
 イラクで人質となった香田氏の家族のところに、例によって多数の誹謗中傷電話、ファックスなどが届いているらしい。勿論、殆どが匿名だそうだ。お気の毒な家族に対しては、「気にするべきでない」としか言いようがない。誰かが困っている所に石を投げるこうした行為に、弁護あるいは同情の余地など皆無である事は当然である。ただし、こういう手合いが出て来るのは、まるで責任を追求するかのような会見報道をするメディアにも、その原因の一端はある。責任追及大好きなメディアは、どうせならこういう馬鹿げた物の内容もそのまま公開してはどうか。文句があるなら名乗り出て来い、と言えばいい。イタズラ電話をする愚か者と同じで、こういう手合いには鏡で自分の馬鹿づら(幼稚な文章)を見せてやるのが一番効果があるものだ。
本命いよいよ
 消費税の値上げが公然と実現に向かって動き出した。そろそろ来る頃である、と思っていた向きも多いだろう。政府の財政難は待った無しである。国債の利払いだけで新規国債が必要な実態は、まさに自転車操業。税金は俺の金じゃないという考えの官僚にとって、節約などハナから眼中になく、次に来るのが消費税しかない事は、これまでも何度も触れる発言があったが、具体的に今の小泉内閣退陣後、というフレーズが出て来た訳だ。ところで、支出の方は一向に議論されないのがこの分野の常。消費税1%で国庫には1兆円強が入ると言われるが、例えば昨年1年だけで、日本は米国債を「売らないという特約付き」で32兆円も購入しているのである。これはざっと消費税に換算して30%近い値で、これを無くせば理屈の上では増税どころか今の消費税をゼロにしたってお釣りが来る。貿易黒字が幾ら出ても、それが国民のもとへ来ないのは、こういう形でアメリカの戦費に化けるからだ。だが、こういう方向に話が行く事はない。それは次の内閣も米国のしもべに徹するという事なのだろう。
《2004.10.28》
人質
 イラクで拘束(誘拐?)され、首がかかっている青年の話ではない。その両親の話である。マスコミはこういう事が起きると、我先にと両親に殺到する。かつては、被害者自宅の前に立ち「何何さんの実家前からお送りします」と報道する、当人どころか近所の迷惑も考えない行動が顰蹙を買っていたが、最近では親族を記者会見の場に引きずり出すようになってきたようだ。自分は出かけないで済むのだし、これほど楽な事はない。何故当人が危険をおかしてイラクに入ったのか、学生時代から冒険好きだったのか、捕まえたというグループはどの位危険な連中なのかというような事でも調べて報じればいいのに、そういう苦労は面倒だとばかりに、手近な人質を引きずり出す事を選ぶのだから、恐喝をしていないだけでやってる事は犯人とさして変わりはない。大体、いい歳をした青年のやる事に、親がどれだけ責任などあるというのだ。偉そうな正義感づらをして、いっぱしの事を聞いている奴らは、自分の子供の事なら100%把握しているとでも言うつもりか。こう聞くと必ず返って来る答が「読者(視聴者)がそれを望んでいる」である。だが、それなら古くからいる芸能暴露記者と本質的に変わりはない。自らの良心とプロ意識で行動してこそ、真の記者と言えるのではないか。
 新潟の地震で、2歳の男の子が生存して救出された。大々的に報道されているが、海外の大地震でもビルのガレキの下から、幼い子供が生きて救出される事は稀ではなく、子供の生命力というのが見直されているのが現在の世界情勢である。子供が元気になった時に、母親の事をいずれは説明しなくてはならない訳で、手放しで喜ぶ話とは思えない。その時はもてはやされても、すぐに熱は冷めマスコミは去り、そうなったら残された方が悲惨である状況に変わりはなく、むしろ一家全滅の方が安泰という見方さえ可能である。地震の話ばかりが報道されているが、合計10個も上陸した台風の被害はまだ全国各地に深い爪痕を残している。いまだに道路が通れずに孤立している集落もある。一人の命が助かったのは喜ぶべき事だが、大多数の本質を忘れて騒いでばかりいるようでは、理性ある大人の行動とは言いがたい。この救出された子供が、こうした単細胞報道の人質となっている、と言えない事もないのではなかろうか。
 地震報道のお陰でNHKのテレビ番組は大混乱である。NHKスペシャルは放送が延期或は再放送未定、場合によっては中止になっており、余震が続いている現在、先行きは全く不透明である。放送を見たいと思っていた視聴者にとって、有り難くもない迷惑である。地震報道は必要だが、地震とは関係のない大多数の視聴者は脇に追いやられ、殆ど同じ内容を延々と放送する事が、「公共」放送の使命なのかと、改めて考えてみる頃ではあるまいか。同じ視聴料を払っていながら、見たいものも見れない状況は、あるべき姿では無いと思わざるを得ない。それにNHKは地上2チャンネル、地上デジタル2チャンネル、衛星放送3チャンネルの7本のチャンネルを持っているのだが、こういう場合にこれらを融通して使い分けるという事をしない。組織の壁があるというなら、これほど馬鹿馬鹿しい事はなく、それならNHKなど解体すれば良いのだ。衛星放送を見ていると、今だに「B-CASカード番号を登録しろ」というテロップも出し続けている。NHK視聴者はこうした傲慢で単細胞なシステムの人質になってはいないだろうか。
《2004.10.27》
auを買う
 最近、携帯を買い替えた。今まで使っていたドコモ(古い機種でi-modeもない)から、au(5504TというBlueTooth搭載機)である。auが人気であるとは良く聞くが、買い替えてみて実感した。まだ買い替えたばかりだから、料金についての実感はない。が、機能に実用的な物が多いのである。写真やムービーのメールはあってもなくてもよい(個人的には)。助かるのが、ワン切り警告機能(着信一覧に赤い警告マークがつく)と様々な着信拒否機能。特に着信拒否には色々とあって、電話の場合、番号表示無しのもの、アドレス帳に無いもの、公衆電話発信のものなどが選べ、メールの場合も特定メールアドレスを拒否したり、特定アドレスのみ受信というような設定が出来る(いずれも無料)。ネットへのアクセスにはezWeb機能というのがあり、一般のサイトを閲覧しにくいのは変わらないが、専用サイトもそれなりに充実している。もっとも無料コンテンツには物足りないものが目立つが、簡単な天気予報、ニュースのヘッドラインくらいなら実用になる。本機にはBlueToothの他、GPSが搭載されていて、自分の今いる位置を地図で表示したり、特定住所までの道筋を指示してくれたりする。miniSDカードがついていて、これでパソコンとのデータ交換が出来る。待ち受け画面などは簡単である。ただJPEGデータを作るだけだ。住所録の連動などは、フォーマット変換が必要だが、テキストだからある程度のスキルがあればスクリプトを作る事は可能で、ネットで検索すると公開している人もいる。もっとも、辛口子の場合、携帯のアドレス帳に何もかもは入れない。少なくとも住所は入れないし、名前ですら名字だけにして名は入れないなど、極力情報を減らしている。落とした時のセキュリティを考えているからだが、もう一つの懸念もあるのだ。それは、今は携帯用のデータバックアップデバイスが、安価で売られている事である。それを情報端子に接続すれば、ものの1分ほどでデータを盗まれてしまう。例えば、喫茶店で携帯をテーブルに置いたまま、トイレなどに行こうものなら、それだけで内部データは簡単に盗まれ得るのだ。また、BlueToothに詳しいと、よそから操作してバグを突く事も可能性としては有りうる。携帯に何もかも入れる習慣は、やめる事が賢明である。さて、買った時は、たまたま後継機種が出たからか、1ヶ月前の価格のほぼ1/5くらいの値段であった。値段と性能で満足度は高い。ただ、どこの携帯にも言える事だが、料金体系が非常に分かりにくい。電話の通話と情報接続(パケット)とが別である上に、組み合わせの仕方が色々あって、それぞれに割引制度がある。もう少し何とかならんのだろうか。なお、これら料金オプションを、買ってからezWeb経由で変更出来るのはマル。携帯自身の操作性はまずまずというところか。外部ボタンで一発マナーモードが出来るなど、多機能だけにややこしいながら、頑張っていると思う。ezWebを含むメニューの選択で「戻る」方法が統一されていないなど、難点もあるが、まあ致命的な弱点ではないと言えよう。
 ところで、これを買うに当たり、同じくBlueToothを搭載している、ドコモのFOMAも検討してみた。結果、問答無用で一発拒否であった。答えは簡単である。上に書いたような実用的機能などはFOMAには皆無で、待ち受け動画画面だとか、着うた充実だの、殆ど幼稚園児向けとしか思えない内容ばかりが並んでいたからだ。辛口子は着メロも着うたも迷惑だと感じている。街中で突然あれが鳴り出すのは、音痴のカラオケ室にいきなり放り込まれたような気分になるからである。しかもドコモの携帯を契約解除するには、特定のサービスステーションに行かなくてはならず、そこらにある出店では駄目である。不要携帯の回収すら、どこでも出来る訳ではない。しかも同じように見えるドコモショップにも、系列があって相互の連絡が取れないようだ。電電公社からNTTになって何年たつのか忘れてしまった程だが、組織の垣根というのはこれ程までに頑丈なものなのかと実感した日でもあった。
愚策と押しつけ
 安直に偽造が可能なようないい加減なプリペイドを作っておいて、偽造が急増しているからとETCに乗り換えさせようという陰謀は、着々と進んでいるようである。ハイウェイカードに続き、今度は首都高で、これまであった100回割引券を廃止すると伝えられている。かわりに首都高独自のETCを使わせるのだそうだ。ETCが不要である、などと言うつもりはない。だが、消費者の多様なニーズに答えず、安易なプリペイドシステムは放置しておいて、天下りの巣であるETCシステムを使わせようという役人の魂胆には、賛成など出来る訳もない。日本でETCが普及しないのは、「高い」からである。欧州とは違い、装置は高いし割引率は低い。理由は簡単である。天下り役人に金が必要だからだ。
機能の証明
 プロ野球実行委員会は、ライブドアと楽天のどちらを参入させるかの結論を出せなかった。これは委員会が無能なのではなく、有能である事の証明である。無能なら簡単だ。裏工作のシナリオに従って、楽天に決めればいいからだ。これまで伝えられて来た報道によると、両者に決定的な差はない。ファン人気でライブドア、オーナー人気で楽天というところである。どちらに決めても波風は立つ訳で、最終結論を出す時は大変であろう。これもシステムの老朽化が目立つ現れである。老朽化と言えば、元近鉄の岩隈投手が、新合併球団へ行くのを拒否、球団側はプロテクトを行使すると伝えられている。要するに、嫌でも来いという訳だ。これを岩隈選手が拒否した場合、新球団は「任意引退」を言い渡す事が出来る。そうなると岩隈投手は日本球界では選手として二度と活動できなくなる。こういうシステムが今のプロ野球機構なのだ。ライブドア、楽天、どちらが参入するにしろ、まだまだ考えなくてはならない問題は山積している。
《2004.10.25》
23人と83人
 新潟県中越地震の死者は次第に増え、23人と本欄執筆時点で伝えられている。政府は補正予算を組み、自衛隊を出動させ、小泉総理自ら被災地を訪れるなど、矢継ぎ早に対策を打ち出している。ところで、先に通過した台風23号の死者は現在83名。行方不明と合わせると100名近いのに、何故かこちらには(その前に日本を襲った9つの台風も含め)政府の対応は淡白である。しかし、被害の大きさは台風の方が深刻であろう。なにせ、今年は日本全国でこれまで10個の台風が上陸したのだ(しかも24号がまだ日本接近中)。死者の数、道路や家屋の損害など被害の規模を見ても、新潟県中越地震より遥かに大きいのは間違いない。にも関わらず新潟方面に政府の対策が重点的に見えるのは、穿ってみれば人気対策ではないかという疑いが出て来ないだろうか。メディアの扱いも地震の方に重きが置かれているみたいで、やはり地震の方が台風より怖いという事なのだろうか。
 ところで、この地震騒動で忘れ去られそうな事もある。数十年かけて最高裁判決でようやく確定した水俣病の責任問題である。政府に責任があるというのが判決だったが、厚生労働省は「水俣病患者の認定基準を変えるつもりはない」と言い続けているのだ。これを甘くすると賠償金で日本チッソが潰れてしまい、天下り先が減るからだと言われている。
《2004.10.23》
需要と供給
 今やプロ入り前の選手として話題空前の一場君獲得裏金問題。ナベツネオーナーに続き、横浜、阪神とオーナー退陣の連鎖反応が起きている。まあ横並び同胞意識の強い業界だから、1社だけの例外だったとは最初から信じられなかったので、今更驚きはない。問題は、これが慣習化していたかどうかである。現ナマを送る側が複数いる以上、受け取った(過去形を含む)側も一場君一人だけだったとは信じがたいからである。
《2004.10.21》
謎の視聴率
 熱戦の続く日本シリーズだが、西武球場の観客数は伸び悩み、視聴率も14%と史上最低を記録したそうである。趣味の多様化を反映したのか、視聴率の誤差の影響か、台風による客足への足止めか、などと色々と原因は考えられるが、そもそも一つのスポーツに国民全部が熱狂しなくてはいけない、という理由など無いのではないだろうか。少なくとも辛口子は手に汗握って見る事が出来た。もし巨人が出て来ていたら、シラける試合にバラエティ中継がされた事だろう。この数値を根拠に、また悪い方向へ揺り戻すような事の無いように願いたい。何しろ14%とは言え、ペナントの巨人戦よりは遥かに高いのだから。(ちなみにシーズン終了の頃は1桁だった)
お役所反論
 有利な立場を利用して、民間を圧迫しているとヤマト運輸から訴えられた件について、生田郵政公社総裁は「ヤマトこそ消費者利益を無視している」と反論を発表した。だがこの反論、ヤマトの主張するように、そもそも出発点がアンフェアだという論点では何も述べていない。公社は利益を上げても税金を納める必要がない。郵政公社の車は一方通行を反対方向に走っても構わない。こうした既得権益の上で、民間市場に出て来るのはアンフェアだ、というのがヤマトの主張である。そもそもヤマトの宅急便が開始されるまでには、何年にも渡る官庁との戦いがあった。規制の網をようやくこじあけ、全国津々浦々にまで営業拠点を構築し、やっと宅急便というシステムが市民権を得たら、今度は役所がしゃしゃり出て来た訳だ。言いたくなるヤマトの方が自然と言うべきだろう。
《2004.10.20》
いくら何でもひどくはないか
 衆院予算委員会で、南野法相が民主党からの質問に支離滅裂な回答をし、委員会が混乱。これに対し、小泉首相は「初めての大臣だし、質問者は思いやり、いたわりの気持ちを持った方が」と記者団に語ったそうである。言語道断ではあるまいか。小学校のホームルームをやっているのではないのである。大臣は高い給料をもらい、責任ある立場のプロの筈だ。新人だから知りません、などというタワケた話が許されるなら、それは税金泥棒と言うべきであり、任命した総理の責任問題である。以前から「ワンフレーズしか考えていない」と巷で囁かれる小泉総理だが、はからずも思慮の浅さと丸投げ無責任体質を端的に示した例となった。また、同じ委員会で首相の政治団体の政治資金報告書に疑問があるとして、やはり野党から質問「政治資金規正法を知っているのか」が出ると、平然と「知らない」と答えた小泉首相。よせばいいのに「信頼する人に任せるのが普通で、そんなに事務所の人を信用しないのか」と続けたため、またも無責任丸投げ体質を自ら暴露。なるほど、この精神構造なら、日本の防衛、経済、政治を米国に丸投げするのも、頷けるというものである。森政権末期の状況など、これに比べたら遥かにマシだった。何故、もっとまっとうな人物(幾らでもいそうだ)が首相候補に出て来ないのであろうか。
《2004.10.19》
大当たり
 10月も半ば過ぎたというのに、またも大型台風が接近中である。しかも23号、24号と2つ連続しての接近。災害に合われた地域では、うんざりの心境であろう。日本には台風が、アメリカにはハリケーンが今年は大豊作である。被害額もうなぎ昇りである。一説には、アラーの神の祟りではないか、などという下馬評もある。アラーと言えば小泉総理は、イラク戦争の正当性を相変わらず主張し続けている。大量破壊兵器がまだあるという根拠はどこかへ行き、国連決議に違反したからという主旨に何時の間にか変わっている。だが、これも詭弁であるのは言うまでもない。イラクは国連決議に従って査察を受け入れていたからだ。査察は大規模なもので、調査団はフセイン宮殿にまで出向いている。日本に外国の査察団が入って来て、皇居まで見て回った上で「まだ不十分だ」と言われたら、それが正当なのであろうか。査察結果、大量破壊兵器の痕跡はなく、核開発の証拠はなく、細菌兵器の兆候も見当たらなかった。それに対して「そんな馬鹿な筈はない」と戦争に突き進んだのが米国であり、「大義はある」とそれに賛成したのが日本である。なにが国連決議違反なものであろうか。違反したと言うなら米国である。国家が国連決議に従うケースとして、イラクほど徹底して従った国など無いと言っていい。この点に関して相変わらず学習能力の無いのが、読売新聞。社説などを通じて小泉主張の猿真似を繰り返している。先日などは、ある元外務省の人間が記事を書き、「米国追従がいかんという人がいるが、それならどこに追従すればいいのかと問い返すと黙ってしまう」と述べていた。この一点だけで問題は明らかだ。どこか追従するところが無いと何も決められない、と自分で表明しているからである。要するに自分の頭で情報を分析して判断する事が出来ない、と主張しているに等しい。これが外務省の出身者としてあちこちで偉そうに論をぶっているのである。政府だけを責めて済む問題でない事が、ここでも分かる。
《2004.10.15》
正論が失点とは
 プロ野球の参入検討委員会でのヒアリング。何やらライブドアに「成人向けサイト」に関する質問が集中したそうである。プロ野球協約に「青少年の健全な育成」とかいう文言があるとかで、この質問に「我々は町を整備して提供するようなもので、ユーザがどういうサイトを作るかまでは、完全に把握できない」と答えたライブドアが、大きく点を落としたような報道がされている。楽天の方は「完全に監視しているし、青少年が見られない仕組みになっている」と答えたそうだ。そんな仕組みがある訳がない。ネットカフェで小学生が見ていないという保証など、どうやって出来るというのか。楽天が本気でそう信じているなら、もしそうでない事実があった場合は、如何なる責任でも取る、と断言すべきだろう。根強い噂となっている出来レース説の匂いがプンプンする。ところで、成人向けであるが、読売グループはそのような出版は一切していないとでも言えるのか?
《2004.10.13》
安全とは何か
 一時は輸入再開に向けた光明が見えたかと思われた、米国牛輸入問題。20ヶ月未満の牛をどう判断するのかという問題や(米国では個別に牛の年齢を管理するシステムが出来ていない)、20ヶ月未満でも駄目だという声も政府内に強いなどで、年内の輸入再開はどうやら絶望的な状況だ。ここで分からないのが反対する理由である。どう聞いても「100%安全でない物は駄目」としか聞こえないからだ。そもそもリスク管理というのは、100%を求めるものではない。そんな事をしたら途方も無い手間、即ちコストがかかってしまい、実用にはならないからだ。世の中は理想どおりには行かない。リスク管理とはリスク、コストなどを計りにかけ、どこまでなら充分に安全と言えるかを考えるものである。原発のリスク管理がシビアなのは、一旦トラブルが起きたらその影響や危険度が計り知れないからだ。BSEはどうかと言えば、そのような危険度は小さい。例えBSEの牛であろうと、危険と言われる部位であろうと、食べたところで通常は何も起きないのである。何年にも渡って大量に食べ続けて、それでも1万人に一人発症するかどうかという危険度なのだ。英国で起きた発症事例では、それこそ子供の頃から牛の脳をつなぎに使ったハンバーガーを食べ続けた人が、大人になってから症状が明らかになっているに過ぎない。従って、BSEよりもフグのほうが遥かに危険だし(毎年何人かは死者が出ている)、市販食品に使われている食品添加剤だって危険度から言ったらBSEを凌ぐだろう。にも関わらず、かように反対の声が強いのは、どう考えても無知蒙昧によるとしか考えようが無い。今から10年以上前だったと思うが、紀伊半島でコレラ患者が出たというだけで、一帯がパニックとなり、町を走る車は窓を閉めて猛スピードで走り抜けるというニュースが流れた。コレラは空気感染はしない。これを見る限り、少なくともそれ以来、無知蒙昧は改善されていないし、それどころかこの点から言ったら、ジェンナーの種痘医療(天然痘の画期的予防法で、病気にかかった牛から抗体をとって人間に移す治療法)に「そんな事をして牛になったらどうしてくれる」と大反対運動を起こした当時の住人を笑う事も出来まい。役人の不正ばかりではなく、こういう事でも無駄に税金が使われ、結局そのツケは消費者に返って来るのである。日本が誇る牛の全頭検査には、何十億円という莫大なコストがかかっている。商品価格に転嫁されないだけ(もっとも、国産牛の価格高騰にはつながっているが)で、それは税金である。
《2004.10.10》
過ぎたるは・・
 台風が関東地方を直撃、テレビの各局ともに情報を流していたが、なんだかどこの局も判で押したように、番組本体を縮小して周囲に台風情報を延々と流し続けた。傑作なのは、地上波デジタルでも同じ物を流していた事で、何の為に文字情報機能があるのかと笑いたくなる。大体、台風情報を知りたいのなら、NHKを見ればいいのであって、このうっとおしい何とかのワンパターン、お邪魔ムシ以外の何ものでもないのではなかろうか。もう一つ邪魔なのが地震警報。たかが震度2とか震度3などで、いちいち警告音を慣らして画面にデカデカと文字を出す必要が本当にあるのか。関係者の頭脳構造を疑いたくなる。これでデジタル放送推進なんて言ってるんだから、猫に小判と言う他はなかろう。
企業の社会的責任
 三菱ふそうだの、UFJだのと何かと話題になるテーマだが、最近、辛口子はハイテク関連で企業の姿勢が大きく分かれているのではないかと実感している。例えばLD(レーザーディスク)。今全盛なDVDだが、つい数年前まではLDがその地位にあった。辛口子もボックスものを幾つも持っており、これをDVDに買い替えろと言われてもYESとは言えない。だが、パイオニア社は今でもLDプレーヤを販売しているし、無論、修理にも応じてくれる。先日、故あって任天堂初代ファミコンのディスクシステムを使おうとして、内部ベルトが完全に無くなって(酸化して崩壊したらしい)いる事を発見したのだが、まだ部品があるという事で任天堂は修理をしてくれた。今でもまだまだ健在なVHSビデオ。今、標準になっているHiFiサウンドレコーディングが現れる前、ノーマル音声トラックを2つに分け、ステレオや二カ国語に対応した記録が出来るデッキがあった。それまではビデオの音声はモノラルだったのである。今、市販されているHiFi型のVHSデッキも、ノーマル音声トラックに対応しているが、2チャンネル記録には対応していない。2チャンネル記録というのは、ノーマル音声トラックを半分ずつ使うので、ノーマル2チャンネル記録をしたテープをこうした今のデッキで再生すると、ステレオ録音はモノラルに、2カ国語録音は両方が混ざって聞こえてしまう。調べてみると、現在、そうしたノーマルトラックへの複数録音に対応しているのは、業務用のデッキに僅かにあるだけで、値段は50万もする。先日、そうしたテープを再生する必要が出て、拙宅にある古いVHSデッキ(HR-7650というもので、それでも当時30万くらいした)を出してみたが、流石に動作しない。しかし、ビクターに問い合わせてみると、とりあえずチェックしてみて、部品がまだあれば修理出来るという。さっそく送ってみたら、何と修理が出来て返って来たのである。DVDがようやく普及している最中に、さっさと次世代ディスクだと、何かと新製品発売にばかり走るハイテクメーカであるが、こうした後方のサポートというのも今後ますます重要になるのではないだろうか。再生装置が無くなれば、いくら媒体があっても再生出来なくなるのである。コンピュータの世界では、パンチカードや紙テープは言うまでもなく、恐らく8インチのFDなどは、最早ただのビニル板になっているのではなかろうか。
 さて、こうしたハイテクメーカの中で、さっさと古いものに見切りをつけてサポート廃止を堂々と明言しているメーカがある。それはソニーである。古いものとは、ベータ方式のビデオデッキだ。既に製品ラインに無いのは言うまでもなく、修理も今後はしないと発表している。ED-Betaなどは、前述の8インチFDになってしまった。これが例えばあのLカセット(*1)みたいにパッと出ただけで、殆ど普及もしないで消えて行った製品だというならともかく(実はソニーの製品には結構多いパターンである)、一時はせっせと普及をさせ、多くのユーザを付けておきながら、あっさりと二階へのハシゴを外すような真似は、まさに企業の社会的責任を問われると言えるのではなかろうか。辛口子はソニーに対して、「それならベータのTAPEを入れると、自動的に再生しながらDVD-Rに変換する装置でも売り出したらどうか」とメールを出したのだが、「当社では社外からの提案は受け付けておりません」という官僚風丸出しの返答が機械的に来ただけであった。辛口子はこの対応で、現在はソニーという会社に対する信頼度を大いに落としている。VAIOは人には勧めないし(故障が多いという話を良く聞く)、PSXのような新製品も同じである。新しく買おうと検討する時も、優先順位が下がった。ソニーは好きなメーカだけに、このお高く止まった方針を見直してもらいたいと切に思う。
 ところで、日本政府は、今から6年後には今の地上波テレビ放送を廃止し、全面的にデジタル化しようとしている。これも同じパターンと言えない事もなかろうが、例えばデジタル放送を始めて、従来の地上波を見るユーザが僅かになった時に廃止、とかいうならともかく、6年後に強制的に今の地上波を廃止するというのだから、もっとタチが悪いだろう。
(*1)Lカセットとは、今のカセットテープが出た当時、まだカセットの音が悪かった事から、大きな入れ物にオープンリールのテープを入れてカセット化し、良い音質とカセットの使い勝手の良さを兼ねた製品としてソニーが出したもの。実際には、両者の弱点ばかりが目立つ製品となり、あっという間に消えた。
《2004.10.09》
UFJ不正行為の裏
 監督庁の監査に対して、口裏合わせマニュアルを作り、まずいデータは別サーバに入れて暗号化した上に、そのサーバは使用停止にしていたなど、UFJの「手口」が色々と報じられている。これらの行為は明確な反社会的行為であり、本欄もUFJのこうした行為を弁護するつもりはない。ただ、UFJがこうした行動に走った裏については、あまり報じられていないようであり、その点に注意をしたいのである。そもそも、UFJがこうした行為を行ったのは、自分の身が危うくなったからだ。構造改革の名の下、不良債権処理という便利な言葉を使って小泉政権と竹中大臣は、大手銀行への締め付けを強めてきた。都市銀行の2つ位を潰すというのが目標だと、業界筋では囁かれてきている。その原点は、あの長銀の処理である。積もり積もった不良債権処理に国の税金を2兆円以上注ぎ込み、残った優良債権を米国系ファンドに僅か10億円で売ったのだ(ちなみに日本から名乗りを上げた企業もあったが、門前払いだったと伝えられている)。結果として生まれたのが新生銀行で、毎年600億円以上の利益を上げ(利益は米国行き)、好業績だ。当たり前であって、不良債権はチャラにした上で、かつての長銀が持っていた顧客情報などは全部もらい、更に日本政府から「業績が上がらなかった場合は損失を補填する」という約束までもらっていたんだから、子供が経営したって好結果が出るだろう。最近では、黒字転換が予想されていながら容赦なく倒産させられた足利銀行が良く似たパターンである。こうして潰れた銀行のあとには、米国からファンドや投資家がやってきて、美味しそうな所を残らずさらっていくのである。そもそも、不良債権と簡単に言うが、何をもって不良債権と言うかについての基準は曖昧である。利子だけでも返済されていれば、不良債権とは言わないとしてもいいし、借金そのものが減らないのなら不良だと決めつける事も出来るからだ。更に、銀行経営の健全性も、どう判断するかの尺度が色々あり、良く引き合いに出される自己資本比率という数値ですら、顧客が預けた預金をどう勘定するかという一点だけとっても、算出根拠は流動的なのだ。従って、逆に言えば、金融当局のサジ加減一つで、大手都市銀行と言えども、経営不振銀行と決めつけられて倒産の憂き目に合う事は常に有りうるのである。竹中大臣は、この判断基準をどんどん厳しくして、銀行への締め付けを強くしてきた。こうして崩壊させた銀行に税金を注ぎ込んで、優良債権だけにしてから海外、それも米国のファンドに売り渡しているのである。UFJはそのターゲットにされたのだ。危機感を持ったUFJは、あらゆる手段を講じて保身に走った。この意味で同情すべき余地があり、三菱ふそうとは大きな違いがある。なお、同じ事がダイエーに対しても行われている。ダイエーの経営陣は防戦に必死であるが、もし産業再生機構の管轄となると、今度はダイエーの資産が米国ファンドに流れ、ホークスが無くなる訳である。プロ野球界への衝撃もさることながら、日本全体への影響も計り知れないであろう。
語るに落ちる
 巨人が楽天を呼び出して何やら要請をしたという週刊誌の記事に対し、読売側が訴訟で噛みついたそうだ。当初、「要請した事実はない」と言っていた(会った事は認めたと解釈可能)読売側の発言、その後「そのような事実はない」になっている(つまり、呼び出した事もない、という意味)。いかにも怪しい。
プロ失格
 イラクに大量破壊兵器は無かった、と遂に米国から公式の調査結果が出ているが、それに対して日本の小泉政権は知らん顔である。また、メディアも関心が低い。読売新聞に至っては、「あのまま放っておいたら、フセイン政権とアルカイダが手を組んで大規模テロが起きたんだから、それを防げたという事だけで正しい決定だった」などと書く始末だ(8日付朝刊一面の下)。フセイン政権がアルカイダと結託していたなどという証拠は皆無である。同じイスラム教というだけで、そう決めつけているらしいが、フセインは近代的なイスラム国家を目指した人物で、街にはフセインの肖像が溢れ、女性も社会の一員として働いていた。イスラム教では偶像崇拝を認めていない。アフガニスタンのタリバンは、偶像どころか西側音楽のカセットテープを焼き捨て、女性にはチャドルを義務付けるばかりか学校に通う事すら認めなかった。かように性質の違う集団が簡単に手を結ぶなどある訳がない。そもそも、かつてイランでイスラム革命が起き、折角育てたパーレビ傀儡政権を失った米国は、サダム・フセインを英雄と祭り上げ、イラン・イラク戦争を後押しした。それが駄目だとなると、米国はフセインのクェート侵攻を黙認してから、それを理由にフセイン政権を叩く方へと転換、遂にその政権を倒し、今度はイラクに傀儡政権を立てようとしているのである。何の事はない、テロリストをせっせと栽培している中心の国が、米国そのものなのだ。この読売新聞の記事を書いたのが誰かは知らないが、これでプロのジャーナリストと名乗れるのだから、良い会社である。
《2004.10.06》
国債発行額
 小泉総理は、財務省に来年度の国債発行額を前年度より減らすように指示したと伝えられている。思い起こせば、首相就任当時、国債発行額を30兆円に抑えると公約して守れなかったという[実績]がある訳だが、それを意識してか具体的な数値を指示しなかったようである。なお、この30兆円については、記者から質問されてカチンと来たらしく、「税収が見込みより小さかったからで、判断そのものは妥当だった」と総理は声を荒げて力説したそうな。ところで、来年度の発行額を抑えるというが、それは簡単ではない。既に国債の利払いの為の国債が予算全体の2割を占めると言われている訳で、単純に考えて来年の国債発行額を今年と同じにする為には、予算を2割節約しなくてはならない。現実にこんな事は不可能であって、恐らくどこかから金を持って来る事を考える(帳簿の帳尻合わせという奴)しかなくなるだろう。そもそも、国債発行比率がここまで上昇した原因は、景気が悪い故に税収が増えないからである。竹中式の経済政策が、明らかに失敗しているのは、この税収だけを見ても明らかだ。しかし、政府はそれを改める気配はない。出る方に関しても、前回触れた毎年何十兆円も購入している米国債は売る事は出来ないし、社会保険庁の予算に国民の年金を当てるのもやめる事は出来ないだろうし、米軍基地の光熱費の為に日本が負担している思いやり予算(年7000億円)、米軍が開発するミサイル防衛システムの為に日本が拠出すると言われる数兆円など、明らかになっているだけで本当に日本の為になっているのか全く不明な金額はそのまま、増税路線に走る姿が目に見えるようである。次のステップを狙って消費税値上げは避けられないという発言が、既に何度も出ているのは、その為の様子見であろう。
《2004.10.03》
オレ流
 「現存戦力で充分優勝を狙えるから補強はいらない」と断言して、見事に監督就任1年目でセリーグ優勝を果たしたのは、ご存知中日の落合監督である。何かと物議をかもす発言もあったりして、ファンからは好き嫌いの激しいタイプの人らしいが、中身は確かだったという訳だ。チーム本塁打は僅かに106本。史上最強打線とマスコミがせっせと騒いだ巨人は256本であり、その半分以下での優勝である。パリーグ最下位のオリックスですら本塁打数は112本。この数字は優勝チームとして恐らく史上最小本数ではないだろうか。「オレ流」という言葉で語られる落合采配だが、それは身勝手なものではなく、論理的な根拠があるならば敢えて常識にこだわる事はしない、という流儀であった。過去の数値が示しているならば、右バッターに右ピッチャーをぶつける事もやり、結果を出した。良く言われる打線の組み替えだが、コンピュータなどでシミュレーションをしてみると、打線による違いというのは殆ど無いという結果が出るのだそうだ。この監督の何分の1かでも球団経営陣側に頭があれば、プロ野球の経営問題はここまで深刻にはならなかっただろう。ただ、中日の球団は落合監督に任せて、監督抜きで補強を勝手に決めたりしなかった。中継ぎと抑えの投手を要求した堀内監督に対して、小久保とローズというホームランバッターを連れて来た巨人フロントとの違いが際立つ。
 さて、オレ流も高所から見下ろす広い視野を持って実行するのなら、こうして良い結果が出るが、これがヒラメ型人間の狭い視野で強行されると不幸な事となる。小泉政権の新組閣は殆ど話題になっていない。郵政改革とかけ声は高いが、最後の改革項目どころかまともな経済再建も出来ていない今、その目的が単なる標語と話題作りにある事は、誰の目にも明らかだからだ。何でも米国に盲従し、ワンフレーズで人目を引いて来る事しか出来なかった小泉首相は、今、最後のキーワードにすがっているのである。目立つフレーズが出来るなら何でもやる。かつて橋本内閣時代には、反対派に回っていた事など忘れて、国連で常任理事国入りを演説し、まばらな拍手をもらった。恐らく、イチローにも「感動した!」と電話をしようとしたのではなかろうか。ちなみにイチロー選手は、確か国民栄誉賞を辞退しているので、電話を受け取るとは限らない。郵政の問題は郵貯と簡易保険で集まった350兆円にも上る資金をどう有効に活用するかであるが、表に出て来るのは郵便事業を民営化し、民間の宅配業者を圧迫する話ばかりだ。イラク戦争で毎月1兆円の軍費に悩む米国にとって、この350兆円という資金は魅力であり、密かに裏から工作しているとも伝えられている。日本は公式に明らかになっているだけで、昨年1年間に米国国債を32兆円も購入している(しかも絶対に売らないと確約を付けている)。消費税を1%上げると、国には2兆円弱が入ると言われるから、この金額は消費税15%くらいに相当する。景気回復と政府は言うが、地方のシャッター商店街が活気づいたという話はない。国民からせっせと金を吸い上げ、それが米国に回ってイラク戦費になっているのだ。アルカイダが日本へも攻撃目標を定めたと言うが、これを見ればただの八つ当たりではない事が分かるだろう。

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